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首相揺れ、混乱に拍車 迷走重ねた普天間問題 '10/5/28

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設先はキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)付近とすることで日米両政府が合意し、「県外」からスタートした候補地探しは、鹿児島県・徳之島などを経て最終的に現行計画とほぼ同じ場所に帰着。この間、鳩山由紀夫首相の発言の大きな揺れが混乱に拍車をかけ、普天間問題は迷走に迷走を重ねた。

 昨年の衆院選直前に「最低でも県外」と発言した首相は就任後も県外移設が前提との考えを表明。鳩山政権は一部でも県外に移設できないか模索した。

 昨年11月13日の日米首脳会談でオバマ大統領が現行計画の履行を要請。首相は「トラスト・ミー(私を信頼して)」と述べたが、その後の言動で米側は首相に不信感を高めた。すると首相は「辺野古(案)は生きている」と発言。同12月に社民党が連立離脱をほのめかした際には「辺野古ではない地域を模索し、できれば(そこに)決める状況をつくりたい」と再び県外を強く示唆した。

 3月2日に米側に現行計画断念を伝達。同26日にキャンプ・シュワブ陸上部に暫定的にヘリ部隊の一部を移し、最終的には勝連半島沖の埋め立てによる人工島か鹿児島県・徳之島へ移転する二段構えの案を提示した。首相は4月2日には関係閣僚に「徳之島を全力で追求したい」と明言した。

 しかし米側が徳之島と勝連半島沖を拒否。日本側は米国ペースで辺野古移設に追い込まれる。少しでも自民党政権との違いを出そうと、沖合でのくい打ち桟橋方式を示したものの、米国は難色を示し、結局、環境影響評価(アセスメント)を遅らせないとの理由で、ほぼ現行計画通りに埋め立てる構想への回帰を余儀なくされた。

 徳之島案と並行して3月26日には「極力、県外に移転させる道筋を考えたい」と強調。4月には「辺野古の海に立てば、埋め立てられることは自然に対する冒とくだと大変強く感じる。現行案を受け入れられるという話はあってはならない」とまで言い切っていた。

 首相は当初、3月末までに政府案をまとめるとしていたが、実行できなかった。自ら「米国、沖縄、連立与党の合意・理解を得ての5月末までの決着」を約束。4月23日の衆院本会議では「職を賭す覚悟」と進退を懸ける決意を示したものの、言動不一致に終わった。




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