経営破綻(はたん)した広島県出資の第三セクター「広島エアポートビレッジ開発」(HAV)は28日、焦点だったゴルフ場事業の売却先を選んだ。HAVは新たな再生計画案を早急にまとめ、6月23日の債権者集会で賛否を問う。民事再生手続きは最終局面を迎えた。
公募入札の結果、幸陽船渠(せんきょ)=三原市=を売却先に決めたHAVの亀頭睦訓社長は「弁済率が上がり、(入札は)一定の成果があった。債権者に理解が得られるよう努力する」と述べた。
3月の債権者集会で否決された再生計画案では、HAVがゴルフ場「フォレストヒルズゴルフ&リゾート」(三原市)を所有。今後10年間の想定収益3億1千万円を弁済原資の一部に充てていた。
今回、幸陽船渠に5億4500万円で売却することが内定し、弁済原資は増加。現行27・58%の弁済率は、31%台後半に引き上げられるという。
複数の関係者によると、入札した7社のうち、幸陽船渠と不動産会社、ゴルフ場経営会社の3社が5億円以上で応札。HAV幹部は「思ったより高額だった。立地の良さが評価された」とみる。
会員の預託金1口(1200万円)当たりの弁済額は、約50万円増の380万円になる見通し。ただ、一部会員でつくる「有志の会」には「弁済額がまだ少ない」との不満が残るほか、現行の再生計画案で保障されていないプレー権の継承を求める声が強い。
有志の会世話人の緒方俊平弁護士は「会員の地位の扱いが明確になっていない。納得できない」と話す。6月14日に総会を開き、会員の意見を集約する。
次回の債権者集会で新たな再生計画案が可決されるかどうかはまだ見通せない。
【写真説明】売却先に幸陽船渠が決まった「フォレストヒルズゴルフ&リゾート」。奥は広島空港
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