閣議終了後、記者団の質問に答える福島瑞穂消費者担当相=28日午前8時51分、国会内、飯塚悟撮影
鳩山由紀夫首相は28日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題に関する政府方針について、臨時閣議を開いて全閣僚の署名を得て決定する方針を固めた。ただ、社民党党首の福島瑞穂・消費者担当相は同日、署名拒否に加え、自発的辞任も否定したため、閣僚罷免は不可避の情勢となった。
福島氏は同日、移設先を辺野古周辺と明記した日米共同声明について「辺野古の海を埋め立てるのは自然への冒涜(ぼうとく)だ」と指摘。閣議で署名を求められた場合の対応については、「共同声明に辺野古が盛り込まれれば署名しないと常任幹事会で決めており、それは社民党の方針だ」と語り、拒否の姿勢を崩さなかった。
さらに、自ら閣僚を辞任するかどうかについては「まったく考えていない」と否定。社民党の連立離脱については「30日に全国幹事長会議を開き、みんなでしっかり議論して話し合っていきたい」とだけ述べた。
こうした福島氏の姿勢について、北沢俊美防衛相は28日の記者会見で「署名拒否は首相に対する不信の表れになるので、その前に自らの立場を明らかにするのが政治家であれば当然のこと」と語り、自発的な閣僚辞任を求めた。岡田克也外相も同日、「安全保障のような重要課題で意見が分かれるのであれば、政治家としての決断がまずあるべきだ」と指摘した。
首相側は、閣議で閣僚署名の必要のない「首相発言」で福島氏との妥協を模索してきた。だが、民主党内から「首相発言では有権者から見透かされ、選挙には大きなマイナス」(党幹部)との批判が噴出している。
平野博文官房長官は同日の会見で「社民党の同意が得られなくても28日中に対処方針を決定する」と表明。鳩山首相も同日、記者団に「今日中に結論を示す」と語った。