2010年05月22日

◆ 口蹄疫の問題

 口蹄疫の問題について、私の見解を示す。これは、単に牛の問題であるだけでなく、日本の保健行政全般が未整備であることを意味する。将来的には、人間に災禍が降りかかるだろう。

 ──

 口蹄疫が人間に感染することはないが、別の病気が人間に感染して大被害をもたらすことは、起こるだろう。というか、起こりかねない。その問題(一般的な問題)を指摘する。

 今回の口蹄疫では、県や国の体制がまったく不備であることが判明した。
  ・ 4月20日に発症が判明したあと、感染の防備体制を取らなかった。
  ・ 6頭の種牛を隔離せず、同じ車に載せ、同じ畜舎に入れた。
   (そのせいで、親亀こけたら みなこけた、となる。)

 この点を指摘され、県の担当者は、自分たちの不備を認めたという。
 
 ──

 しかし、より根源的な問題がある。そもそも、こういう問題は、国のレベルで指導するべきなのだ。4月20日には国に報告が入ったのだから、その時点で、国が対処の態勢を取るべきだった。
 ところが、現実には、なされなかった。なぜか? 「こうするべし」と指示する司令塔(ヘッド)が、日本には存在しないからだ。
 では、それは何か? 前にも述べたことがある。これだ。
  → 日本疾病対策センター
 その趣旨は、こうだ。(転載)
 「欧州疾病対策センター(ECDC)」および「米疾病対策センター(CDC)」に準じて、「日本疾病対策センター(JDC)」を設置するべきである。パンデミック対策には、このような組織が必要なのに、日本には存在していない。それゆえ、設置するべきだ。
 これは、人間に感染するインフルエンザの場合だ。ただし、感染症については、人間だけを対象とするべきでなく、動物も対象とするべきだ。
 そもそも、前年に大騒ぎしたインフルエンザは、豚インフルエンザであり、豚から感染したものだ。動物と人間をあえて区別する必要はない。両者を一括して、「こうせよ」と指示をする司令塔が必要だ。もしそういう司令塔があれば、今回も、県や国に対して、「こうするべし」という指導ができたはずだ。
 つまり、問題は、県の対処でもなく、また、農水省の対処でもない。県や農水省は、誰かの指示を受けて、その指示を実行すればいい。何をするべきかを指示するのは、(政府内にある)感染症の専門家集団だ。
 しかるに、それは、日本には存在しない。米国には、米国疾病対策センター( CDC )があり、欧州にも同様のものがあるが、日本には存在しない。ここに問題の根源がある。

 とすれば、将来、日本で人間に感染症が発生した場合、またしても、右往左往することになるだろう。豚インフルエンザのときには間違った対処をしたし、口蹄疫では何も対処をしなかったが、三度目に、何らかの感染症が流行した場合、またしてもひどいことになるだろう。そして、そのとき奪われるのは、種牛ではなく、人命である。

 だからこそ、私は唱える。「日本疾病対策センターを設置・構築せよ」と。
 しかし、民主党政権がやっていることは、必要なものを構築することではなく、不要なものを削ることだけだ。(事業仕分け。)
 方向が、あさっての方向を向いている。



 [ 付記 ]
 日本にも 感染症情報センター というものはあるが、これが役立たずのゴミであることは、前にも何度か述べた。
  → サイト内検索 「感染症情報センター」

 事業仕分けするなら、こいつですね。(とはいえ、これは、ただの広報部だと思えば、そんなに悪くはないのかも。悪いのは、感染症情報センターのトップに居座る人物だ。人が悪いというより、頭が悪い。)
  
posted by 管理人 at 13:32 | Comment(0) | 医学 ・統計
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