9回裏1死一塁、森野の2ランに沸くライトスタンドのファン
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◆日本ハム9−5中日
敗戦にも光明はあった。それも強くて大きい光。不振にあえいでいた森野が大爆発したのだ。一発を含む4安打2打点。復調を証明するかのような活躍ぶりだった。
「自分の中でよくなっているとは思っていて。でも、こんなに打てるとは思いませんでした」
打った森野自身も驚くばかり。まずは初回。2ストライクと追い込まれながらも、日本ハム・増井の速球を右中間二塁打。4試合ぶりの安打となった。「1打席目にしっかり打てたのがよかった」。もう止まらない。5回には左前打、7回には右翼線二塁打。とどめは9回1死一塁。金森のカットボールを右翼席に突き刺した。7号2ラン。勝利にはつながらなかったが、スタンドを喜ばせたことがうれしかった。ファンを大切にする選手会長らしかった。
「あのまま終わるわけにはいかないので、打ててよかったですね」
交流戦に入ってから、安打がぴたりと止まっていた。試合前の時点で38打数8安打、打率2割1分1厘。交流戦直前で4割7厘もあった打率は、3割6分台に落ちていた。「悪いところはわかっているんですけど、それができない。考えているうちはダメですね」。そう悩みを吐露(とろ)したこともあった。
いくら不調でも試合は待ってくれない。森野は自らの状態と正面から向き合い、試行錯誤を重ねた。若手選手より早く球場入りし、早出特打を敢行したことも。そして雨天中止となった26日の試合前、ようやく復調の手応えをつかめた。「きのうの練習ぐらいからよくなって。それが試合で結果として出てよかった。もう大丈夫」と石嶺打撃コーチは話した。
6回にファウルフライを取り損ねる失策を喫するなど守備に反省点は残ったが、4安打は今季3度目。猛打賞は今季12度目となり、シーズンの自己記録を更新した。「復調した理由? 説明するのは難しいですけど、自分の中ではわかっていますから。これが続けばと思います」。説明はいらない。結果を出すのが仕事。自身の調子とともに、チームを上昇気流に乗せようとしている。 (清水裕介)
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