iPadの3GモデルとWi-Fiモデル、どっちがおトク?nikkei TRENDYnet5月14日(金) 13時22分配信 / テクノロジー - モバイル
【詳細画像または表】 3Gモデルは通常のデータ定額プランに加え、プリペイドプランを用意 iPadの予約が始まるまで、「どこのキャリアから発売するのか」「特定のキャリアでしか使えないSIMロックはかかるのか」など、ユーザーの間ではさまざまな憶測が飛んだ。結果としては「キャリアはソフトバンクのみ」「SIMロックあり」で発売されることになった。 iPadはSIMロックがかかっていることにより、携帯電話の3G網に対応した「Wi-Fi+3G版」(以下、3G版)はソフトバンクしか利用できない。NTTドコモや日本通信(b-mobile)など、ソフトバンク以外の携帯電話会社では利用できないことになる。 iPad本体の価格は、ソフトバンクとアップルでまったく同じだ。5月8日の時点では、ソフトバンク側の発表価格が少し高かったが、5月10日に発表されたアップルの価格に合わせる形でわずかに値下げされた。価格と発売スタイルは以下の表の通りだ。3G版では、一般的な携帯電話やスマートフォンと同様のデータ定額プランと、料金前払いのプリペイドプランの2つのプランが用意されている。 データ定額プランは、ソフトバンクの「(iPad専用)データ定額プラン」に加入するタイプだ。価格は16GB版が5万8320円、32GB版が6万7920円、64GB版が7万7280円で、24カ月ローンで買った場合でも金利手数料はかからない。アメリカでの3G版の端末価格と比べると、少し安くなっている。 データ定額プランには24カ月間続く1500円の「iPad向け月月割」が付くが、2年縛りの制約がある。途中解約すると9975円の解約料がかかるので注意が必要だ。 プリベイドプランは「(iPad専用)プリペイドプラン(1GB)」が用意される。料金を前払いするプリペイド方式で、データ通信量は1GBが上限で、30日の有効期限も設けられている。端末価格はデータ定額よりも3480〜4520円高く、ローンで購入する場合は5.0%から6.7%の金利手数料がかかる。 プリペイドプランはもう1つあり、2010年7月1日から「(iPad専用)プリペイドプラン(100MB)」が追加される。100MBが上限となっているが、1回のチャージが1510円と少なくて済む。こちらも30日間のみ有効となっている。 3G回線のないプラン「Wi-Fi」は、ソフトバンク回線は契約せずにWi-Fi版のiPadを買うスタイルだ。端末価格は16GB版が4万8800円、32GB版が5万8800円、64GB版が6万8800円となっている。アメリカでの価格とほぼ同等と考えてよいだろう。ローンで購入する場合は、6.0%から8.5%の金利手数料がかかる。 データ定額プランは毎月1500円の割引が付くが、2年縛りの制約がある 中心となるプランは、ソフトバンクの3G回線が使い放題になる「(iPad専用)データ定額プラン」だろう。料金は、毎月定額の基本料金4410円とウェブ基本使用料315円がかかる。最大の魅力は、このプランだけに設けられる「iPad向け月月割」だ。契約後、24カ月間にわたって基本料金が毎月1500円が割り引かれるため、2910円+315円で3G回線が使い放題となる。 正直なところ、この思い切った料金設定には驚かされた。端末価格をアメリカとほぼ同等に設定したうえで、3G回線が3000円ちょっとで使い放題になるのだから、驚異的な安さといえるだろう。 ただし、「(iPad専用)データ定額プラン」には2年縛りがあるので、その点は忘れてはならない。2年間の継続利用を条件にしており、途中での解約は9975円の契約解除料を取られる。購入したら2年間は使い続けるという覚悟で契約する必要があるだろう。 プリペイドプランはとても複雑、自動チャージに注意 3G版のもう一つの契約形態が「(iPad専用)プリペイドプラン(1GB)」だ。データ通信料金を先払いするもので、1回のチャージあたり4410円かかる。利用のリミットは、データ通信量が1GBに達するまでか、チャージから30日間となっている。ちょっと分かりにくい方式なので、ポイントごとに分けて整理してみたい。 ▼一定の通信量を超えると自動的に課金される「自動リチャージ方式」を採用 データ通信量が1GBをちょっとでも超えると、自動的に次の4410円が課金される仕組み。もし、1カ月間で通信料が3GBを超えてしまうと、4410円×3回=1万3230円もかかることになる。自動リチャージを停止しない限り、1GBごとに課金が続いてしまうので注意が必要。 ▼通信量が少なくても、30日ごとに自動的に課金が発生 データ通信を1GB未満しか使っていなくても、30日を過ぎると自動的にリチャージされる。つまり、最低でも毎月4410円かかると考えてよい。 ▼データ定額プランとは異なり「月月割」はない 「データ定額」にある「月月割」は適用されない。 ▼ウェブ使用料が毎月315円かかる データ定額と同様に、ウェブ使用料(315円)が毎月別途課金される。 ▼途中で利用を停止することが可能。課金もストップする オンラインの申込みで利用を停止することが可能。停止した場合は自動リチャージされなくなるが、3G回線も利用できなくなる。 ▼申し込みにはクレジットカードが必須 自動リチャージするために、クレジットカードでの契約が必須となっている。 ▼2010年6月30日まではパケット通信が無制限で利用できる プリペイドの契約でも、2010年6月30日までは月4410円で3Gネットワークが使い放題となる(データ通信量による追加の課金はなし)。 まとめると、最低でも30日ごとに4410円かかり、データ通信量が1GBを超えると自動的に次の4410円がチャージされる仕組みだ。iPadは大きな画面で動画が見られるのが魅力なので、1GBはすぐに使い切ってしまいそうだ。「月月割」がないのもネックで、料金面で考えると正直なところメリットが見えにくいプランだ。 メリットは、2年縛りがなくいつでも停止できることだ。最初だけ4410円をチャージしてすぐに停止し、あとはWi-Fi版として使うのであればメリットがありそうだ(詳しくは後述)。 7月1日からは、「(iPad専用)プリペイドプラン(100MB)」も導入される。上記と同じ内容だが、課金の単位が100MBとなるものだ。 利便性の高い3Gモデルにするか、Wi-Fiモデルでガマンするか? 3Gのない「Wi-Fi版」は3G契約が必要ないので、それほど難しいことを考える必要はない。ローンで購入する場合には6.0%から8.5%の金利がかかることを覚えておけばよい。 購入検討者にとって問題となるのは、Wi-Fi版とWi-Fi+3G版のどちらにするかという選択だ。3GのないWi-Fi版は無線LAN環境が必須となるので、現状では使える場所を選ぶ。あとから「やっぱり3Gが欲しい」と思っても、本体を買い替えない限り実現できないのも難点だ。Wi-Fi版にはGPS機能がないことを気にする人も多いだろう。 3G版の「データ定額」であれば、ソフトバンクの3G回線が使い放題だし、24カ月間は月々2910円+315円の低予算で使えるのでメリットが大きい。24カ月使う場合のランニングコストを下記にまとめたので、参考にしてほしい。 24カ月のランニングコストを見ると、やはり3G版の負担は大きく感じる。月月割があったとしても、16GB版で約13万6千円、64GB版だと約15万5千円の負担が発生してしまう。3Gが使えるのだから高くなるのは当然だが、それにしてもWi-Fiに比べると出費は大きい。 どうしても3G版が欲しければ「プリペイド契約→即停止」の手もある 安いWi-Fi版にしたいが、いざという時のために3Gが欲しいし、アプリケーションとの連携を考えるとGPSがあった方がいい…という人もいるだろう。そんな人は、プリペイドプランを活用する方法がある。 プリペイドプランは1回のチャージで4410円かかるが、好きなときに停止することも可能だ。最初はプリペイドプランで契約し、すぐに停止してしまえばよい。停止したあとはWi-Fiだけで利用すれば、データ料金を払わずに利用できるわけだ。 3G回線の契約は360日経つと切れてしまうが、360日の直前にもう一度プリペイドプランに加入すればいい。7月1日から提供が始まる「(iPad専用)プリペイドプラン(100MB)」ならば1510円で1回チャージできるので、再びそこから360日は回線がキープできることになる。 この「3Gプリペイド契約→即停止」と「Wi-Fi」のコストを比較したのが下の表だ。 「3Gプリペイド契約→即停止」の場合、16GB版ならば約6万7千円で3G版のiPadが持てる(一括払いでの購入の場合)。Wi-Fi版よりも約1万8千円高くなるものの、GPSや緊急用の3G回線が欲しい人には向いている。 ただし、契約変更ができないというデメリットがある。ソフトバンクモバイル広報部によると、データ定額プランとプリペイドプランの相互契約変更は一切できないとのこと。プリペイドプランでiPadを入手した場合、使い放題のデータ定額プランには移行できないのだ(逆もできない)。購入の際は、どのプランにするか慎重に考える必要がありそうだ。 量販店でのポイント還元、現時点では還元の有無が不透明 一般的な携帯電話の購入においては、分割ローンを利用するよりも、家電量販店で一括購入した方がお得だ。量販店独自のポイントが付くためで、ヨドバシカメラやビックカメラなどでは10%のポイントが付くのが一般的となっている。 ただし、iPadについては現時点では対応が決まっていない店が多い。「予約は受け付けるが、ポイントが付くかどうか未定」「ポイントは付けるが、何%になるか分からない」といった具合だ。発売直前までポイント付与がどうなるかは流動的になると思われるので、iPadに関してはあまり期待しない方がよいだろう。 たとえ無事に予約が済んでも、発売日に確実に入手できるとは限らないようだ。量販店での予約は「優先予約権」という形になっており、予約できても発売日の5月28日に購入できることが確定するわけではないという。販売店・ユーザーともにしばらく混乱が続くのは避けられないようで、発売直前にならないと入手できるかどうか分からないだろう。 利用パターン別のお薦め料金プラン 最後に、利用パターン別のお薦め料金プランと購入方法をまとめておこう。 持ち歩くことが多い人やWi-Fi環境が身近にない場合は、3G版の「データ定額」に入るべきだ。公衆無線LANがなければ、インターネットの接続に3G回線が必須となるからだ。プリペイドという選択肢もあるが、1GBで自動チャージという制約があるためお薦めできない。2年縛りが付くが、月月割で定額料金が安く抑えられることを考えれば問題はないだろう。 周囲にWi-Fi環境が充実している人であれば、3GのないWi-Fi版をお薦めする。すでにイーモバイルやソフトバンクの「Pocket WiFi」、UQコミュニケーションズなどのWiMAXを利用しているのであれば、iPadでもそのまま利用できるからだ。大都市であれば、行動範囲内にNTTドコモの「Mzone」などの公衆無線LANが用意されているはずだ。それならば、価格の安いWi-Fi版で十分だ。 自宅のリビング専用マシンにする、実家の両親や祖父母にプレゼントするという場合も、Wi-Fi版が最適だろう。持ち歩くことがないならば、家庭に無線LANさえ導入すれば済むからだ。面倒な契約手続きなしで使えるから、家庭内ユースやプレゼントにはWi-Fi版が向いている。 悩ましいのは、ある程度Wi-Fi環境が整っているものの、持ち歩くことも多いという人だ。1つの案として注目したいのが、先ほど取り上げた「プリペイド契約→即停止」だろう。比較的安いコストで3G版のiPadを購入でき、かつ通常はWi-Fi利用で済ませられるからだ。ただし、先ほども述べたようにあとから契約変更できないという問題点があるので、購入前は利用シーンを想定したうえでデータ定額プランと慎重に検討する必要がある。 iPadに限らず、モバイル利用をバリバリするという人は、この機会にイー・モバイルやソフトバンクの「Pocket WiFi」などを契約するのがベターだろう。いつでもWi-Fi経由でインターネットに接続でき、iPadだけに限らずノートパソコンなどの複数のモバイル機器で利用できるからだ。サービスエリア次第ではあるが、「Pocket WiFiかUQ WiMAX」+「Wi-Fi版iPad」という選択が理想的だといえよう。 筆者 三上 洋(みかみ よう) ◇携帯電話とセキュリティーが専門のテクニカルライター。「Yomiuri Online サイバー護身術」(読売新聞社)などの執筆のほか、テレビや新聞などにコメントを寄せることも多い。ケータイ料金を徹底分析してケチケチ節約することが生きがい。「ライター三上洋事務所」で個人ブログを公開中。 【関連記事】 意外に実用的!iPhoneアプリのおしゃれな類語新辞典 iPad日本版発売で海外版の注目度が高まるワケ ケータイ選びを左右するタッチパネルの基礎知識 3社の決算発表に見る、キャリア各社に求められているものとは 企業のIT化を加速させるスマートフォンとケータイ
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