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【政治】

天下り 宝くじ食い物 収益 総務省OB在籍法人へ

2010年5月22日 朝刊

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 行政刷新会議の事業仕分けは二十一日、宝くじの収益金が官僚の天下り先の公益法人に流れ、高額な給与や退職金に消えている実態に切り込んだ。「庶民の夢」である宝くじの収益金を天下り法人が食い物にしている構図が明らかにされ、傍聴人からは怒りの声が上がった。 (後藤孝好)

 宝くじの売り上げは二〇〇八年度で約一兆円。そのうち宝くじの普及宣伝事業の委託費などとして約三百億円が、総務省OBの天下り先である日本宝くじ協会や自治総合センター、全国市町村振興協会に流れ、この三法人の「下流」に位置するほかの天下り法人へと流れる。

 仕分け人の寺田学衆院議員は「天下りがいる公益法人への助成額の平均は約四千万円だが、いない場合は約千二百万円だ」と指摘。収益金が天下り先に手厚く流れている実態を明かした。

 寺田氏は「天下りの理事長らが二千万円もの給与をもらうのは適正か」と追及。尾立源幸参院議員も自治総合センターの事務所の家賃が年一億八千万円に上ると問題点を指摘したが、説明者側は「給与は国会議員もそれぐらいはもらっている」「問題はない」と反論。傍聴席からは「ふざけるな」とやじが飛び、会場は仕分け後半で最も盛り上がった。

 ただ、宝くじは国の事業ではなく、税金は投入されていない。実際、発行団体の代表として出席した旧自治省出身の伊藤祐一郎鹿児島県知事は「収益金は地方の財源だ。なぜ仕分け対象になったのか不可解だ」と不快感を示した。

 それでも仕分け人は普及宣伝事業を廃止して、天下り問題などが解決されるまで宝くじ販売を認めるべきではないと判定。総務相の宝くじ発行認可権限をテコにして、改善を迫っていく方針だ。これに対し、伊藤氏は終了後に「一方的な判断だ」と反発した。

 公営ギャンブルにも同様の構造がある。行政刷新会議は二十四日、競輪の売上金を天下り法人に配分している経済産業省所管のJKAを仕分けの俎上(そじょう)に載せる。

 

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