高木マニア堂

何となく思いついたこと、目についたことをツラツラと…。

171:ミスター・ポーゴは言葉の魔術師

ノンセクション2010年05月28日 10:00 | フォルダ : 

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<2008年10月=東スポ・プロレス格闘技サイト「プロレスマニア堂」より>

 10月22日に国内で開催されたプロレスの結果を調べてみる。

 新日本(熊本)、全日本(青森)、ノア(兵庫・豊岡)と3大会が開催されているが、そのいずれの興行タイトルも横文字の羅列だ。

 また、それぞれの大会の主要試合のフィニッシュ技も「新日本(中邑真輔)→ランドスライド」「全日本(諏訪魔)→ラストライド」「ノア(ブライアン・ダニエルソン)→キャトルミューティレーション」と、文字だけ読んでも、サッパリとイメージが湧いてこない技ばかりだ。

「地獄固め」とか「殺人投げ」とかのほうがピンとくる。シリーズ名も「血みどろシリーズ」とか「頭突きシリーズ」とかのほうが、プロレスっぽく、しっくりする。

 今はミュージシャンの名前や曲名とかも、無意味な横文字羅列が流行っている。プロレス界も世の流行に倣っているのだろう。だが、せめてプロレスだけでも、世間の潮流に抗っていて欲しいと願う。大体、一般人離れした屈強なプロレスラーが世間のオシャレに迎合したところで滑稽なだけだ…。

 それはさておき。言語センスという点で、実に卓越した、ユニークな感性を持っていたのが極悪大王のミスター・ポーゴだった。

 あれは十数年前のFMW巡業のこと。当時、大仁田厚率いるFMW本隊を軽く上回る陣容を誇り、ちょっとした「悪のインフレ状態」にあったのが、ポーゴをボスとするW☆ING同盟だった。

 そのW☆ING同盟が北関東に専用秘密道場を設立したとかで、その道場名を決める会議が会場の控室にてとり行われていた。

 松永光弘や金村キンタロー、保坂秀樹、非道らが一生懸命、頭を悩ませ「殺」「悪」「地獄」「KILL」「HELL」などの“邪悪言語”を駆使した名前を提案するも、ポーゴは「そんな物騒なのはダメだ」と却下してしまう。

 ポーゴは「オレたちはW☆INGだろ?ならば『道場・翼』とか『夢・飛翔』みたいなのはどうだ?」などと言い出す。まるで卒業文集や、合唱コンクール課題曲みたいなセンスだ。どうにも悪の組織には似つかわしくない…。

 結局、道場名はポーゴが提案した「ムジナの目」という、どこかユーモラスで狡猾さが漂う不思議なネーミングに決定した。その場にいた誰もが、想像すらできなかった奇妙キテレツな素晴らしいネーミングだった。

 悪は悪だが、どこかユニークさが漂うのがポーゴの真骨頂。思えば日本人悪役の定番「TOGO(トーゴー)」の聞き間違えから誕生した「POGO(ポーゴ)」というリングネームを、あえて訂正もせず、まっとうしたのだから凄い。

 無理に世間に迎合した「オシャレ系」を目指し、無理な背伸びを繰り返すマット界に、今こそ必要なのは、こういった卓越した言語センスの持ち主ではないか?

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