2009年4月、日本の農業を揺るがしかねない問題が報じられた。花粉交配用のミツバチが足りなくなったのだ。農林水産省(国の役所)によると、21都県でイチゴ、スイカづくりなどに欠かせないミツバチが不足した。
ふつう、農家は養蜂家(ミツバチを飼う仕事の人)からミツバチの群れを買うか借りるかして畑やハウスに放つ。ところが08年、養蜂家がミツバチを増やす夏から秋になぞの大量死が発生した。ハウスでの受粉作業がさかんになる08年11月ごろに不足が目立ち、昨年4月に頂点に達した。
今年は養蜂家らが早めにミツバチを手配したため、不足で悲鳴が上がるようなことにはなっていない。ただし、ミツバチの需要は増える一方だ。値段が高くつけられる高級な果物を作るため、ミツバチを必要とする農家が増えているからだ。ところが、働きバチを産む女王バチはオーストラリアからの輸入に頼っている。国内で安定した形でミツバチを増やすことが課題になっている。
ミツバチの代わりになる昆虫に「クロマルハナバチ」がいる。ただし、ミツバチより体が大きく、ひんぱんに訪れることで花を傷つけてしまい、果実がうまく実らない恐れがある。花粉交配に使える期間も短い。
ニュースがわかる 2010年5月号
2010年5月7日