「ミツバチヘギイタダニ」はミツバチに寄生して体液を吸い取るダニの一種。被害にあったミツバチは傷口から細菌やウイルスに侵され、体の奇形や病気がもとで死ぬ。
田畑を荒らすカメムシやアブラムシ対策の農薬がミツバチにも作用したことが考えられる。農薬に汚染された花粉を食べたハチは死ぬ。
病気の流行で、外国からの女王バチ輸入がストップした。特に、全体の9割を占めるオーストラリアからの輸入が2007年に禁止され、国内のミツバチ不足を引き起こした。09年12月に再び輸入が可能になり、いちおうの解決をみたが、アメリカ・ハワイからの輸入は止まったままだ。
ミツバチが増えにくい環境になっているんだな。
アメリカでは2006年から、ミツバチの群れが突然大量にいなくなる異常なできごとが起こっている。蜂群崩壊症候群と呼ばれ、06年秋から07年春にかけミツバチの30%が減り、08年も30%減少した。ヨーロッパでも減少が報告されている。また、オーストラリアでは病気で多くのミツバチが死んでいる。
蜂群崩壊症候群の背景には、ミツバチを無理に働かせている点があるとみられている。アメリカではミツバチは遠くからトラックで輸送され、広大なアーモンド畑などで花粉交配に酷使されている。
本来ミツバチはいろいろな植物からみつや花粉を集めるもの。大量に同じ農作物の受粉を強いられ、ストレスが体を弱らせている。また、えさには人工的な砂糖水が与えられ、栄養不足にもおちいっている。花粉を与えるなど飼い方を見直し、ミツバチの減少を食い止めなければならない。
■蜂群崩壊症候群……ミツバチの群れが1週間~1カ月など短い期間で大量にいなくなる現象。原因として長距離移動によるストレスのほか、農薬、ウイルスによる病気などが指摘されている。
ニュースがわかる 2010年5月号
【おすすすめの本】
「ミツバチの絵本」<そだててあそぼう42>(よしだただはる・編、たかべせいいち・絵、農文協)
「ミツバチ」<ドキドキいっぱい! 虫のくらし写真館11>(高家博成・監修、海野和男・写真、大木邦彦・文、ポプラ社)
「ミツバチ」(栗林慧・写真、日高敏隆・総合監修、アスク)
「ミツバチのふしぎ」<科学のアルバム>(栗林慧・写真、七尾純・文、あかね書房)
2010年5月7日