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【久保田るり子の外交ウオッチ】北朝鮮は実際に軍事行動に踏み切るのか (3/3ページ)
北朝鮮にとっても開城工団の価値は高い。南北交易で開城工団の昨年の事業規模9億4000万ドル(約850億円)で56%を占めた。北朝鮮はこのほか年間4000万ドル(約36億円)の賃金収入も得ている貴重な現金収入源だ。
南北双方ともに本音では閉じたくない扉。先に「遮断」を強く示唆したのは北朝鮮の方だった。
「北朝鮮は当面、遮断や要員追放などで韓国を揺さぶる作戦とみるが、簡単には開城を手放さないだろう。なぜなら彼らの最後の有力なカードだからだ」(韓国政府関係者)
危険なゲーム
北朝鮮VS米韓同盟の軍事対決に76年の「ポプラ事件の再来」が期待されている。板門店で発生したのポプラ事件は、第二次朝鮮戦争も懸念される非常事態だったが、最終的に北朝鮮が謝罪した希有な例だからだ。
事件は非武装地帯の共同警備区域で起きた。視界を遮るポプラの木を切ろうとした米陸軍士官らを北朝鮮人民軍が攻撃、米士官ら2人がオノで殺害され、韓国兵士数人も不承。事件を重大視した国連軍(米韓軍)は、ポプラ並木を伐採する際、陸は砲兵、装甲車で重装備し、空は米空軍戦闘機、爆撃機、金塊は空母ミッドウェーなどが転回する軍事示威を行い、一触即発の緊張が高まった。
この作戦で北朝鮮は、故金日成主席が「遺憾の意」を表明して謝罪、全面戦争は回避された。現在、日々高まる北朝鮮VS米韓の構図にポプラ事件を想起する専門家も少なくない。しかし、北朝鮮を取り巻く内外情勢は76年当時とは比較にならないほど厳しく、また不安定である。