宮崎県で家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」が拡大している問題で、現地対策本部長の山田正彦農水副大臣は24日、同県が殺処分しないよう求めている種牛49頭について、鳩山由紀夫首相から殺処分の了承を得たことを明らかにした。首相への報告後、記者会見した山田副大臣は「法に従い、直ちに処分する」と述べた。
種牛の中でも、特例で避難させたエース級6頭のうち、感染の疑いが確認されていない5頭については当面、経過観察する方針を確認した。
49頭は、同県高鍋町の県家畜改良事業団で飼育していたが、16日に同事業団の別の牛から陽性反応が確認されたため、殺処分することになった。処分はまだ行われていない。
同県側は「日本の畜産財産が失われる」(東国原英夫知事)として、殺処分の猶予を要望。鳩山首相も「ブランド牛がなくなるのでは」と懸念を示したが、エース級5頭は経過観察するとの報告を受け、処分に同意したという。
ただ、5頭も感染の疑いが出た1頭と同じ畜舎にいたことから、感染の可能性がある。山田副大臣は「2頭目の感染が出れば全頭処分を検討する」とし、まん延防止を優先させる考えを示した。
殺処分した牛や豚の埋却地が不足している問題では、航空自衛隊新田原基地(同県新富町)を活用できないか政府内で調整するとした。
また、家畜の搬出制限区域内(発生地から10~20キロ圏)の牛や豚は、早期の食肉加工、出荷を促す施策について、山田副大臣は「風評被害が懸念されるため、(市場に流通させることは)しばらく控える」とし、赤松広隆農相と協議の上、感染拡大が終息するまで、民間施設に保管し、出荷を見送る意向を明らかにした。
=2010/05/25付 西日本新聞朝刊=