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全頭出荷 対策進まず、感染発生地の加工場再開も

牛豚肉加工処理の再開が検討されている食肉加工場入り口付近を消毒する従業員(24日午前、宮崎県都農町で)=大野博昭撮影

 宮崎県の口蹄疫(こうていえき)問題で、農林水産省は発生地から半径10キロ〜20キロ圏の「搬出制限区域」の対策が進まないため、感染発生地にある加工場を再開するようJAなどに要請した。

 19日に決まった政府の総合対策では、搬出制限区域の全家畜を1週間以内に食肉加工して出荷し、「家畜の空白地帯」をつくるとうたわれていた。しかし、区域内の加工場はわずかで、法律上、区域外にも搬出できない。特例として発生地の加工場再開を検討せざるを得ない事態になっているが、感染拡大などのリスクもある。

 県によると、この区域には、牛3万3000頭、豚3万5000頭(4月29日現在)が飼育されている。政府の対策は、〈1〉発生地から半径10キロ圏内の「移動制限区域」では、全頭殺処分を前提にワクチン接種を行う〈2〉外周の「搬出制限区域」では、すべての牛と豚を1週間以内に食肉加工し、その後、一定期間、新たな畜産を行わない――との内容。

 しかし、搬出制限区域内にある加工場は、北部の日向市の1か所で、処理できるのは豚だけ。1日の処理能力は700頭分までで、仮に連日稼働させても、目標の1週間では4900頭しか処理できない。南部の宮崎市などからこの工場へ向かう道は、川南町など口蹄疫の蔓延(まんえん)地帯を通っていて、通り抜けは難しい。

2010年5月24日  読売新聞)
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