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2008-11-01

続・金利平価の初歩的な解説、あるいは円キャリーに係るリフレ政策主犯説への反論。

先日のエントリについて池田先生からご批判をいただいたので、管見を述べたいと思います。

きょうの日経の「経済教室」でも、矢野誠氏が円キャリーサブプライムバブルの原因だと書いています。これについて、財務官僚だと思われるbewaad氏がおかしなことを書いているので、訂正しておきます:

http://d.hatena.ne.jp/bewaad/20081028/p1

<円キャリーで儲けるためには、ヘッジをせずにリスクをとるしかありません。ここで取るリスクとは将来の円ドルレイト。つまり円キャリーとは金利差ではなく、将来は円安になるとの見込みに基づいて為替リスクを取ることで儲けを狙う取引なのです>

これは間違い。為替レートを(通常の経済理論のように)ランダムウォークと仮定すると、決済するときの為替差益の期待値はゼロなので、円キャリー(金利裁定)は為替レートに中立です。「円安に賭ける」必要なんかない。現実にもここ数年、円安が続いたので、為替リスクは無視できたから、1兆ドル以上も円キャリーが積み上がったのです。

また最後に「購買力平価」について変なことが書いてあるけど、金利平価や購買力平価というのは概念であって、現実に成立しているレートではないし、貿易財のレートが(国内財も含めた)購買力平価に収斂する理論的根拠もない。貿易財の購買力平価を比べるBig Mac Indexでは、7月現在で1ドル=78.4円。これぐらいが「均衡レート」である可能性が高い。実質実効為替レートでみても、ここ数年の「円安バブル」は明らかです。

「ゼロ金利政策の罪」(@池田信夫 blog10/28付)における2008-10-30 13:08:00に投稿された池田先生のコメント

前段の指摘は、webmasterの愚昧ゆえかまったく意味がわかりません。「円キャリー(金利裁定)は為替レートに中立です。『円安に賭ける』必要なんかない。現実にもここ数年、円安が続いたので、為替リスクは無視できたから、1兆ドル以上も円キャリーが積み上がったのです」とのことですが、そもそもwebmasterは円キャリーが円安の原因となったなどと書いていない(逆に円安予測がむしろ円キャリーをもたらした、と書きました)ので、何に反論されているのか認識できません。

また、「円安に賭ける」という表現が誤解を招いたのかもしれませんが、円安になるだろうと見込んで円キャリーをし、実際に円安になったので手仕舞いもされないにとどまらず我も我もと参入があったというのが「円安に賭け」たということ。「現実にもここ数年、円安が続いたので(略)、1兆ドル以上も円キャリーが積み上がったのです」というのがなぜwebmasterの所論の「訂正」となるのか、これも認識できません。

#本筋ではありませんが、「円安が続いたので、為替リスクは無視できた」っていうのはどのような意味なのでしょうか。円安が続くとヴォラティリティがゼロになるとでもおっしゃるのでしょうか?

念のため前回書いたことを別に表すなら、円キャリーとは円ショート・他通貨ロングポジションを取るということ。ショートは売り、ロングは買いですが、売りから入るのは今後下がると思うから(=安くなってから買い戻して儲けを得る)、買いから入るのは今後上がると思うから(=高くなってから売り抜けて儲けを得る)。最近だとアイスランド・クローナやハンガリー・フォリントが金利が高いにもかかわらず下がり続けたというのは、それぞれにショートポジションがはいったゆえ。やはり金利差ではなく今後の価格動向が投資判断を左右するわけで、円キャリーもまた、円安予測によってもたらされたものなのです。

後段の指摘は、まず金利平価については、webmasterが触れたカヴァード金利平価は「現実に成立しているレート」ですが? もし成立していないというのであれば、そのような為替予約を受け付ける銀行をひとつでもいいから挙げていただきたいものです。アンカヴァード金利平価と混同されているのでは?

ついで購買力平価についてですが、ビッグマック指数との比較を含め、下記をご覧いただければ。

本稿では、為替レートの長期的トレンドを説明する購買力平価に関する研究について直観的に紹介する。1990年代半ばまでの研究により、(1)長い目でみると為替レートは購買力平価が提示する均衡値へ戻ること、(2)均衡値からの乖離が半減するまで3〜5年かかること(PPPパズルと呼ばれる)がコンセンサスとなった。

藪友良「購買力平価(PPP)パズルの解明:時系列的アプローチの視点から」、日本銀行金融研究所/金融研究/2007.12、pp75-106

第1の例として、英国エコノミストThe Economist)』誌が、毎年、世界主要都市でビッグマックの価格を調査・公表している結果を用いる。表1には、2007年1月31日時点のビッグマックの現地通貨価格、ドル建価格を載せている。表1を見ると、ドル建価格は米国で3.22ドル、中国で1.41ドル、日本で2.31ドル、スイスで5.05ドルと国によって違いがあるのがわかる。このように、ドル建価格が異なる理由は何であろうか。ビッグマックを作るのに必要なビーフパティ、チーズ、レタスなどは貿易可能な財であり裁定取引が可能である。しかし、ビッグマックを調理・販売するには、現地で店舗を借り、店員を採用する必要がある。これらは非貿易財であり、これらの非貿易財は裁定取引が困難である。以上から、ビッグマックのように生産・販売に非貿易財を多く必要とする財については、一物一価が成立しにくいことがわかる。

ibid.(webmaster注:強調はwebmasterによります。また、原文の注記は略しました)

蛇足ながら、「実質実効為替レートでみても、ここ数年の『円安バブル』は明らかです」とのご指摘について論じておきます。なぜ「明らか」かはご説明がありませんが、当サイトでも何度か触れている話題なので推測すれば、実質実効為替レイトがプラザ合意前の水準になっていることを指しているものと考えられます。

実質為替レイトとは何かといえば、物価水準の変化を調整した為替レイトです。といってもわかりづらいでしょうから数値例を出せば、ある年に100円/米ドルでその翌年も100円/米ドルだったとして、その1年間に日本が物価上昇ゼロ、アメリカが2%のインフレだった場合、100円の購買力は変わりませんが1ドルの購買力は2%落ちているにもかかわらず、その購買力の落ちたドルで購買力の落ちない円を買えることから、円安・ドル高になったものと観念することです。

ここで、前回エントリでも参照させていただいたecon2009さんの分析を思い出していただきたく存じます。購買力平価と名目為替レイトととが交わったのが1985から6年にかけて、そして最近になって両者は再び近接しました。購買力平価の変動とはすなわち物価水準の変化の差分の反映、それと名目との乖離がなくなったとはすなわち実質為替レイトは同じになったということ。つまり、池田先生とecon2009さんは同じ事象を取り上げていらっしゃるわけです。

#したがって購買力平価なんて基準にならないとおっしゃりつつ実質実効為替レイトを持ち出すのはwebmasterには自家撞着にしか見えないのですが、おそらくwebmasterごときでは見逃してしまっている何か深遠な理由があるのではないかと察します。

同じ事象を池田先生は円安バブルといい、econ2009さんは円高バブルという、その違いはバブルの定義によります。世間的に通用する定義としてバブルをファンダメンタルズからの著しい乖離とするなら、池田先生はここ数年のファンダメンタルズは名目相場よりも高い水準に想定し、econ2009さんはそれを低い水準に想定したからこそ、このような違いが生まれたわけです。日本はアメリカから見れば西、中国から見れば東と、日本の位置が変わらなくとも相対関係は変わるようなものです。

少なくともecon2009さんは、ファンダメンタルズのひとつの案として購買力平価を示し、それはすなわちプラザ合意前の水準がファンダメンタルズを反映していたということと同じことを指します。他方で池田先生は妥当とお考えになるファンダメンタルズの水準を示していらっしゃいません。たとえばプラザ合意後の水準を妥当とお考えならば確かに実質実効為替レイト基準で「円安バブル」と称するにふさわしいでしょうけれども、いずれにせよ池田先生におかれましては、「明らか」とされる根拠をお示しの上で、実りある議論につなげていただければ幸いです。

やじうまやじうま 2008/11/04 02:18 おそらく、池田信夫(以下ノビー)もそれを支持する人も円キャリーが裁定取引だと思い込んでいるところにbewaadさんの書いてることを理解できない原因があるように思います。
金利に関して裁定が働くのであれば、投資家の取るリスクは為替以外にはあるはずもないのですが、ノビーは為替はランダムウォークだからとかよくわからない理屈で無理矢理円キャリーを裁定取引にしてしまっています。ボラティリティという概念がよく理解できてないのでしょう。

経済が不調な国から好調な国へ資本が移動するのは当たり前なのに、それに円キャリーというよくわからないレッテルを貼ってしまった事自体に問題があるのでしょう。

最後に老婆心ながら忠告させてもらいますが、私は2chのノビースレ住人なのですが、ノビーと関わってプラスになることは何一つありません。「実りある議論」などは絶対に望めません。bewaadさんは立場もある方なのでしょうし、適当なところて手仕舞いをしたほうが良いと思います。

このコメントに問題がありましたらご自由に削除ないしは修正していただいて結構です。別に気にしませんので。

嵐 2008/11/04 04:16 だって、池田信夫は馬鹿だもの。

パットメセニーパットメセニー 2008/11/04 12:35 「支店長、店頭に変な方がいるので、ご対応お願いします」

顧客A 「おたくの豪ドル外貨預金、1年物で5%なんだよね。為替リスクとりたくないから、1年後の豪ドル、今の段階で売り予約させてよ」
支店長 「フォワードの為替は約5円、スポットからみてドロップしますが、よろしいですか?」
顧客A 「そうすっと、何?円預金の1年物と変わらんじゃないか 君はランダムウォークを知らんのか」
支店長 「現在の為替市場はすべてそのように取引されていますが、何か?」

今回はbewaadさんの全面勝利です

ashash 2008/11/04 21:37  円安バブルを引き起こしたのは、米国債を買い続け不当に円高を拒み続けた事に原因があったのではないのですか?
今回のCDO破綻につながるバブルの原因が日本にあったなどと言うのはアホだとは思いますが、要因の一つではあったと思います。
私は本来ならもっとキャピタルフライト(円キャリー)が起こり
円安を引き起こすことによって景気拡大するものだと思って
いましたが、思っていたほど起こりませんでした。
 日本の資産は需要も生み出さないし、資産逃避もしない、
どうすればまともに景気回復出来たのかいまだにわかりません。

西麻布夢彦西麻布夢彦 2008/11/04 23:33 > ash様
> 私は本来ならもっとキャピタルフライト(円キャリー)が起こり円安を引き起こすことに
> よって景気拡大するものだと思っていましたが、思っていたほど起こりませんでした。

そりゃ当然ですね。
円キャリーが起これば、国内投資が減ります。
景気というのは、つまるところ国内通貨量×流通速度であって、流通速度は、よほど生産性が上がらなければ増えませんから、円キャリーで通貨が減れば、景気は減速します。

つまりは、金利政策は為替で相殺されて無能なのです。
それは、金利政策で景気回復などというリフレ政策が無効だということです。
(マネタリズムはグローバル経済で一国の景気をコントロールするには無効な手法です。学問=お勉強としてはおもしろいのですが)

さて、今回の池田氏と管理人様の低次元な口げんかの端緒は、管理人様の前エントリーですが
> 金利が安い円を借りて金利が高い他通貨に投資して金利差分を儲ける、(中略)
> うまい話などはないというのが経済学的思考の基本。実際、そう簡単に儲かりはしないのです。

これ自体としては正しい。(事実としてはね)

問題は
> したがって円キャリーを導いたのは低金利ではなく、円安予測なのです。
という結論が詭弁なのです。

銀行で外貨預金を売っていたときの説明を聞いてないでしょう?
彼らは「円は利息が安いけどオーストラリアドル(ニュージーランドドル)は金利が高いよ」と言って、外貨預金を売っていたのです。
それが金融庁的に、どうかは別として……

ま、管理人様が「円安は悪くない」と言いたいのは、財務省を庇いたいのか、単に他人の意見に竿を差して(自分は頭がいいんだと誇示して)自慢したいのかはわかりませんが……

なお、私は池田氏に与するものではありませんが
どこに詭弁の味噌があるかというと
> 円キャリーで儲けるためには、ヘッジをせずにリスクをとるしかありません

ここです。

まず、管理人様の主張は、完全に間違いです。
言うまでもないけど、一定の為替変動をヘッジして、その範囲内で金利収入で利益を得るというのが、為替デリバティブの1形態ですから、ヘッジして[その範囲で]リスクをとるのですよ。

それ以上に、事の本質は、投資家が何に掛けていようが、低金利は円キャリーを誘発する、といえば足ります。
円が低金利状況なら「円キャリー」が利益を生む「可能性」が高い以上、確実に儲からなくても、投資家は「円キャリー」を行うからです。
ですから「うまい話などはない」かどうかなんて、「円キャリー」の発生とは無関係です。
役人は、この世のすべての人間が「リスクをとらない」と思い込んでいるのでしょうか?

わかりやすく言えば「確実に儲からなくても、ある程度の金利差があれば、投資家は外貨預金ぐらいする」ということです。
逆に言えば、金利差がなければ、為替差損が怖くてできない外貨預金も、金利差が大きければできるということです。
金利が為替リスクを吸収してくれると思うヒトも居るからです。
だから、低金利下の円キャリーの原因を円安予測に求めるのは詭弁です。
だって、円キャリーの定義自体が「低利の円を借りて高利の通貨で運用する」なんだから。

にしても、一つ一つの事実は、一応正しいが、つなげると詭弁になると言う典型的な文章を読ませてもらって、感心しました。
どんな詭弁を弄しても、絶対に自分の非は認めない、揺るがぬ信念にも感嘆します。
さすがは官僚!

もちろん、ほめているんですよ。

※なお、池田氏もかたくななヒトのようなので、彼に与する気もありません。

とおりすがりとおりすがり 2008/11/05 00:52 >金利差がなければ、為替差損が怖くてできない外貨預金も、金利差が大きければできる

その「金利差がない」という状態と「金利差が大きい」という状態の境界はどこなんですか?
ていうか長文荒らしする前にちゃんとエントリ読んでくれよw
円キャリの原因は金利裁定ではないって書いてあるんだよ

>一つ一つの事実は、一応正しいが、つなげると詭弁になる

読んでもどこが間違ってるかわからないけど結論は気に食わない、ってはっきり言えば?

通行人通行人 2008/11/05 01:58 マルチになりますが、敢えて自分のレスを再引用。

>円キャリーで生じる、先物為替の変動は、日本から海外への資金流出ではないでしょう。先物為替市場で海外の人たちのお金がぐるぐる回る事で、信用創造っぽい事が起きて、勝手に現地マネーが増加しているだけですよね。この辺、見解が合っていないと、多分議論は一生平行線でしょう。

「『てれすこ』なる魚が滅茶苦茶美味しいらしい」という噂話に尾ひれがついて、誰も正体を知らないがゆえに噂の自己増殖を生じて、「釣るときの餌はきっとこれだ」とか「俺の経験によると、旨い魚は磯にいるはずだ」とか妄想を繰り広げている、まるで落語のような状態になりつつあるように思います。

LMLM 2008/11/06 01:10 >円キャリーで通貨が減れば、景気は減速します。

円キャリーって円とドルを交換するだけですよね。
銀行の借方にドルがあるとして、貸方は減るのかなあ??

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081104AT2C3104903112008.html
ビッグマック指数による78円は異常だとしても円は実力以上に安いというのはコンセンサスではないでしょうか。だいたい、純輸出が過剰なんだから、それを帳消しにする方向にいかなければ神の手が不在になってしまう。いままでは、アメリカの投資バブルでGlobal Saving Glut(byベルナンケ)をアメリカが吸収していたが、バブルが弾けた以上ISバランスは調整されるでしょうね。

>円キャリーとは金利差ではなく、将来は円安になるとの見込みに基づいて為替リスクを取ることで儲けを狙う取引なのです。

FXだとそうかもしれないけど、「円キャリー」は低金利の円が世界のATMになって、お金を引き出して運用していることを指すはず。円高を確信しても「ドルキャリー」を行なわない。


>これは間違い。為替レートを(通常の経済理論のように)ランダムウォークと仮定すると、決済するときの為替差益の期待値はゼロなので、円キャリー(金利裁定)は為替レートに中立です。

「将来の期待レートは現在のレートに金利裁定を入れたレートになる」という意味だと思われます。好意的にとらえれば。「ランダムウォーク」の真意はわかりかねますが、為替変動がゼロという仮定のランダムウォークだけでなく、為替変動が金利裁定の方向に動くというランダムウォークもあります。おそらく後者の意味でしょう。金利裁定の方向がわかりにくければ、(現在のドル円レート)×(日本の利子率)=(1年後の期待ドル円レート)×(1+米国利子率)ということで。


>現実にもここ数年、円安が続いたので、為替リスクは無視できたから、1兆ドル以上も円キャリーが積み上がったのです。

つまり、(金利裁定での意味での)期待ドルレートよりも(テクニカル分析な意味での)期待ドルレートが円安気味に推移していたために、安心して金利を得ることができたわけですよね。為替が安定した上でオーバーナイトの金利差がおおむね3%ほどで円キャリー発生ではないでしょうか。

FXで言えば100万円預けてレバレッジ20倍としますと、2000万円に対して金利差3%が儲けになるわけで、1日寝かせれば1600円入ってくるわけです。レバレッジをかければ金利はその分高くなりますから、レバ20倍なら3%金利が60%の金利になるわけですわ。

>池田氏と管理人様の低次元な口げんか
苦笑。

壺 2008/11/06 01:48 ●通行人 さん
>その「金利差がない」という状態と「金利差が大きい」という状態の境界はどこなんですか?

多分こんな感じだと思います。
0か100かの問題ではないので、明確な境目などなく、金利差が大きくなれば資金流出の程度が大きくなるという話かと。

金利差1% 資本流出※ 1兆円
金利差2% 資本流出  1.5兆円
金利差3% 資本流出  2兆円
※円キャリー含む
数字は適当です。

金利差というメリットがあるから投機家たちは多少の為替リスクに目をつぶって投資していたのだと思います。投機家たちは他の投機家もそうやって動くことを知っていたから円高のリスクを低く見積もっていたのでしょう。
そして昨今の金融ショックで大きな損失を出したのでしょう。

>円キャリーで生じる、先物為替の変動は、日本から海外への資金流出ではないでしょう(略)

グルグルは廻ってないと思います。
短期で日本で借金して外国債券買ってるだけでしょう。
投資期間が短期ですから、資金はすぐに帰ってきますがそれ以上の額を再び外国に戻しているわけです。
これはグルグル廻しているというよりも、国債の借り替えていると同じように貸し替えているだけです。短期金融の連続による長期(中期?)金融みたいなモンかと。

まあ、地球規模で見れば借金して投資≒信用想像なのでしょうが、ここで問われている問題はそんなことではないですよね。
日本一国で見れば明らかに資本流出だと思います。

名無し名無し 2008/11/06 03:05 >壷さん
国内経済が弱くて資本が流出していくような状況だからこそ金利を下げる必要が出てくるんですよ。一言でいえば、日本経済がダメダメだから資本が逃げて行っているわけで、逃げる資本を金利で引き止めることは困難である上に望ましいことではありません。
資本移動がグローバル化している以上、自由経済の立場に立てば資本移動を制限するために金利を上げるという選択肢はきわめて非効率なものです。

今回のサブプライムショックはいろんなところで言われているとおり、規制の失敗という面は小さくはないと思います。であれば、規制の失敗をカバーするために自由な資本移動を制限する政策をとるというのは(一理あるとしても)大きな弊害があることも容易に想像できるのではないでしょうか?

また、壷さんの理論を正しいとするならば、現状でもアメリカの方が日本より金利が高いのに、円キャリーの「巻き戻し」が起きていることを説明できません。
円キャリーの量やスピードが落ちることはあっても、金利差だけでは巻き戻ることまでは説明できません。やはり本質的には二国間の経済の強弱、つまりは為替の動向を推し量る必要があるんですよ。

通りすがり通りすがり 2008/11/06 11:23 もう勝負はついているのかもしれないですが、
「為替はランダムウォークなので期待利益はゼロ」は間違いですね。市場参加者がすべてリスク中立であれば、ランダムウォークといっても金利差の分だけドリフトがつくと考えるのが「まともな」経済理論なので、為替ポジションの期待利益はちょうど金利差分になります。そのような世界では、低金利国でファイナンスして高金利国で運用するキャリートレードの期待収益は為替の期待損失を含めて考えればゼロになるので、bewaadさんの言うとおり円キャリーは金利差ではなく円安にかける戦略です(正確にいえばフォワード為替レートより円安ということでしょうが、ヘッジファンドで実際に運用している人からみれば常識なので、わざわざフォワードと比較してという必要もないでしょう)。もっともこのような世界ではリスクだけあって期待値がゼロの戦略がなぜ一方向にポジションが傾くのかという疑問はあります。しかし、外国為替の世界では高金利通貨のほうにリスクプレミアムを要求する投資家が多い(すなわちドリフトが金利差だけではない)という実証結果もあり、そうだとすると、低金利通貨でファイナンスして高金利通貨に投資するキャリートレードの期待収益は正であることになります。また、外国為替市場は、株式市場等とは異なり堂々と介入がなされる(つまり収益を上げることを第一目標としない投資家の存在です)ので、収益機会が多いと考える投資家もいます。日本の場合、すでにゼロ金利の状況では、円安こそ(だけ?)がデフレトラップを抜け出すのに有効と考えるマクロ経済学者も多かった(特に日本人の学者以外には。日銀のコンファレンスのパーパーとかでよく見ました。)ので、そのような政策が日本政府によって採用される可能性が高いと考えた海外の投資家にとっては、リスクを考えても「割りのよい」トレードだったのでしょう。

壺 2008/11/08 14:43 ●名無しさん
>国内経済が弱くて資本が流出していくような状況だから(略)

同意権です。
ですから私はリフレ政策に賛成です。
日本のような資本過剰の先進国から、資本不足の途上国へ資本がなれるのは当たり前のことであり、基本的には良いことだと思います。
ですから、ここは論点にはなりません。

>規制について

賛成です。
私は投機には肯定的ですが、流石に限度があると思います。
レバレッジ規制はされてしかるべきだと思いますし、国際資本の流れももう少し正規の枠組みがあってもいいと思います。
まあ皆が自由を追求するためには市場放任より政府が管理をした方が良いのだと思います。

道路だって信号や速度制限があるのですから、金融界にだってそのようなものが整備されて然るべきだと思います。
競争にはフェアプレーの精神が必要かと思います。政府の仕事は、良い競争が行われるためのルールを整備することです。

>壷さんの理論を正しいとするならば、現状でもアメリカの方が日本より金利が高いのに、円キャリーの「巻き戻し」が起きていることを説明できません。

私は金利差は資本収支及び為替相場に影響を与えるといっているだけで、『常に金利の影響が最も優先される』とは思いません。
投資家も投機家も為替相場と金利の両方を見ているのです。
短期の為替相場が急激に変動している時は金利よりも為替相場の変動をとるのでしょう。円の価値が一日で10円近く動いている時に年数%の金利差など誰も気に留めないでしょう。
しかし、為替相場がそれなりに安定的なときは金利が重視されるのだと思います。

ちなみに、一般的には為替相場はこうやって決まるのだといわれています)。
為替相場(対外国通貨)=均衡為替相場+{(外国金利−外国物価)−(自国金利−自国物価上昇率)}±リスクプレミアム
(リスクプレミアムは私が勝手に±にしました)

両国の経済情勢は、均衡為替相場と物価上昇率にかかわってきます。
両国の対外債務対外債権(経常収支含む)はリスクプレミアムを変動させます。
両国の経済規模はリスクプレミアムに影響を与えるのだと思います。
したがって、過度な資本流出資本流入はリスクプレミアムを大きくし、為替を不安定にするのだと思います。

通行人通行人 2008/11/08 17:02 >>壷さん
前半は僕宛じゃないですね。

>短期で日本で借金して外国債券買ってるだけでしょう。

えっと、日本で借金というのは外国通貨建てですか?それとも円建て借金してサムライ債でも買っているのですか?サムライ債だったら、わざわざ一人入る必要ないですよね。

それとも、途中でこっそり円を売って外国通貨に変えているのでしょうか?

>まあ、地球規模で見れば借金して投資≒信用想像なのでしょうが、ここで問われている問題はそんなことではないですよね。
>日本一国で見れば明らかに資本流出だと思います。

日本一国で見たら資本が流出していないというのがポイントなんですが。

なまえなまえ 2008/11/08 20:29 ●通行人 さん
FXのような個人の場合は日本で借金しているのだと思います。
サムライ債の場合は、そのまま資本流出です。

そしてショーグン債でしたっけ?まあ外貨建てだろうが、いずれにしても資本収支的には赤字要因かと。
外貨建てならば、国内の円を外貨に替えて外貨を調達するか、国内に還流するはずだった資金がそのまま海外で運用されているということですから、いずれにしろ赤字要因です。すなわち資本流出といって間違いないでしょう。

円建て外貨建ての違いは、貸し手と借り手のどちらがリスクを引き受けるかという違いだけです。

>日本一国で見たら資本が流出していない(略)

上記したとおり、日本一国で見たら資本流出してます。
FXの例では短期であっても海外に張り付いている間は流出していますし、サムライ債はそのまま資本流出です。

ただ資金流出というと悪く聞こえますが、よく言えば資本輸出です。
余っているところから足りないところに資源が移動するのは当たり前のことです。
そしてその際の資源移動の原動力になるのが価格差です。財ならば価格であり、労働力であれば賃金であり、資本なら金利です。ですから、金利差があれば、資本流出するのは当たり前だし、資本流出の短期版が円キャリーなんだと思います。

ですから、やるべきことはリフレによる円キャリーを否定するのではなくどうやって付き合っていくかだと思います。

通行人通行人 2008/11/09 00:01 >>なまえさん(恐らく壷さんが名前入れ忘れたのですよね)
「日本一国で見たら資本流出していない」というのは、経常収支+資本収支=0から自明です。単に、既に存在する資本収支赤字分のドル資産を持っている人の所有権が、日本国内で移転しているだけです。

某所で最大の円キャリーファンドと揶揄された、外為特会も、日銀からTBで円を借りて、ドル資産(主に米国債)を購入していますが、これも大枠の資本収支には影響を与えずに、資本収支のうちの外貨準備分を増減させている(民間保有のドル資産を政府保有の外貨準備に振り替えている)だけですよね。

壺 2008/11/11 21:17 ●通行人さん
えーと・・・、それはひょっとしてギャグで言っているんでしょうか?
一般的に、資本流出ってのは日本の資本が国内ではなく海外に投資されることを指すのだと思います。


あと、なまえ=壺です。失礼しました。

通行人通行人 2008/11/11 22:37 これをギャグというようでは・・・。誰かが海外投資を志したときに、その資金が既に国内の経済主体が所有している海外債権が原資だったりすると、資本収支はゼロです。個別の取引ではそうなる保証は無いのですが、全体でプラマイ相殺していくと、実はそうなっていますというのが、国際収支統計のポイントです。

資本流出をしているか否か?が第一のポイントです。会計恒等式からは、「しない」が答えです。では、何故流出しているがごとき論調になっているのか?ここを考えないと駄目です。

壺 2008/11/15 14:30 ●通子人さん
まず、資本流出とは、普通は『国際収支ではなく資本収支』を指すのだと思います。
国際収支が常に+-0になるのは当たり前でしょう。当たり前ですから、うんなこと誰も問題にしてません。

>一般的に、資本流出ってのは日本の資本が国内ではなく海外に投資されることを指すのだと思います。

ですから、↑のレスで再び『国際収支は常に+-0』論を述べられても『人の話聞いてね』としか答えられません。
『資本流出=国際収支の問題』というのであれば、その根拠はどこから来ているのかまず述べるべきです。(恐らく勘違いしているだけなのでしょうが)


次、海外資産の再投資の話ですね。
本来、還流するはずだった海外の資産が、国内の金利安のために還流せず国外に再投資された場合、それは資本収支的にも赤字要因です(黒字要因がなくなるから)。
また、国内資本を利用して海外に投資する円キャリーはどう見ても資本流出です。

そして、トータルで見た場合は国際収支表を見れば分りますが、日本は海外資本の再投資もしていますが、それ以上に資本が流出しています。

enkaenka 2008/11/16 09:08 Aさんが円ドルキャリー取引を行っているとすれば、Aさんは外為市場で円を売りドルを買っています。しかし、当然、同じ市場でAさんと取引をした相手方(Bさん)がいて、Bさんは逆に同額の円を買いドルを売っています。Aさんの行為を日本からの「資本流出」というのならば、Bさんはそれと同額の日本への「資本流入」を行っていることになります。通行人さんが言われているのは、このような資本取引ではネットでの資本の出入が当然ゼロになるということですよ。今日、外為市場での取引の大部分は資本取引になっています。

国際収支表における資本収支の赤字(ネットでの資本流出)ですが、恒等式から、この額は経常収支の黒字と同額であり、それはマクロ経済における一国の貯蓄・投資の差額(あるいは総供給と総需要の差)と等しくなります。壷さんの御説によれば、金利差の結果生まれたネットでの資本流出が、日本の経常黒字(つまり財・サービスの輸出入等による受取支払の差額)を決め、ひいては日本のマクロ経済の需給ギャップを決めていることになりますが、それでよろしいのでしょうか?

為替レート(=通貨の価格)の動きに関しては、通貨市場における「事前の」需給という観点で円キャリーを論じる意味があるでしょう。しかし、「資本流出」云々といわれると、私にはそれこそ「ギャグ」に映ってしまうのですが。

壺 2008/11/16 13:39 ●enka さん
ですから、そのようなことは最初から問題にしてないわけですよ。
国際収支が常に+-0になるのは当たり前でしょ。当たり前のことを誰も問題にはしません。
一般に資本流出といえば資本収支がマイナスに傾くことを言うわけです。

>壷さんの御説によれば、金利差の結果生まれたネットでの資本流出が、日本の経常黒字(つまり財・サービスの輸出入等による受取支払の差額)を決め、ひいては日本のマクロ経済の需給ギャップを決めていることになりますが、それでよろしいのでしょうか?

金利差だけでは決まりません。
ただし、金利差も経常収支及び国内需給に大きく関わります。

金利差は資本収支を通じて為替相場を動かします。為替相場は経常収支を動かします。
したがって、資本収支は経常収支を動かします。当然国内の需給バランスも動かします。
日本の場合は、資本流出によって円安になって輸出が増え輸入が減ったので経常収支が黒字になり釣り合いが取れていたのです。

為替相場が動いても経常収支が少ししか変わらなかった場合は、少し資本収支が動くだけで為替相場が大きく動くので資本の動きは止まります。その結果資本収支も経常収支も少ししか動きません。

海外投資する日本人から円を買った外国人が日本国内に投資した場合は、資本収支は+-0です。したがって、国際収支表上で資本収支は動きません。

金利差は為替相場と資本収支を動かします。
資本収支は為替相場と経常収支を動かします。
経常収支は為替相場と資本収支を動かします。
その結果そのほかの様々な要素が動きます。

お分かりいただけたでしょうか?
もう少し金利差、為替相場、経常収支、資本収支の相互関係を学ぶべきです。
マクロ系の人たちはこれらの細かい関係を無視しすぎているから話がおかしくなるだと思います。
詳しくはアセット・アプローチと貯蓄・投資アプローチ辺りをどうぞ。

通行人通行人 2008/11/16 19:07 経済学でもない人にマクロ系と批判されるのは納得いかない面もありますw

>金利差は為替相場と資本収支を動かします

あれ?ここはプラマイゼロではないですか?enkaさんの説明をもう一度良く読んでみましょうよ。

それと、経常収支黒字の事を円キャリーと呼ぶ人は始めてみました。珍説ですね。

壺 2008/11/17 00:45 ●通行人さん
>>金利差は為替相場と資本収支を動かします
>あれ?ここはプラマイゼロではないですか?enkaさんの説明をもう一度良く読んでみましょうよ。

だから、資本収支の意味を調べてください。
+-0になるのは↓こういう場合です。

>海外投資する日本人から円を買った外国人が日本国内に投資した場合は、資本収支は+-0です。

ドルを売り円を買った人がその円で日本の財を買えば、それは資本収支にはなりません。
経常収支の方に組み込まれます。
もしくは、今まで輸入に使っていたドルを、海外投資に使うという場合も考えられます。
いずれにしろ国際金融の話をしているのですから、資本収支の意味くらいもう少し正確に把握して欲しいです。

>それと、経常収支黒字の事を円キャリーと呼ぶ人は始めてみました。珍説ですね。

うんなこと誰も言ってないでしょう。人の話を聞いてください。
金利差は資本収支の赤字を生むので、事後的に経常収支を黒字化させるといっているだけです。
円キャリーが近年の経常黒字を拡大させた面はあります。
ですから、円キャリーと経常黒字は、同一では有りませんが因果関係はあります。

マクロ屋さんには難しい話なのでしょうが、マクロ屋さんに理解できなくても事実は事実です。
国際収支の相互関係の理解が出来てないから、おかしな話になるんですよ。
為替の話は単純だけどイメージしにくいので、細かいことを無視して考えるからそういうドツボに嵌るんだと思います。

通行人通行人 2008/11/17 01:24 円を買った外国人が、そのまま紙幣を保有していても、また外貨預金などに預けていても、それは資本収支ですよ。それゆえ、enkaさんの説明どおり相殺されてゼロになります。資本収支の事がわかっていないのは、明らかに壷さんの方なんですが、困っちゃいますね。

よって、残った尻は、全て経常収支+資本収支=0となる、経常収支分という事になりますので、壷さんの主張を演繹的に理解していくと、円キャリー取引というのは経常収支黒字が原因で起きるという事になっちゃうのです。

ところで、僕はマクロ屋さんじゃありませんよw

壺 2008/11/17 18:18 ●通行人さん
通行人さんやenkaさんの話は国際収支は常に+-0であるという話であって、資本収支は常に+-0であるという話ではないです。

そして、ご存じなかったのでしょうが、一般には国内の資本が大量に海外に投資されること(≒資本収支赤字)を資本流出といいます。

>円を買った外国人が、そのまま紙幣を保有していても、また外貨預金などに預けていても、それは資本収支ですよ。

確かにそれらは資本収支に影響を与えるでしょう。
しかし、円を調達した外国人がその円で日本に投資するとは限りません。外国人はその円で日本の商品を買うことも出来ます。
そして、円を調達した外国人はその円を日本国内に投資することは少ないのです。なぜなら日本は金利が低いので外貨を元手にした投資では儲かりにくいからです。
ですから、通行人さんがあげたような人は多少はいたでしょうが、それ以上の海外投資がされていたから、資本収支が赤字だったのです。

>それゆえ、enkaさんの説明どおり相殺されてゼロになります。

ですから、『それゆえ』といっても論理が繋がっていません。
ご存じないのでしょうが、現実問題として先日までの日本は資本収支で大幅赤だったわけです。
そして繰り返しますが、為替市場で円を調達して日本国内に投資する人より、国外に投資する人が多いから資本収支が赤字だったのです。
つまり、外国人は日本の商品を買ったり日本に利息を払うために円を調達していたのに対し、日本人は海外投資をするためにドルを調達していたということです。
ですから、日本は経常黒字で資本赤字になのです。

>円キャリー取引というのは経常収支黒字が原因で起きるという事になっちゃうのです。

経済システムは通行人さんが思うほどには単純ではないのです。
資本収支と経常収支は相互関係があるのですから、無関係のはずないです。
強力な生産力の下での経常収支黒字が資本流出を拡大している面もあるでしょうし、経常黒字が原因で発生する資本流出もありえます(長期的に見れば、日本が資本輸出できるのは経常黒字のおかげです)。
ただし、『今回の急激な資本流出(円キャリー)の始まり』は金利差かと思います。

そして、円キャリー=資本収支赤字であっても、円キャリー=経常黒字ではありません。
通行人さんの頭の中でどこをどう勘違いして、円キャリー=経常黒字となったのか興味深いですね(w


ふー・・・・・、なんで国際金融の話するのに基本の基本の話を何度も何度もしなければいけないんでしょうね。
国際金融の話するなら資本収支くらい把握しておいて欲しいです。
把握してなくても一度の説明で理解して欲しいです。
恥の上塗りを重ねているだけだということに気がついたほうが良いかと思います。

壺 2008/11/17 18:22 ●通行人さん
通行人さんやenkaさんの話は国際収支は常に+-0であるという話であって、資本収支は常に+-0であるという話ではないです。

そして、ご存じなかったのでしょうが、一般には国内の資本が大量に海外に投資されること(≒資本収支赤字)を資本流出といいます。

>円を買った外国人が、そのまま紙幣を保有していても、また外貨預金などに預けていても、それは資本収支ですよ。

確かにそれらは資本収支に影響を与えるでしょう。
しかし、円を調達した外国人がその円で日本に投資するとは限りません。外国人はその円で日本の商品を買うことも出来ます。
そして、円を調達した外国人はその円を日本国内に投資することは少ないのです。なぜなら日本は金利が低いので投資では儲かりにくいからです。
ですから、通行人さんがあげたような人は多少はいたでしょうが、それ以上の海外投資がされていたから、資本収支が赤字だったのです。

>それゆえ、enkaさんの説明どおり相殺されてゼロになります。

ですから、『それゆえ』といっても論理が繋がっていません。
ご存じないのでしょうが、先日までの日本は資本収支で大幅赤だったわけです。
そして繰り返しますが、為替市場で円を調達して日本国内に投資する人より、国外に投資する人が多いから資本収支が赤字だったのです。
つまり、外国人は日本の商品を買ったり日本に利息を払うために円を調達していたのに対し、日本人は海外投資をするためにドルを調達していたということです。
ですから、日本は経常黒字で資本赤字になのです。

>円キャリー取引というのは経常収支黒字が原因で起きるという事になっちゃうのです。

経済システムは通行人さんが思うほどには単純ではないのです。
資本収支と経常収支は相互関係があるのですから、無関係のはずないです。
強力な生産力の下での経常収支黒字が資本流出を拡大している面もあるでしょうし、経常黒字が原因で発生する資本流出もありえます(長期的に見れば、日本が資本輸出できるのは経常黒字のおかげです)。
ただし、『今回の急激な資本流出(円キャリー)の始まり』は金利差かと思います。

そして、円キャリー=資本収支赤字であっても、円キャリー=経常黒字ではありません。
通行人さんの頭の中でどこをどう勘違いして、円キャリー=経常黒字となったのか興味深いですね(w

ふーー、なんで国際金融の話するのに基本の基本の話を何度もしなければいけないんでしょうね。
国際金融の話するなら資本収支くらい把握しておいて欲しいです。
把握してなくても一度の説明で理解して欲しいです。
恥の上塗りを重ねているだけだということに気がついたほうが良いかと思います。

壺 2008/11/17 18:24 二重になってしまいました。すみません。

LMLM 2008/11/17 18:51 議論にすれ違いを感じる・・・。変動相場制なら外貨準備増減はゼロだから経常黒字と資本収支の赤字は同じ意味。逆に、外貨準備増減で調整しているとき、変動相場制がやや固定相場の色彩を帯びてくる。
資本流出が国際収支(除く外貨準備増減)なのか、資本収支なのか、外貨準備減なのか、まあよくわかりませんが、円キャリーはこのどれでもありません。ボクは資本収支の中の「その他投資収支」が該当項目なのではないかと思っていますけどね。
このサイトも見ておいてください。
ttp://www.rakuten-sec.co.jp/ITS/investment/tanaka/in05_report_tanaka_20061025.html

通行人通行人 2008/11/18 01:26 >>壷さん
僕は、enkaさんのレスを100回読むことをお勧めしています。これほどクリアに書かれているのに、壷さんは理解されていないのですかね。これ以上、アホを晒すのは止めたほうがよろしいかと思います。

一言だけヒントを言うなら、資本取引の資本収支は「通貨と通貨の交換である以上、帳尻がゼロになる」という事です。だから、経常収支黒字の相対として、売掛金に相当する分のみが資本収支赤字になるのです。その点が全く理解できていない壷さんと円キャリーについて議論をしても、多分どうにもならないわけです。

僕がこれだけ突っ込むのは、円キャリーについて語る以前の知識が不足している人が、自分の妄想で勝手に円キャリーのイメージを膨らませている現状が「馬鹿みたい」と思っているからに他なりません。

アイスランドの大統領さんが円キャリーなんとかしてくれと言っていますが、あれは日本に対して言っているのではないわけです。円キャリーの正体はその辺にあります。ぶっちゃけ、日本は一切関係ないところで、日本円の相場と金利を対象とした賭博が行われていたというだけの事です。胴元は日本ではないのです。

壺 2008/11/23 22:37 ですから、そもそも資本流出とは『国際収支表上の資本収支大幅な赤字』のことを指すのです。
『通貨と通貨の交換である以上帳尻がゼロになる』という話は別の話です。

その論で言うと、変動相場制の下では資本流出は起こりえないということになりますが、現実には資本流出という言葉は『資本収支の大幅赤字』を指す言葉として使われています。
定義論にケチをつけるならば、定義した人に文句を言ってください。

例え、資本流出(資本収支の大幅赤字)が発生しても『通貨と通貨の交換である以上帳尻がゼロになる』のだから問題ないという話をしても良いですが、あまり広げすぎるとあやふやにされるので今回は、『資本流出とは資本収支の大幅赤を指すのだ』ということだけをいっておきます。

通行人通行人 2008/11/24 00:20 ああ、やっぱりわかっていませんね。もう一度だけ説明します。

通貨と通貨の交換は資本収支に影響を与えません。資本収支は絞り尻ですから、常にゼロとなります。資本収支の大幅赤字は、財・サービスの取引の「決済分」だけです。
例えば、100円の財を輸出したら、財・サービス収支に100円の黒字が計上されますが、それに対する「売掛金相当」の代金決済の取引が資本収支に計上されて、100円の資本収支赤字になります。複式簿記の基本がわかっていれば、すぐ理解できるでしょう。逆に100円分のドルを購入した場合は、100円の流出と100円分のドルの流入で、差し引きの資本収支は0となります。
この資本収支赤字(フロー)の累積(ストック)が、日本の対外純資産残高になるわけです。

僕は「問題がない」なんて表現はしていません。所詮そういうものなのに、なぜか「資本流出は問題である」みたいな事を強調される方が多いのが不思議でならないわけです。同じ資本収支赤字(=経常収支黒字)を指して、時代毎に流行りのように、色々なワードを当てはめる人があらわれて、何度も何度もそれに釣られる人がいるなぁと思ってるだけです。昔は、キャピタルフライト、最近は円キャリーですね。もっともらしい別の単語を引っ張ってきて、元の意味を知らない人をひっかけてるわけですが。

それと、定義の話をするのであれば、せめてbewaadさんが書かれている、円キャリー=「円ショート・他国通貨ロング」という定義に従うべきでしょうね。

enkaenka 2008/11/24 12:53 議論は収束に向かいつつあるように思いますが、言いたかったことをまとめるため、少しだけ補足を。

私がまず言いたかったこと、そしておそらく通行人さんが言われたいことは、円キャリー、FX、サムライ債などを取り上げて、それらが「資本流出である」ように書くのは明らかにミスリーディングだということです。「資本流出」は、おっしゃるように国際資本収支表上の資本収支赤字を指しますが、壺さんがそれを分かっていたのならば、円キャリー等が「資本流出である」というのは自己矛盾しているといわれても仕方がないかと思います。

第一に、通行人さんも繰り返し指摘されているように、円キャリーはそれが資本取引で行われていれば資本流出=資本赤字を生じさせません。つまり、「円キャリー=資本収支赤字」は、常に成り立つものではなく、したがって、そのような表現は正しいものとは言えません。

また、このような資本流出=資本収支赤字が発生していることは、一国の貯蓄投資バランス(ISバランス)において、貯蓄が投資よりも多いことを示しています(超過分が海外に投資される)。このISバランスでの貯蓄超過は、家計、企業、政府といった様々な経済主体の行動から導かれると考えるのが通常であって、単純に投資家の視点で金利差によって生じているという見方はとらないと思います(もちろん、内外金利差が関係ないなどと言っているわけではありません。ただ、特に日本のような巨大な経済のことを考えた場合、こうした金利差をメインに据えて資本赤字を説明するのはあまり適切には思えません)。資本流出=資本収支赤字は、こうしたマクロ経済の視点抜きに考えられないもののはずです。かつてアメリカの巨額の経常赤字(=資本黒字)が問題とされたときに、巨額の財政赤字や過少貯蓄などが主要な原因として指摘されたことを想起してください。

要するに、壺さんの議論は、円キャリー等の個別の金融取引の話と、マクロ的な事象である資本流出=資本収支赤字の話とをごっちゃにしているところに問題があるように思います。「資本流出とは国際収支表上の資本収支赤字である」と分かっているのであれば、にもかかわらず、円キャリーのような個別の取引を取り上げて「この取引は資本流出だ」などという言い方(11/6や11/8のご自身のコメントを読み返してください)をしてしまうことは問題でしょう(円キャリー取引があったからといって資本流出が起きると限らないのですから)。また、「マクロ屋さん」云々という部分は、感情に任せた表現であることは問わないにしても、資本収支が何かを理解しているとすれば適切なものではないでしょう。

なお、議論がすれ違っているところですが、通行人さんが資本収支のころでメインに言われたいことは、壺さんの「円キャリーは資本流出だ」論が必ずしも成り立たない(私が上で述べたことです)、つまり、そうした断じる表現が正しくないことを示すために、資本取引(ストックの取引、または通貨と通貨の交換)で行われれば資本収支はゼロ(資本流出はない)になるということであって、「国際収支表の経常収支+資本収支=0」の話がメインではないと理解しています(少なくとも、資本収支を理解しているか否かの話ではないように見受けられます)。もっとも、その意味では、11/9の通行人さんのコメントに誤解を与えるものがあったようには思いますが。

最後に、こうした議論は感情的になりやすいのですが、もう少し相手の指摘をじっくり読まれて(どう見ても相手を誤読しているとしか思えないコメントがありました)、冷静に議論されたほうがよいと思います、老婆心ながら。

通行人通行人 2008/11/24 21:27 enkaさんがまとめに入ってくださいましたので、僕もまとめ。というか、そろそろ落とすつもりだったのではありますが(汗。

えっと、10/28の記事の、11/1付けの僕のレスの冒頭を読んでいただければわかるのですが、せっかく円キャリーについてbewaadさんの定義が行われて始まっているのに、自分定義の「円キャリーもどき」に関する自説開陳されている方に、その自分定義はおかしいよという説明をしようとしていたのです。その説明だと「経常収支黒字が円キャリーだという事になっちゃうよ」と。

途中嫌味な表現が多かった事はお詫びしますが、議論の土台があっていないので、一段戻った定義の是非についての議論になってしまっているわけです。大変な時間の無駄です。

TOMMYTOMMY 2008/11/26 01:19 ずっと議論を見守ってきましたが、唐突ですが、enkaさんと通行人さんに聞きます。FXやサムライ債、円キャリーが資本流出ではないといいますが、どういった資本取引が行われれば、資本流出/入が起こっているといえるのでしょうか?実物取引(貿易)を伴わない資産の取引はすべて資本流出/入とは言わないということになってしまいそうですね?

もうひとつ、通貨危機の話になりますが、90年代の資本取引自由化後、タイと先進国の間ではキャリートレードが行われていました。通貨危機が発生すると、キャリートレードの資金は一斉に引き上げられました。これに伴い、IMFのプログラムで、タイの政府は財政赤字を縮小して、経常黒字を計上しました。このような必要が出てくるのはなぜでしょうか?

>経常黒字が円キャリーだという事になっちゃうよ。

経常黒字は民間貯蓄(S−I)と政府の財政黒字額(T-G)で定義されますから、壺さんがおっしゃるように円キャリーが資本流出ということがもし正しければ、これは民間貯蓄が流出しているということで正しいでしょう。

通行人通行人 2008/11/26 01:49 >>TOMMYさん
実物取引を伴わない資産の取引は、存在しますが、それらを集計すると差し引きの帳尻がゼロになってしまうため、資本収支には現れません。資本取引の流出・流入に両建てに同額計上されます。資産同士の取引は資本収支上は、流出と流入が同時に起きているというのがポイントです。

タイの場合は当初は固定相場のまま資本移動を自由化したので、通貨危機とともに外貨準備の流出が起きていました。キャリートレードではなく、古典的なキャピタルフライトです。その後、通貨の安定を放棄し変動相場制に移行して暴落しています。
IMFのプログラムは、筋の良し悪しを除いて論じるなら、I-Sバランス(G-Tの項を含む)を正す事で経常収支黒字を実現し、外貨建て債務の返済用のキャッシュインを作り出すところに目標があったのだと解釈しています。返済用のキャッシュが将来も安定的に生じるならIMFが特別融資ができるということです。当時はモラルハザード論が強かったので、返済可能性を強く問う状態でした。なお、IMFは各国の外貨建て債務のデフォルトを防止するための機関です。

経常収支黒字が円キャリーという定義をしなくても、I-Sバランス論に則り、経常収支黒字国は自動的に資本収支赤字となります。なぜ、古典的なI-Sバランス論を、円キャリーなどと流行語で表現しなおすのか、僕には意味がわかりません。
S-I=Ex-Im(面倒なので政府部門を省きます)を見てください。Ex-Imの増加はS-Iの増加をもたらします。Ex-Imの増加は、資本収支の赤字も増やします。資本収支の赤字は、対外純資産の増加を意味します。すなわち、投資が一定であるなら、貯蓄の増加と対外純資産の増加という形で、両建てで増加しています。国内の貯蓄が流出しているわけではありません。「赤字」という言葉から「類推」で判断すると、本質を見誤る典型例です。

enkaenka 2008/11/26 08:54 通行人さんのコメントの繰り返しになるかもしれませんが、「資本流出/流入」という場合、個々の取引がどうかに注目するよりも、ISバランスが変化するかどうかという点が重要だと思います。例えば、経済規模の小さい国で(新聞見出し風に)「外国からの投資で活気づく○○国経済」という際、国内投資が大きく増える=ISバランスが変化しているのならば、「資本流入」という言葉を使う意味はあると思います。また、あくまで仮定の話として、日本の国内投資を有意に減らしてまでその分円キャリー取引に回しているのであればISバランスに影響するので「資本流出が起こっている」といってよいかもしれません。ただ、後者のようなことが実際に起こっているかどうかわかりませんし、仮にあったとしても、日本のGDP規模、資本収支赤字の規模と比較したとき「資本流出」といえるほどの規模のものなのか?という点は疑問です。

資本取引のことを説明したのは、円キャリー等をそのまま「資本流出」といってしまうことの不適切さを示すため、とお考え下さい。

TOMMYTOMMY 2008/11/28 21:24 >通行人さん>enka
お返事ありがとうございます。ですが、質問とした者としては、質問にきちんと答えていただいたという印象を受けませんでした。わたしは、「どういう」資本取引が流出/入」と呼ぶのかと聞いているんだから、具体例を挙げて答えていただけませんか?資本が流出入をしたら貯蓄と投資のバランスが変わることはわかっていますから、具体的にこうした変化をもたらす取引が何なのかと聞いているのですが?その区別は、通行人さん、enkaさんの中でついているのでしょうか?

(アジア通貨危機について)
>通貨危機とともに外貨準備の流出が起きていました。

変な話ですね?通貨危機(通貨の大幅な下落)が起こる時点で、流出されること(外為市場で売ること)ができる外貨準備高があれば、バーツの買い介入はできますから、危機は防ぐことができるか、先送りされすはずですよね?外貨準備高がそこを尽きる現象は、通貨危機の結果ではなく原因です。古典的なキャピタルフライトってなんですか?アジア通貨危機はそれまでの通貨危機のキャピタルフライトと何が違っていたんですか?

>キャリートレードではなく

キャリートレードです。なぜあなた方の定義では資本の流出入とはならないキャリートレードが、Capital Inflow/Outflowとして問題視されているのかがわからないから、聞いているんですよ。ソースをだしましょうか?

“The Aisan Financial Crisis: A view from the IMF Addressed by Stanley Fischer”

(http://www.imf.org/external/np/speeches/1998/012298.htm)

Origin of the Crisisの②段落目から

[...]Large private capital flows to emerging markets, including the so-called "carry trade," were driven, to an important degree, by these phenomena and by an imprudent search for high yields by international investors without due regard to potential risks[...]

といった具合にFischerは危機の背景として、危機以前からキャリートレードを含む資本流入が重大なレベルまで起こっていたことを指摘していますね。

TOMMYTOMMY 2008/11/28 21:30 それから、こちらでも聞きますが、とくにbewaad氏の円キャリーが金利裁定取引ではないという主張を支持する、通行人さんとenkaさんに聞きますが、カバード金利が成り立つということは、市場が金利裁定機会を失った(金利差では儲けることができない)という状況が成り立つと判断するための、必要十分条件でしょうか?為替レート変動から、金利差による利ざやが、満期時の為替レートによる損失を下回る確率が存在する、というのは、裁定機会がないことと同義でしょうか?

enkaenka 2008/11/29 00:33 先の質問には答えていると思います。誤解しないでほしいのですが、私は「実物取引(貿易)を伴わない資産の取引はすべて資本流出/入とは言わない」などとは言っているつもりはありませんよ(そういう誤解を与えたのかもしれませんが)。だから経済規模の小さい国の例を出したつもりです(逆の状況になればアジア通貨危機に似た状況でしょう?)。資本収支と経常収支は最終的に調整され事後的に一致するものでしょう。

後半の質問ですが、なるほど、「必要十分条件」という言葉が御質問のミソなのでしょう。前のエントリーでコメントを最初書いたときには明確に区別していなかったですが、bewaadさんへのコメントを書いていくうちに思ったのは、現場で個々の取引(例えば円キャリー)を行う投資家にとっての為替レートと、事後的に市場投資家全体の行動の結果として解釈される為替レートとは区別したほうが良いのでは、ということです(予想がPPPに近づくとのbewaadさんの解釈はおそらく後者でしょうし、私もそちらを念頭に書いてました)。取引全体の一部にすぎない円キャリー取引をとりあげ、それを行う投資家すべてが円安を実際に予想している、裁定取引は行っていない、といってしまうのはさすがに適当じゃないと思います。現場から程遠い人間なのでこのへんのところに考えが十分回らなかったというのが実際のところですが。

通行人通行人 2008/11/29 00:35 なんか喧嘩腰ですね。

1.国際収支上の資本流出は、経常収支黒字の裏返しであり、それ以外には存在しないと明確に答えています。

2.バーツ買い介入を放棄して、変動相場制になりました。つまりバーツ買い介入に足りるだけの外貨準備が無かったわけです。

それから「古典的」と書いた場合、普通は過去に起きたキャピタルフライトと同種のものであると解釈するものと期待していました。というわけで、同種です。

3.ヘッジポジションの積み上げであって、資本流出流入ではないと思いますが。それを流出・流入と表現するのは、それぞれの勝手だと思います。僕が壷さんとの議論でずっと言っていたのは、国際収支表上の資本収支赤字に計上されているわけではないということです。

ちょうど、キャピタルフライトで実際にマネーが移動しているわけではないのと同じです。

4.申し訳ありませんが、質問の意味が良く理解できません。

TOMMYTOMMY 2008/11/29 01:50 後半の質問についてのレスに対して、先にレスを返します。私は答えを知っていてあえてこの質問を投げました。

質問の内容がよく理解できないとのことでしたが、ようは「カバー付き金利が成り立つから裁定機会はない」と言い切れるのか?ということです。ですが、あえて必要十分条件なのか、という厳格な視点で考えてほしかったのです。

答えをいうと、これは「必要十分条件ではない」です。(ただし、カバー付き金利平価が成り立つのは自由な資本移動が約束されていることが前提ですから、必要条件ではあります。)

為替変動による期待収益の変化を嫌う投資家の間で、両国の資産への収益率が同じようになるように先渡し契約を結ぶのは当然のことです。ですから、為替ポジションをオープンにしないとそれ以上の収益を得ることはできない。だから当然「円安に賭ける」わけですが、この点は、bewaad氏や、それに追随するコメントをする人も正しい。

問題なのは、円キャリーが「金利裁定でなく為替差益を狙った取引だ」とbewaad氏が言っていることです。つまり、金利裁定の機会の存在をここで否定しているのが問題なのです。それを立証するには、金利裁定の機会が喪失したことを示さないといけない。

このための必要十分条件は、「アンカバーの金利平価(UIP)」が成り立つことです。すなわち、先渡し契約をしなくても金利差が自国通貨の期待減価率に等しくなるような状況では、為替ポジションをオープンにしても金利差は得られません。しかし、為替変動がなくなったわけではないから、UIPが成り立つ場合でも「円ロング・ショートポジション」で為替差益をとることは可能です。

UIPが成り立たない世界では、為替ポジションをオープンにしたときのフリーランチとしての金利裁定機会は存在しますから、裁定取引で利ざやを取ることは可能です(ただし為替リスクを被ります)。このUIPですが、実証研究の結果では成り立たないことが知られています。

ようは為替のリスクプレミアム+金利差益というのが、現実の円キャリーということです。

だから、「円安に賭けている」というのはただしいですが、それをもって、金利裁定であることを否定しているのはおかしいんですよ、というのが私の言いたいことです。そして円キャリーは金利裁定取引です。

TOMMYTOMMY 2008/11/29 01:58 追記:こういう書き方をしたのは、先に「金利裁定ではない」という答えを書いてしまうと、すぐに反論を考える方向にいくと思ったからです。あえて中立な質問のような形で、出しました。enkaさんのほうでは一考されていただけようで幸いです。

前半部に対するレスついては、ちょっと時間をおいてまたコメントします

壺 2008/11/30 13:27 ●通行人さん
・資本流出
ではまず『資本収支赤字=資本流出である』と認めてくれたと認識します。
次に、『現在は資本収支赤字=資本流出状態である』ということも認めてくれたと認識します。
その上で、『円キャリーは資本収支赤字要因になっているか否か』と『資本流出は問題か?』を論点にして論じます。


・円キャリーは資本収支赤字要因になっているか否か
>通貨と通貨の交換は資本収支に影響を与えません。
前にも言ったと思いますが、個人のFXやヘッジファンドなどで円キャリーをやってた人も金利差で儲けていたわけです。詳しくはスワップ金利でググってください。
通貨を持っているだけでは利息はもらえません。ですから、通貨と通貨を交換した後に何らかの形で外国債券を購入しているのです。
したがって、円キャリーは通貨交換しているだけではなく海外投資です。したがって資本収支に含まれます。

ですから、ちょっと前の急激な円高と資本収支赤字及び経常黒字の拡大は円キャリーによって生まれたのだと思いますし、その後のその資金が一気に引き上げられたから今アイルランドなどは危機に陥っているのだと思います。

・資本流出は問題か?
日本は貯蓄過剰なのですから、日本にとって資本流出が大した問題になるとは思いません。日本単独で見れば過剰な資本を輸出しているだけと見れるわけで別に問題だとも思いません。
しかし、輸出した方に問題がなくても輸入した方には問題だったのでしょう。資金が大量に流入すると市場が混乱するということは良くあることです。
(バブル時代CPなどによって企業に大量の資金が流入したことによって株式バブルが起こったように、銀行などが不動産関係の企業に大量に貸し付けた結果土地バブルが起こった様にです)

そして現実には、bewaadさんのいう超狭義の円キャリーだけではなく、サムライ債や外国向けの投資信託など様々なルートで日本からの資本が流出していたのです。例えばアイルランドでは日本のサムライ債を利用した住宅ローンがあったそうですが、これだって円キャリーだと思いますし、資本流出です。そしてこれらの資本流出の原因は金利差です。
そしてその資本が一気に還流することでアイルランドなどの資本輸出先の経済を不安定にしているのでしょう。

資本流出は『所詮そういうもの』であっても、一定程度はコントロールできる現象です。その結果・影響に対しては一定の責任を負うべきでしょう。
0金利によって資本流出を後押し金融を不安定化しておいて、『後はそっちがどうにかしろ』では無責任です。

ですから、資本流出そのものではなく、資本流出のあり様をもう少し考えるべきです。
つまり、リフレが資本流出を後押ししたことではなく、流出した資本が国際金融秩序を不安定化させたことを問題視するべきだと思います。
円キャリーのような不安定な形ではなく、流出した資本が世界経済の健全な発展を促すようにするべきだと思います。


・それらを踏まえた上でレス
>実物取引を伴わない資産の取引は、存在しますが、それらを集計すると差し引きの帳尻がゼロになってしまうため、資本収支には現れません。

実物は伴っています。
日本が資本輸出のために円を売り外貨を買っており、海外では日本製品を輸入するために外貨を売り円を買っているのです。
前者は資本収支に組み込まれ、後者は経常収支に組み込まれます。
日本の経常黒字、資本赤字は、個別の動きはともかくマクロでみればそういう構図です。
結局は金の貸し借りなのですから、円キャリーだけを別に扱う理由などありません。


>I-Sバランス論に則り、経常収支黒字国は自動的に資本収支赤字となります。なぜ、古典的なI-Sバランス論を、円キャリーなどと流行語で表現しなおすのか、僕には意味がわかりません。

ISバランス論つまり、貯蓄・投資アプローチですね。
貯蓄・投資アプローチは、はじめに『貯蓄・投資のバランスがありき』という乱暴な論でありません。
様々な要素によって貯蓄・投資バランスは変化し、その結果国際収支が変化するという理論です。
つまり、為替相場、物価、自国金利、外国金利、国の生産力、国民性、リスクプレミア、投資環境(プレイヤーの問題)など→貯蓄・投資バランス→国際収支という論です。

したがって、日本が貯蓄過剰で金利が低いから資本流出が進んでいるといえますし、日本の生産力が強いから経常黒字が拡大しており、その結果円高になっているともいえますし、経常黒字によって円高が進んだから資本流出が加速しているともいえます。
しかし、それと同時に資本流出によって円安が進んでいるから経常黒字が拡大しているともいえます。なぜなら、円安は国民の消費水準は低下させるので国全体での貯蓄は増加するからです。

このように、貯蓄・投資アプローチは複雑な相互関係により成り立っているのです。貯蓄・投資が変化することで国際収支が変化するのは事実ですが、為替レートが変化することで貯蓄投資バランスが変化することもありますし、特定の資本取引のルートが増えたことによって資本収支赤字が拡大しその結果経常黒字が拡大することもあります。

マクロ問題とミクロ問題は様々なところで繋がっています。
貯蓄投資バランスのみを捉えるのであれば、貯蓄投資バランスは金利という形で資本収支に影響を与え、生産量・消費量及び物価という形で経常収支に影響を与えます。そして資本収支と経常収支は為替相場の変動によってお互いに影響を与えるのです。
ですから、様々な要因が重なった結果、FXや海外向けの投資信託やサムライ債のような形で資本流出が起こったのです。
そして今回の例でいえば、FXやサムライ債などがなければその分資本赤字は縮小していたでしょうし、円高になっていたでしょうから経常黒字も縮小していたでしょう。
FXを初めとした円キャリートレードも貯蓄投資バランスアプローチで十分説明が出来ます。
また、金利は貯蓄投資バランスだけではなく金融政策によっても変動しますから、リフレと国際収支及び円キャリーも無関係ではありません。

壺 2008/11/30 13:42 ●enkaさん
・サムライ債とFX
サムライ債とFXも一般の資本取引とさほど変わるわけではありません。
サムライ債もFXの円キャリーも資本収支を赤字方向に持っていきます。
特別視する理由は何もないです。

サムライ債と一般の海外投資との違いはただ一点です。
1.為替変動のリスクをどちらが負うか。

これを除けば一般の資本取引となんら変わりありません。

一般の海外投資、外貨に両替→海外に投資という構図ですね。
この場合、為替変動のリスクは債権者(日本人)が負います。
サムライ債は、円建て債権→外国人が外貨に両替→外国人が海外に投資という構図です。
この場合、為替変動のリスクは債務者(外国人)が負います。

ですから、一般の海外投資と比べた場合、為替リスクをどっちが負うかという違いしかありません。おおよその構図は同じです。
そして、今回はアイルランドがその為替リスクを引き受けていたため、大きな打撃を受けているのでしょう。

FXのような短期投資と一般の海外投資との違いは、短期金融だということだけです。
短期金融の特徴は主に二つだと思います。
1.投資期間が短いので金利より為替の影響を強く受ける(レバレッジを効かせていればなおさら)。
2.資金の流動性が著しく高い。

これを除けば一般の資本取引となんら変わりありません。(株のデイトレと同じ要領でFXをやっていた人もいたでしょうが、その人たちだって一定程度のスワップ金利を受け取っているかと思います)
円建て債権(レバレッジ)→投機家が外貨に両替→投機家が海外投資(海外債権購入)という構図です。

投資というのは短期長期に関わらず同じ構図を持っています。
  投資(回収額以上に再投資)
外 ← 日
国 → 本
  回収

このような構図の下で短期長期に関わらず、投資額>回収額ならば資本収支赤=資本流出です。
短期資金ですからすぐに日本に戻ってくるわけですが、投機家たちはそれを再び投資していたわけですから、全体的に見れば円キャリーによって海外に資金供給されていたのです。
これは、マクロで見れば銀行が短期融資を継続更新することで事実上の長期融資と同じ形にするのと同じ構図です。

そして、いつもは長期融資と同じ構図だけれど危機が起こると一気に資金を引き上げて貸出先を干上がらせるのも同じです。
その結果、投資額<回収額となります。そうして、一気に資金を引き上げられたアイルランドなどは苦しんでいるのです。
特に、サムライ債のような外貨建ての債権を多く抱えている場合、外国資金の還流による自国通貨安はさらに大きな損失を発生させます。

もし、サムライ債やFXが他の資本取引と異なり資本収支に影響を与えないというのであれば、どこが他の資本取引と異なるのか、そして何故資本収支に影響を与えないのかを正確に論じてください。


>円キャリーはそれが資本取引で行われていれば資本流出=資本赤字を生じさせません。つまり、「円キャリー=資本収支赤字」は、常に成り立つものではなく、したがって、そのような表現は正しいものとは言えません。

大抵は『日本から資金が持ち出されるから』円キャリーと呼ばれるのでしょう。FXで逆のこと始める人が増えればドルキャリーなどと呼ばれるのだと思います。
そして、今回の円キャリーは資本収支赤字でした。
そしてその資金が一気に還流したので資本収支は黒方向に動き、円高を後押したのでしょう。

通貨の交換云々はFXだろうが長期投資だろうが直接投資だろうが、あらゆる海外投資は、自国通貨を外貨に交換する、もしくは外貨を自国通貨に交換することを諦める必要があります。
したがって、通貨の交換によって+-0になるからという論理は、円キャリーだけを特別視する根拠にはなりません。

・マクロと資本流出と円キャリー
以上のように、円キャリーは国際金融の一種です。
『円キャリーは資本流出』だというのではなく、『円キャリーも資本流出』なのです。円キャリーは『一形態』に過ぎません。

マクロとミクロを別々に考えるのは間違いです。マクロとミクロは密接に繋がっています。
マクロ的に言えば日本は貯蓄過剰だから低金利なのです。そして金利差によって円キャリーやサムライ債などの取引が活発になるというミクロの要素が積み重なって、資本収支赤字というマクロの要素が発生しているのです。
ですから、マクロ的貯蓄過剰という問題とミクロな円キャリーという国際短期金融市場の問題は金利という要素で繋がっているのです。

そして、リフレ政策はさらに低金利を進める政策なのですから、資本流出を拡大する政策です。
私は、資本流出そのものを悪いことと否定するつもりはありません。資本過剰な国から資本過少な国に資金が移動するのは経済的にも正しいことです。
ただし、急激な資本流出及びその資本の還流が外国の国際金融秩序を乱したことは認めるべきだと思います。

マクロ屋云々に関しては、お互い様だとは思いますが、周りの方々に迷惑かけたことはお詫びします。

壺 2008/11/30 13:46 ●TOMMYさん
私も円キャリーは『為替+金利差』で発生していると思っています。

通行人さんとenkaさんは『アセットアプローチ』でググっていただきたいです。

enkaenka 2008/11/30 19:09 >サムライ債もFXの円キャリーも資本収支を赤字方向に持っていきます。

>大抵は『日本から資金が持ち出されるから』円キャリーと呼ばれるのでしょう。FXで逆のこと始める人が増えればドルキャリーなどと呼ばれるのだと思います。

「円キャリー取引」とは(正確な定義は知りませんが)投資資金を円で借り入れ、利回りの高いドルなどの資産で運用する投資手法のことを言っているに過ぎないと思っていましたが?サムライ債も同様。資本収支はフローの統計ですが、こうした取引が行われると、必ずフロー面で資本赤字が起こるのでしょうか?壺さんがいっている投資額、回収額云々は、結果として収益が生じたかどうかであって、逆に結果的にロスが生じたらどうなるんでしょうか。投資家の行う個々の投資の手法と、結果として資本収支が生じているか否かは、当然別の話である、とこちらはいっているのですが。

それから、後半の、マクロ・ミクロの話ですが、マクロとミクロは別か密接に関連しているかだとか、資本流出が良いか悪いかだとか、こちらからは何も言っていませんよ。ここでの問題は、(通行人さんへのコメントから引用しますが)「今回の例でいえば、FXやサムライ債などがなければその分資本赤字は縮小していたでしょうし、円高になっていたでしょうから経常黒字も縮小していたでしょう」ということが現実にどこまで妥当性を持つかですよ。このようなFX等が資本赤字を有意に広げたと言える根拠を何かお持ちなのでしょうか。

enkaenka 2008/11/30 19:39 それから、本当に年寄りくさいことを言っていると思われるかもしれませんけど、敢えて付け加えておきます。言い方はかなり改善してくれたと思うのでそこは有難いと思っていますが、今日のコメントでもいまだにやや嫌味な表現を何箇所かしているように思えます。壺さんは負けず嫌いなのか、自分のメンツが傷つくのがイヤなのかわかりませんが、時としてそのような表現が場を荒らしてしまうことに、もう少し自覚的になったほうが良いのでは、と思います。ここは比較的落ち着いた議論ができる場所です。匿名なのですから、むしろ自分の勉強のためと思って書かれても良いのではと思うのですけど。

通行人通行人 2008/12/01 12:36 >>TOMMYさん
あ、ようやくTOMMYさんの質問の意図がわかりました。僕は「円キャリーが何なのか、まずは合意をしてから各論に入りましょう。」というスタンスです。僕自身もなんとなくな像しか持っていませんが、資本収支赤字が円キャリーであるという前提で議論をされていた(あるいは突っ込みの都度、円キャリーの定義範囲を広げていく)壷さんのような方に、「それはおかしいのでは?」と突っ込んでいるわけです。「何となく」なまま、先走った議論するのが気持ち悪い人間なのでご容赦ください。

TOMMYTOMMY 2008/12/01 21:00 >壺さん>enkaさん>通行人さん

ちょっと壺さんの長い突っ込みが入ったので、まだそれをきちんと精読できてないんで、通行人さんと、enkaさんの僕へのレスへの返答はちょっと見送らせていただきます。
変わりに論点整理ですけど、資本収支赤字の定義がかなりごっちゃになってしまっているように思えます。

1.お金をただ国際間で、右から左に流すだけなら、そのお金の流れは資本収支の赤字項目と黒字項目の両方に記載されて、帳尻0になる(そもそもこうした流れを資本流出と呼んでよいか?)
2.仮に資本が海外に流れても、同じ額が別の国から流れてくるなら、資本は流出していないことになる(国全体の貯蓄と投資のバランスに変化があったかで資本流出を定義する)

こういう二つの定義が議論の中に入り混じっているという印象をうけますね。明らかに最初は1について議論していたのに、ISバランス論とかいう話が出てきてからは2のニュアンスをうけますね。1.の方はきちんと本を読むべきでしょう。2。の場合は、全体として仮に資本流出入のバランスが0であったとしても、個々に取引が行われていれば、その個々の取引それぞれは資本流出/入のどちらかで定義されるべきでしょう。

とくに

TOMMYTOMMY 2008/12/01 21:06 最後に「とくに」、と書いたのは誤植です。無視してください。

enkaenka 2008/12/02 01:06 ごっちゃになっているは確かだろうと思います。ただ、私見では、最初の方からごっちゃにされた書き込み−円キャリーやFXなどはそれ自体が資本流出だというような議論(1関連)と それを日本国全体で資本流出(資本収支赤字)となっている点で正当化しているような議論(2関連)−があって、それに異議を唱えていく過程で1と2に関する議論が行われていったというものだと認識しています。

通りすがり通りすがり 2008/12/13 01:36 まず、お互いの認識を確かめるために
各定義の確認から始めた方が良かったのでは?

定義に関しての認識がすれ違ったまま
議論しても意味がないでしょう。
壺さんって人は頭に血が上り易いタイプなのかな。

KENKEN 2008/12/21 18:56 思ったことを書かせていただきます。議論を見まして、私の結論はお二人は基本的に同じことをおっしゃっているということです。まずは前半の議論の整理からします。
池田信夫さんの、「為替をランダムウォークと仮定すると円キャリー(金利裁定)は為替レートに中立です」という点。為替の世界では、将来の為替(フォワード)を買いにいくときは、bewaadさんの言うように、金利平価説が採用されています。そのため、上記の「金利裁定が為替レートに中立」という点はおかしいでしょう。こ の点、bewaadさんのご指摘は正しい。
金利平価理論は、金利が低い国の通貨は将来増価(日本であれば円高)するという仮説であり、金利が低い国の為替に投資しても為替が増価し(円高になり)、利回りの期待値としてはドルを買おうと、円を買おうと同じというのがその意味です。金利が高い国の通貨を買って金利で稼いでも、為替が減価して結局トータルの利回りは同じということです。逆に言うと、為替のフォワードの理論値は上記の(つまり金利によってフリーランチをとれない)水準で決まるわけです。
 しかし、現実は理論どおりではなかった(bewaadさんの言うように為替が円安にいくことにベットできた。なぜなら現実がそうだったから)。理論値では円高にいくはずの為替が維持、もしくは円安方向にふれていた。だから為替がスポットで120円/ドルの時、1年後の100円/ドルのフォワードをかっておけば、将来そのドルを円に買えて20円分の利益がとれたわけです。つまりフリーランチをとれていた訳です。
 また以下の池田さんのコメントについて。
「私のコメントでは『円キャリーとは金利差ではなく、将来は円安になるとの見込みに基づいて為替リスクを取ることで儲けを狙う取引なのです』(強調は引用者)というbewaad氏の記述が事実誤認であり、円キャリーの目的は金利裁定だと指摘したのだ。」
 この主張についてはお二人の言っていることは間違いではないと思います。というか全く同じことをおっしゃっている。円キャリーは、結局、為替が理論どおりに円高にふれないから、例えば、豪ドルを買って7%とか高い金利を享受できた。円安になる、もしくは現状の為替水準が維持されると見込める(bewaadさんの円安見込みという主張)から、高い金利を取りにいけたわけ(池田さんのいう金利裁定が働いたという主張)です。円キャリーは、円安の見込みと共に他国の金利の高さ、両方がその元にあると思います。
 また、池田信夫さんの記述にある、「金利差による円キャリーが円安をもたらすとともに、円安が円キャリーを促進する悪循環によって円安バブルが発生したからだ。」という点。池田信夫さんは、為替のフォワード理論値については理解が誤っているものの、この点の理解は正しいと思います。
 ただ、付け加えるなら、「理論値からはずれて円安が維持されている現状の為替の動き方(つまりランダムウォークのような)が二国間の金利裁定を取れる環境を生み、結果としての円キャリーをもたらし、それが循環的な働きをした」とすべきかと思います。
 最後の「円高不況への対応を金融政策だけに頼り、低金利政策を続けたことがバブルの原因になった」こちらのコメントには現状私は基本同意です。あれだけの長期間のゼロ金利政策は、円安のバブルや白川さんのいう短期金融市場の機能低下をもたらす、ことがあったと思うからです。ゼロ金利が問題なのではなく、それを実行した期間が長すぎた、という点が問題であるという認識です。

KENKEN 2008/12/21 19:01 付け加えまして。色々勉強させて頂いております。ブログの更新楽しみにしています。

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