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民主党の事業仕分けは田中真紀子氏の外務省叩きと同レベル
2010年05月27日15時02分 / 提供:フリーライター宮島理のプチ論壇 since1997
メディアはすぐに「国民はパフォーマンスにだまされやすい」と言うが、実際にパフォーマンスに目を奪われて、改革の地道な工程を邪魔しているのはメディアの側だ。
田中真紀子氏の外務省叩きを賞賛したメディアが、今は民主党の事業仕分けを賞賛しているのだから、まったく進歩がない。表面的な官僚叩きに喝采するのは、メディアの怠慢である。
真紀子氏は、外務省を「伏魔殿」と呼んで、思いつきで人事を凍結したり、大臣室への出入り禁止などを行った。しかし、改革の具体的な方法論を欠いていたため、何も進展しなかった。方法論の欠如をごまかして、思いつきで威勢の良いことだけを言い、官僚を罵るだけだった。
真紀子氏は9カ月で更迭された。もし、あの時、真紀子氏を更迭していなければ、小泉改革はなし遂げられなかっただろう。真紀子氏のパフォーマンスは、改革とは無関係どころか、改革にとっては邪魔でしかなかった。改革をつぶすのは、いつだって「方法論を欠いた過激な自称改革派」である。
しかし、真紀子氏が更迭された時、毎日新聞は社説で小泉首相を批判した。
「この対応は、構造改革を進める上でも悪例となりかねない。公共事業に大なたを振るい、郵政など公的独占分野を見直そうとする小泉改革にとって、族議員を抑え、官支配から脱却することは必須条件だ。ところが、特定議員がNGO活動にまで口出しし、排除を決めた官僚が一緒になって、責任追及する大臣に猛烈に反撃した。特殊法人改革や公共事業削減に、族議員と官僚がスクラムを組んで抵抗する構図と何ら変わりない。今回の外相の首の切り方は、小泉改革が本物かどうかを疑わせる」(2002年1月31日付の毎日新聞社説)
現実には小泉改革で、公共事業を含む聖域無き歳出削減が断行され、郵政民営化まで実現した。毎日新聞には何も見えていなかったのである。一方、多くの国民は、改革のパフォーマンスではなく、現実的な工程をちゃんと注視していた。だからこそ、その後、世論で反改革派が多数派に転じるまで、小泉改革は長く支持された。
小泉内閣は改革派(財政再建、規制緩和、民営化・分権化)だったが、民主党政権は反改革派だ。民主党政権は、古い自民党利権政治(角栄型バラマキ)や古い社会党利権政治(美濃部型バラマキ)を復活させる革命派(財政赤字、規制強化、国営化・集権化)なので、パフォーマンスが邪魔になるどころか、積極的に活用されている。
事業仕分けはアリバイ作りのための便利なツールだ。民主党の事業仕分けでは表面的に官僚叩きばかりしているが、実際には天下り公認、終身雇用化、人件費増大が行われている。公務員既得権肥大化のアリバイ作りに加担しているという点では、真紀子氏よりも事業仕分けの方が何万倍も問題だ。もっとも、それは改革派にとって問題なのであって、反改革派の間では事業仕分けは依然として支持されている。
改革の邪魔になった真紀子氏は小泉内閣で更迭されたが、改革つぶしの道具として役に立つ事業仕分けは民主党“反改革”政権の中で最大限に活用されている。実にわかりやすい構図である。
・記事をブログで読む
田中真紀子氏の外務省叩きを賞賛したメディアが、今は民主党の事業仕分けを賞賛しているのだから、まったく進歩がない。表面的な官僚叩きに喝采するのは、メディアの怠慢である。
真紀子氏は、外務省を「伏魔殿」と呼んで、思いつきで人事を凍結したり、大臣室への出入り禁止などを行った。しかし、改革の具体的な方法論を欠いていたため、何も進展しなかった。方法論の欠如をごまかして、思いつきで威勢の良いことだけを言い、官僚を罵るだけだった。
真紀子氏は9カ月で更迭された。もし、あの時、真紀子氏を更迭していなければ、小泉改革はなし遂げられなかっただろう。真紀子氏のパフォーマンスは、改革とは無関係どころか、改革にとっては邪魔でしかなかった。改革をつぶすのは、いつだって「方法論を欠いた過激な自称改革派」である。
しかし、真紀子氏が更迭された時、毎日新聞は社説で小泉首相を批判した。
「この対応は、構造改革を進める上でも悪例となりかねない。公共事業に大なたを振るい、郵政など公的独占分野を見直そうとする小泉改革にとって、族議員を抑え、官支配から脱却することは必須条件だ。ところが、特定議員がNGO活動にまで口出しし、排除を決めた官僚が一緒になって、責任追及する大臣に猛烈に反撃した。特殊法人改革や公共事業削減に、族議員と官僚がスクラムを組んで抵抗する構図と何ら変わりない。今回の外相の首の切り方は、小泉改革が本物かどうかを疑わせる」(2002年1月31日付の毎日新聞社説)
現実には小泉改革で、公共事業を含む聖域無き歳出削減が断行され、郵政民営化まで実現した。毎日新聞には何も見えていなかったのである。一方、多くの国民は、改革のパフォーマンスではなく、現実的な工程をちゃんと注視していた。だからこそ、その後、世論で反改革派が多数派に転じるまで、小泉改革は長く支持された。
小泉内閣は改革派(財政再建、規制緩和、民営化・分権化)だったが、民主党政権は反改革派だ。民主党政権は、古い自民党利権政治(角栄型バラマキ)や古い社会党利権政治(美濃部型バラマキ)を復活させる革命派(財政赤字、規制強化、国営化・集権化)なので、パフォーマンスが邪魔になるどころか、積極的に活用されている。
事業仕分けはアリバイ作りのための便利なツールだ。民主党の事業仕分けでは表面的に官僚叩きばかりしているが、実際には天下り公認、終身雇用化、人件費増大が行われている。公務員既得権肥大化のアリバイ作りに加担しているという点では、真紀子氏よりも事業仕分けの方が何万倍も問題だ。もっとも、それは改革派にとって問題なのであって、反改革派の間では事業仕分けは依然として支持されている。
改革の邪魔になった真紀子氏は小泉内閣で更迭されたが、改革つぶしの道具として役に立つ事業仕分けは民主党“反改革”政権の中で最大限に活用されている。実にわかりやすい構図である。
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