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【ドラニュース】


吉見の乱、今季ワーストタイ5イニング5失点

2010年5月28日 紙面から

中日−日本ハム 1回表2死満塁、金子誠に2者連続の押し出し四球を与え、マウンドで肩を落とす吉見=石川県立野球場で(中村千春撮影)

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 あ〜吉見、加賀の乱−。

 中日は27日、年に一度の金沢での日本ハム戦。だが必勝を期し送り出した吉見一起投手(25)が初回にプロ初の押し出し四球を連発。その後も修正がきかず5イニング5失点KO。野手陣もミスのオンパレード。大量失点がこたえ、9回の反撃も届かず5−9の敗戦。しとしととグラウンドを濡らしたのは北陸の竜党の涙雨か…。

 金沢の冷たい夜風が容赦なく吉見に吹き付けた。「自分自身で自分をつぶしてしまいました…」。5イニング5失点。降板直後、吉見は落胆した。自滅。自分を責めた。

 異変だった。まさかのシーンは立ち上がりの1回だ。2死満塁から6番・高橋に押し出し四球を与えた。先取点はプロ初の押し出し。次の金子誠にはストレート四球。2連続押し出しだ。

 プロ入りからこの試合前まで、通算390イニングを投げてきた。押し出しなど一度もなかった。それほど制球には安定感があった。だからこそのまさか。「多分、人生で初めてです」。試合後、吉見はそう言った。天性のコントロールを持つ右腕が人生初体験の連続だ。

 プロ初のスライド先発。さらには慣れないマウンドにも苦労しただろう。本人は「それを言っては言い訳になる」と、言及しなかった。金沢ではリリーフで08年に1イニングを投げ、2奪三振無失点と好投している。とはいえ、めったに投げない地方球場。吉見にとっては12球団の本拠地以外で先発するのは初めてだった。

 投手の感覚、特に吉見ほどの制球力を持つ投手のそれは繊細だ。「言葉では表現するのが難しい。感覚なんです」。連勝街道に乗ったとき、こう話していた。そんな自分の感覚を制御する前の失点だったのだろう。

 不運も重なった。記録に残らなかったミスも含め、バックが“守乱”。援護もゼロでは好転のしようがない。

 落合監督も責めなかった。「吉見が、と言うより、確かに2点は取られたけど、我慢してたら何とか追いついてくれるな、という点の取り方をしないといけない。そういう意味では3回(無死一、二塁から3、4、5番が凡退)がすべてだった」。攻撃に勝負の分岐点を見いだしていた。

 もっとも吉見本人は反省ばかり。「今日も先に点を与えてしまって、自滅してしまいました」。前回19日のロッテ戦でも1回に先制点を与えて負けた。連勝が6で止まった後は2連敗だ。

 先発の、そして戦略の柱となる男が止まったままでは、チームは前には進まない。終わってみれば、試合は今季ワースト記録となる16被安打、4失策。首位・巨人とのゲーム差は「4・5」に広がった。「情けないです。次、がんばるしかないです」。まさかの連続、不運まで重なった黒星。倍にして取り返す。 (生駒泰大)

 

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