きょうのコラム「時鐘」 2010年5月29日

 本紙ヒラリ君クイズ今週のテーマは「夏の花」。先日は「ヒマワリが花首を太陽の方向に向けるのは、どのころか」とあり、正解は「つぼみのころ」だった

昨日は「夕方に咲き、朝にはしぼむ花」の質問だった。そんなはかない花のあるのを初めて知った。政権という太陽に向かって首を回してきた政界の「ヒマワリ」社民党のことを思ってしまうのである

ヒマワリだけでなく、すべての植物は光の強い方向に伸びる性質を持っている。そもそも政権を取るために存在する政党が「向日性」を発揮しても驚かないが、夕べに咲いて朝にしぼむのでは、いかにもはかない

福島党首は自ら辞表を出さず罷免される道を選んだ。筋を曲げないのを評価する向きもあるが、一連の党内騒動から見えるのは、権力の蜜を味わった者の悩みである。権力中枢の味を知った者がそれを手放せないのは世の常。政権離脱か残留かの最終結論を持ち越した

身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれとなるのかどうか。連立与党8カ月余。権力という太陽に向き合うには荷が重く、夕べに咲き、朝にはしぼむ夏の花を見る思いもする。