ファイル共有ソフト上にウイルスを仕込んだフォルダを配信し、ダウンロードしたユーザーの個人情報を「著作権法違反者」としてインターネット上に公開。削除に際し「和解金」名目で金を振り込ませていた男らが、詐欺容疑で警視庁に逮捕された。男らの行為を苦々しく見ていたネットユーザーたちは逮捕を機に猛然と“逆襲”。男らの個人情報を大量にネット上にさらし始めている。
《ざまぁwww》《最高にかっこ悪いな》《流出したやつも逮捕、ウイルス作ったやつも逮捕、万事解決》《大勝利》
今回の逮捕の一報直後から、これまで容疑者らに煮え湯を飲まされてきた被害者や、これまでの容疑者らの行為をつぶさに観察していたネットユーザーらは一斉に歓喜した。
警視庁ハイテク犯罪対策総合センターによると、逮捕されたネット関連会社「ロマンシング」社長の男(20)=事件当時未成年=とプログラマーの岡顕三容疑者(27)は昨年11月ごろ、個人情報暴露ウイルスを仕込んだフォルダをアダルトゲームに偽装してファイル共有ソフト上に配信。これをダウンロードして感染した数人の個人情報をネット上に公開し、著作権法違反を警告したうえで、「1500円で情報を削除する」と持ちかけ、現金計数万円をだまし取った疑い。コンピューターウイルスを使った詐欺の摘発は初という。
社長は「金がほしかった」と容疑を認めているが、岡容疑者は自身の名を冠したウイルス「Kenzo」の作成を認めつつ、詐欺容疑についてはあいまいな供述をしている。
たしかに、ファイル共有ソフトのユーザーは映画や音楽などを違法にダウンロードして著作権法に抵触している可能性がきわめて高い。だが、その弱みにつけ込む行為はさらに悪質だ。
実際、岡容疑者らの犯行で人生を狂わされた被害者が多数いるとみられる。昨年3月に詐欺に引っかかった九州地方の中学校校長は、自身や家族の個人情報から学校関係書類、アダルト動画の収集歴まですべて暴露され、学校や教育委員会に電話が殺到。教委が処分に乗り出す事態になった。
因果応報というべきか、今回の逮捕を受け、ネット上では被害者や悪行を知るネットユーザーが大逆襲。犯行当時未成年だった社長の個人名はもとより、岡容疑者の経歴から音楽系の活動歴、本人や妹の幼少期の写真、さらには妹の結納日程まで公開。情報は今後ますます増えていくとみられる。
夕刊フジでは昨年11月と今年3月、2人の犯行が「ロマンシング詐欺」と呼ばれ、被害が相次いでいることを指摘した。ロマンシング社は当初、振り込みを促すメールを送りつけるだけだったが、最近ではインチキ著作権団体「ICO国際著作権機構」を名乗り、情報削除料も1500円から5800円に値上げするなど悪質さを増していた。