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友愛はどこへ…鳩山首相が福島氏をクビにした

米軍普天間飛行場移設に関する政府方針を決定し、記者会見で一礼する鳩山首相
米軍普天間飛行場移設に関する政府方針を決定し、記者会見で一礼する鳩山首相
Photo By 共同

 鳩山由紀夫首相は28日夜、社民党党首の福島瑞穂消費者行政担当相を罷免した。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先を名護市辺野古崎地区などとする日米共同声明を受けた政府方針への署名を拒否したため。首相は迷走の末、政府方針の決定にこぎつけたが、民主党内でも批判の声が上がっており、政権基盤の弱体化は避けられない。また、社民党は連立政権離脱の検討に入ったが、党内には反対派もおり、微妙な情勢だ。

 首相は28日午後9時から官邸で会見。「最低でも県外」と期待をあおりながら、従来の日米合意と同じ辺野古への「県内移設」に逆戻りしたことについて「沖縄県民の期待を裏切り心よりおわびしたい」と陳謝。福島氏の罷免については「慚愧(ざんき)に堪えない思い」と述べたが「沖縄の基地問題に取り組み続けることが自分の使命だ」と続投を表明した。

 この日午前8時すぎ、オバマ米大統領と電話会談し、共同声明を発表。共同声明を反映した政府方針について閣僚の署名が必要な閣議決定か閣議了解とするため、当初は午後0時半に臨時閣議開催を目指し、同5時から会見する予定だった。

 しかし、県内移設に反対する福島氏が署名を拒否。午後6時から開かれた与党党首級の基本政策閣僚委員会でも閣議決定に反対する考えを表明。首相が午後7時すぎまで福島氏と1対1で最後の説得を試みたが、28分間の会談は決裂に終わり、官邸で開いた臨時閣議で罷免を決定した。

 政府方針に反対する福島氏を閣内に抱えていては今後の対米交渉や地元との協議に支障をきたし、閣内不一致の批判は免れないと判断。閣議決定にこだわった背景には、米国の信頼を取り戻すには中途半端な決定はできないとの危機感もあった。閣僚の罷免は05年8月、小泉内閣で郵政解散・総選挙に反対した島村宜伸農相(当時)以来。

 会見では3党連立体制を維持する考えを強調。社民党が連立を離脱した場合、参院での議席数は過半数ぎりぎりの122となり、重要法案の審議を終盤国会に控え、不安定となるのは確実。さらに、参院選への影響も懸念されている。

 民主党内では夏に改選を迎える議員を中心に首相への不満が表面化しており、参院幹部の1人は「いま退陣するか、参院選で負けて辞めるしかない」と退陣を要求した。

 また、日米の共同声明も新たな火種になりそうだ。移設先をキャンプ・シュワブのある名護市辺野古崎地区とし、1800メートルの滑走路を建設すると明記。8月末までに代替施設の位置と工法の検討を完了させる方針を示した。しかし、移設には地元の同意という高いハードルが待ち構えており、8月末までという期限がまた政権の首を絞めるとみられる。

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