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【社会】

動物用消毒薬の供給ピンチ 口蹄疫で需要急増

2010年5月25日 夕刊

宮崎県の口蹄疫感染拡大を受け、福岡県筑紫野市の畜産農家で行われた消毒作業=21日(代表撮影)

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 宮崎県の口蹄(こうてい)疫問題で、感染拡大の防止に必要な動物用消毒薬の需要が全国的に急増したため、一部の畜産農家などの現場で供給不足となっていることが分かった。九州の自治体の中には、苦肉の策として消毒作用のある酢を代用する例もあり、ブランド牛の産地を抱える東海地方の各自治体とも今後の動向を注視している。

 大手製薬会社によると、消毒薬の主な発注元は当初、宮崎県など九州の自治体だったが、感染拡大が報じられた連休明けごろを境に、九州以外からの需要が高まったという。

 消毒薬を販売する明治製菓(東京)は口蹄疫発生後、1カ月で通常の5年分の消毒薬を販売した。同社は日産化学工業に消毒薬製造を委託しており「生産が追いついていない」と認める。

 英国の製造会社から消毒薬を輸入するバイエル薬品(大阪)は通常の船便に加え、計50トンを航空便で緊急輸入した。九州の顧客に優先的に出荷しているが、在庫が既に足りない状態という。

 あすか製薬(東京)は今回の事態を受け、生産ラインを増強中だ。品薄状態が消毒薬の高騰を招く懸念があるといい「安定供給を行うことで値上がりを防ぎ、製薬会社としての責任を果たしたい」と述べた。

 一方、代用品で急場をしのごうという自治体も。口蹄疫の発生地域に近い宮崎県国富町は畜産農家に優先的に消毒薬を配布したが、在庫が尽きそうになったため、20日から畜産農家の一部や地元商店に食用酢1リットル入りのペットボトル200本を配った。各店舗では入り口のマットなどに酢を散布している。

 町の担当者は「ウイルスの働きを抑える効果が酢にはあるらしいと獣医師から助言され、使うことにした。防疫効果を確認できたわけではないが、酢を信じるしかない」と話し、今後も400本を配布するという。

 

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