福島氏“辺野古移設”署名拒否の方針　罷免の可能性も

　社民党は２７日午前の常任幹事会で、米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設することを前提とした政府方針に反対し、党首の福島瑞穂消費者行政担当相（５４）が２８日の閣議で署名しない方針を決めた。鳩山由紀夫首相は全閣僚に署名を求める閣議決定や閣議了解としたい意向だが、その場合は福島氏を罷免せざるを得ない事態になる。

　社民党の強硬方針を受け、平野博文官房長官は２７日午前の記者会見で、署名を必要としない「首相発言」として政府方針を示すことも検討する考えを明らかにした。その最大の理由は社民党を政権から離脱させないことだ。平野氏は「社民党との選挙協力も大事な視点だ」と述べた。

　その場合、国の根幹に関わる安全保障問題への対応で内閣が意思統一を図れない実態を露呈することになり、野党などから首相の指導力への批判が強まるのは確実だ。

　これまで政府は社民党離脱を食い止めるため、辺野古移設は政府方針に盛り込まないが、日米共同声明には明記する“２枚舌”作戦を展開する方向で調整中だった。

　しかし、福島氏は常任幹事会のあいさつで「共同声明に辺野古、県内（移設で）決着と書くことに明確に反対だ。沖縄と国民の連帯を断ち切ってしまう」と強調。記者団には「声明から辺野古を削除すべきだ」と述べるとともに、首相による罷免もやむを得ないとの認識をあらためて示した。

　社民党は３０日に全国幹事長会議を開催して、政権離脱を含めた対応を協議する。