日本の大学研究者が発明した新しい電子材料が、韓国サムスン電子など海外企業によって次々と最初に製品化されようとしている。日本の優れた基礎研究が海外から注目されるのは誇るべきだ。しかし1番目のユーザーが日本企業でないのは残念だ。研究の価値をあまり評価していないのか、それとも2番手以降のスタートで追い越す自信があるのだろうか。
九州大学の菊池裕嗣教授は、横浜市で26日に開幕した高分子学会で、チッソ石油化学(東京・千代田、岡田俊一社長)、日油と共同で開発した新しい液晶材料「高分子安定化ブルー相(PSBP)」を紹介した。電圧をかけると現在のネマティック相と呼ぶ液晶材料の10倍も速く動く。
2002年に発明して以来、菊池教授らは8年かけて実用的な液晶テレビに使えるレベルまで材料の特性を高めた。バックライトに重ねて40ボルトの電圧をかけると、セ氏0~60度の範囲で1千分の1秒の間隔で明るさが1千倍上下して明滅する。製品に使うには駆動電圧を20ボルトに下げ、使用温度をセ氏零下20度~80度に広げる必要があるが、「あと2年で実現できるだろう」(菊池教授)
現在の液晶材料をPSBPに代えれば、液晶に高速動作が求められるカラーフィルター不要の大画面や3次元(3D)テレビを作れる。
カラーフィルターは明るさを下げる原因になっていたので、取り除けばテレビ全体の6割以上を占めるバックライトの消費電力を3分の1以下に減らしても同じ明るさを維持できる。
ところが最初の製品化を目指すのは日本企業でなくサムスン電子。2年前の5月、米国で開いた国際ディスプレー学会(SID)で世界で初めてPSBPを使ったディスプレーを紹介した。当時のPSBPはまだ未完成だったため、SIDの参加者によれば、画質の見栄えが悪かったようだ。しかし菊池教授は「力ずくとは言え試作したのは世界で最初。これから日本企業が実用化してもサムスンのマネをしたと言われる」と残念がる。
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