去年4月、長崎県沖で漁船が沈没し、乗組員11人が死亡、1人が行方不明になっている事故で、国の運輸安全委員会は、波の上に乗った船がバランスを崩して転覆するという特異な現象が起きたとする調査結果をまとめました。
この事故は、去年4月、長崎県平戸市沖で、東シナ海の漁場に向かう途中の巻き網漁船「第11大栄丸」(135トン)が転覆・沈没し、乗組員22人のうち11人が死亡、1人が行方不明になっているものです。運輸安全委員会の調査結果によりますと、大栄丸は、右斜め後ろから大きな波を2回受けた際、波の上で大きく右に傾き、姿勢を立て直せないまま転覆したとしています。波の上に乗った船はバランスを崩しやすいため、船はスピードを落として波をやり過ごす必要があるということですが、大栄丸は減速せず、船が長い間波の上に乗る形になったとしています。また、甲板の作業スペースが広く海水がたまりやすいという漁船の構造や、船が傾いた際に積んでいた重さ20トンほどの網が右側に移動したことも要因になった可能性があるとしています。運輸安全委員会は、水産庁や関係する漁業団体に対し、こうした現象の危険性について漁船の乗組員らへの指導を徹底するよう求めています。