大阪・高槻の遺棄女性 新生活3カ月で暗転 知人ら「住み続けていたら」
5月14日3時25分配信 産経新聞
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淀川河川敷で袋に包まれた女性の遺体を発見。付近を調べる警察官ら=30日午前9時40分、高槻市東上牧(甘利慈撮影)(写真:産経新聞) |
[フォト]女性の遺体が発見された淀川堤防の現場付近
「派遣切り」が社会問題化していた昨年1月、当時「谷岡」姓だった宇野さんは、愛知県岡崎市からわずかな荷物を手に、雇用促進住宅に入居した。真冬だったが毛布さえも持っていない宇野さんに、住民たちは生活する上で最低限の物資を譲りあったという。
家族の話をすることはなく、以前の仕事など身の上について多くを語ることはない。服装も質素で、アクセサリーもつけていなかった。住民から販売業のアルバイトを紹介されたこともあったが、「接客は向かないから」と申し訳なさそうに話し、住民たちとの交流もほとんどなかった。
宇野さんは派遣切りにあったという同じ境遇の2人の女性と同居していた。
当初は別々の部屋に暮らしていたが、親交を深め、互いの家財を持ち寄り、2Kの小さな部屋で一緒に暮らした。食事はいつも3人一緒。年長だった宇野さんは、女性の1人を「ちびさん」と呼んでかわいがったという。
生活に変化が訪れたのは昨年末から今年1月。同居人の2人が相次いで実家に帰り、孤独になった。住民の一人は「3人でいたころより、表情が暗くなった」と振り返る。部屋で一人、パソコンに没頭して過ごす日々が続いた。
このころから、宇野さんは生活に窮する。住民の男性に「生活に困っている。生活保護を申請したい」と相談し1人で市役所を訪れている。しかし、失業保険をもらっており、受給できなかったという。
1月20日、1台の車が住宅にやってきた。乗っていた男女2人は住民に「(宇野さんに)うちに住み込みで、内装の仕事をしてもらいます」と説明。宇野さんは「いろいろお世話になりました。ありがとうございました」と丁寧にあいさつしたという。
この2人は豊能町に住む夫婦とみられ、宇野さんは2月、この夫婦と養子縁組した。だが、4月末になって、高槻市の淀川堤防で変わり果てた姿で見つかることになった。
住民の男性(68)は「ここにおってくれたら、事件に巻き込まれなかったのに」と振り返る。孤独と生活苦から解放された時間は、わずかだった。
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最終更新:5月14日7時55分