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4、われわれの「党」観・組織原理について
われわれの解放組織について、荒削りな思想的観点と組織原理を明らかにする。
(1)なぜ「党」解放組織が必要なのか
これまでの中央集権制の組織原理は、構成員が自分で物を考え、自主的に判断できない人間の集団を形成した。結果として、党活動を義務と強制に転じていった。また「唯一前衛党」論は、自らを「階級闘争と革命の単一司令部」とし、この上からの指導のために「鉄の規律の中央集権制」が必要であるとした。これは、大衆運動・大衆組織への「指導の名による引き回しと支配」に変質・転化した。われわれは、中央集権制の唯一前衛党論は、無用であると考える。
しかし、そのことは革命のための党・解放組織が無用である、とこれを否定することを意味しない。支配階級がその党を先頭に、国家権力を握り、労働者民衆を支配・抑圧し、搾取・収奪しているとき、労働者民衆が資本と国家と闘い、資本主義のくびきから自己を解放していくためには、歴史発展の原動力である巨大な民衆の闘い、階級闘争の一部分でありながら、その利害を調整し、目標と方向をはっきりとし、闘いを資本と国家の廃絶、新たな協同社会の実現に向けていく推進力が必要である。
党・解放組織の全活動の目的は、労働者運動、大衆運動の上からの唯我独尊の「指導」や「自己拡大」にその重点があるのでなく、革命運動の主人公たる労働者民衆自身の自覚と自律・自治の拡大、その内部のエネルギー・英知を引き出し、解き放ち、強化することにある。その目的のためにも、その協同性において、行動、思考、人間関係において、諸個人の内面的解放をもってする自己実現を助け、その力を開花させ、自治してゆくその過程全般を論議し、調整し、組織するものを必要とする。
われわれのめざす「21世紀社会主義革命」のためには、21世紀の新しい型の解放組織が必要なのである。
(2)自由にあふれ、協同と多様性に満ちた統一、組織原理
党・解放組織の主人公は誰か。労働者階級の自己解放の思想原則が、その解放事業の推進力たるその党・解放組織に、その主人公が組織の構成員一人一人であり、その構成員「主権」をはっきりさせ、その自己決定・自治の原理で運営されねばならないことを、おのずと規定する。
また、われわれは、「一枚岩の党」観のように、党解放組織を、画一的な矛盾のない集団とするような組織観に立たない。われわれのコミュニズムの中心理念である「一人一人の諸個人の自由な発展」が、「万人の自由な発展の条件となるような協同社会(アソシエーション)」の実現をめざす組織には、まず個人の自由が自己決定・自治の原理とともに保障されていなければならない。
こうした観点から、民主的中央集権制の組織原理に代わる新しい党・解放組織の組織原理は《構成員「主権」、民主自治制、ラデイカル(根源的)民主主義、公開性》の原理である。
その際、強調しておかねばならないのは、「民主的中央集権制」をとらず、「民主自治制」原理をとるということは、個人が好き勝手にバラバラでよいということを意味しない。21世紀社会主義革命のための党・解放組織は、差異の自由な表明にもとずく主体の解放の組織的プロセス――つまり唯一前衛主義でもアナーキズムでもない、常に多様でありながら共同で活動できる自律性と協働性の結合の中に生まれる集団的「共(コモン―共通のもの)」の創出をめざすものである。だからこそ、異論の存在を前提にし、構成員相互の自由意志、自発のもとに討議し、その協同的相互関係の「間」に形成される「共通―合意点」を大切にし、実践のなかでその共通点を検証し発展させていく。差異があり多様でありながら協同して闘っていく組織原理である。
(3)「運動概念型」の新しい型の組織の形態とその創造的システム
アソシエーション革命でもある「21世紀社会主義革命」のための21世紀現代の党・解放組織は、その型においてこれまでの三角形・垂直の中央集権型のトップダウンではなく、「リゾーム(地下根茎)状」の下からのボトムアップを特徴とする組織形態である。
これまでの国際的革命運動において挑戦された「リゾーム(地下根茎)状」の形態――ポーランド革命のフォーラム型「連帯」、キューバ革命の「7・26運動」や最近のベネズエラ革命の「第五共和国運動」などの運動型、現在進行中の「世界社会フォーラム」の試みなど――の歴史的経験に学び、「運動概念型」の組織とする。
この新組織は、直ちに、討議・結合・コミュニケーション・協働のためのインターネットを使った独自のシステムを、また各種プロジェクトを豊かに創造し、資本と国家を包囲する網の目を形成することを、大きな課題とする。
結びに(略)
注―この文書は、来るべき「革命21」結成時において決議されるための「プログラム素案」作成のための骨子である。従って、5・11会議では「骨子案」として扱い、準備会の本格化のなかで集団的に討議され、より豊かにされ、成文化されていく性格のものである。よって、あえて省略した前文と結びをはじめ、農業・「エネルギ−資源」問題などいくつかの重要な問題の欠落については、今後深めていくことにする。 なお、5・11総会には、「プログラム草案の討議のためのたたき台」が、資料として提出されている。その全文は、「革命21ホームペイジ」にて読むことが出来る。
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