広島市は28日、6月10日開会の市議会定例会に、旧市民球場(中区)廃止条例案を再提案する方針を決めた。球場解体を前提とする市の跡地利用計画をめぐり、市議会では依然賛否が交錯しており、可決されるかどうかは流動的な情勢だ。
市は当初、3月末で球場を閉鎖し、夏にも解体に着手する予定だった。しかし、3月の定例会で市議会は廃止条例案を否決。一方で、解体経費や計画の検討費を盛り込んだ本年度当初予算案は可決し、「矛盾」ともいえる判断をした。
緑地広場を中心とする跡地利用計画について市はイメージ図を近く公表し、市民の合意形成を図る考え。一方で「議会に解体経費が認められた以上、廃止条例は不可分な関係にある」として、計画の合意形成とは切り離し、条例案の再提案に踏み切ることにした。
市は、条例案が可決されれば8月に球場を閉鎖し、年内にも解体に着手する見込み。市の跡地利用計画では、外野スタンドの一部を保存し、緑地広場にイベント施設の折り鶴ホール(仮称)や飲食施設を配置する。
市の跡地利用計画をめぐっては、議会内で主に秋葉忠利市長の政治姿勢に批判的な会派や、市民団体から早期解体に反対する声が出ている。一方、2013年に広島で開催予定の全国菓子大博覧会は、跡地に整備する広場を主会場とし、6月に企画コンペを行う。
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