乳がんのため昨年7月28日に死去した歌手・川村カオリさん(享年38)が、昨年5月5日に行った最後のライブを収録したアルバム「メッセージ」が、一周忌にあたる今年7月28日に発売されることが26日、分かった。ファンからの「最後の歌声を残してほしい」との強い要望に応え、アルバムにはライブで披露した14曲に加え、川村さんが生前、次回作のために収録していた未発表曲(タイトル未定)も収録される。
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川村さんの魂のこもった歌声がCD化される。最後のライブは、昨年5月5日、東京・渋谷C.C.Lemonホールで開催された。会場はデビュー間もないころ何度も立った思い出の場所。その2日後に入院し、そのまま帰らぬ人となった。
川村さんは2004年に乳がんを発症。左乳房の切除手術を受け復帰したが、08年10月にがん再発を公表。リンパ節・骨・肺の3カ所に転移し再発していた。川村さんは「もう一度あのステージに立ちたい」とあきらめず、最後のライブが決まった。その後、つらい抗がん剤治療に耐えリハーサルを続けたが、本番直前になって容体は悪化。当日は、医師が待機し、点滴、ベッドも用意される中、3時間、14曲を熱唱した。
イスに座っての歌唱だったが、アンコールのデビュー曲「ZOO」だけは、最後の力を振り絞り、ギターを手にして立って歌った。川村さんは「がんの自分が歌うことで、生きることの大事さを伝えたい」との思いを体全体で表現。最後に「また会おうね」とあいさつしたが、二度とファンの前に姿をみせることはできなかった。
今回は、ファンから「最後の歌声を残してほしい」との要望が寄せられたことからCD化が決まった。アルバムには、次回作のために収録していた未発表曲(タイトル未定)も収録する。もともと仮タイトルはあったが、遺作となったことから発売までに新しいタイトルを決めるという。