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[19113] 魔法戦記リリカルなのは Yuno  (逆行 改変 )
Name: 剣聖◆a5c84342 ID:10285d3b
Date: 2010/05/26 21:08







以下注意。


まずこれはユーノが主役になります。影薄い時もあるかもしれませんが。

次にオリキャラ達がかなり出てきます。それに伴って原作キャラとオリキャラのカップリングもあると思います。

ユーノつよし、です。オリジナルの魔法もいくつか......

更新超不定期になります。何故なら他にも書いてるから。

最後に、多分ユーなのです。

それでは、以下短いですがプロローグです。





















プロローグ
















ーーーあれ?視界がボヤけてる......?


金髪の青年は床に腕を投げ出して倒れたまま、周りを見る。
その口からは紅いドロドロの血が出ていた。
口だけでは無い。
全身所々から血が出ている。
バリアジャケットはとっくの昔に維持できなくなっており、管理局の立派な制服はボロボロ。

そんな瀕死の彼の視界に、安らかに眠る金髪の少女が入った。


ーーーよかった、ヴィヴィオは無事か。


ホッとして、そう声に出したいが出せず、心の中で呟く。

無茶をし過ぎた。

特にゆりかごの最後尾までチェーンバインドで壁抜きなどしたのが、そもそもの間違いなのだ。
だが、そうしなければ救えない命が在った。だから彼はやった。


ーーー僕は彼女の分まで人々を救うことが出来たんだろうか?


心の中で問いかけるが、それに答えるものは無い。
相棒たる紅い宝石もすでに亀裂が入り、機能を停止している。
ビキビキと悲鳴を上げる空間内で、










「ーーーなのは......」









最後に彼は、小さく、本当に小さく、愛しい失われた彼女の名前を呼び、この世を去った。




ここでこの変わってしまった物語は終焉を迎える。


そして始まるのは、新たなる全く違った物語。

それがハッピーエンドになるのか、バットエンドになるのか、分からない。

ただ一つはっきりと分かるのは。



この物語の主人公が彼だと言うこと。



翡翠の少年は諦めずに歩く。

何故なら、彼女から受け継いだのだから。





諦めずにどんな困難があっても立ち向かう「不屈の心」を。










[19113] 第一話 それは違う過去なの
Name: 剣聖◆a5c84342 ID:10285d3b
Date: 2010/05/26 23:16











第一話 それは違う過去なの











(......あれ?)


彼、ユーノは自分の体に疑問を持った。
僕は傷だらけだったはずだ。なのになんで痛みが無い?いや、死んだんだったか?でも、この感覚は......

彼は、閉じていた瞼を開いた。



死んでたら開けないはずの瞼を。



「生き、てる......?」


目から入る太陽の光が、これが現実だということを教えてくれる。
ユーノは信じられなかった。
自分はヴィヴィオを助けるために命の全てを差し出したはずなのだ。
なのに何故......?

ガバッと身を起こし、両手を目の前に持って来る。
そこでユーノは更なる異変に気がついた。


小さいのだ、手が。
しかもそれなりにマメを潰したせいで硬いはずの皮膚が、やけに柔らかそうに見える。


「......」


服を見る。民族衣装だった。
髪を触ってみる。短かった。
足を見てみる。小さかった。


「......はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


ぶっちゃけ言うと、子供になっていた。
九歳ぐらいのあの頃に。







~只今絶賛混乱中です。暫くお待ちください~








「はぁ、はぁ......」

『大丈夫ですかユーノ?病院に行きますか?』

「いやレイジングハートそうゆうのはいいから」


相棒たるデバイスの言葉に突っ込んだ後、ふぅーと息を吐くユーノ。
取り合えずレイジングハートから聞いた話と照らし合わせてみる。


・先程までユーノはゆりかごに居た。これは夢でも何でも無い。何故なら頭の中にオリジナルの魔法の術式が在って、使えるから。

・現在はジュエルシードを奪われた次の日らしい。これからこの世界、「第九十七管理外世界」にてジュエルシードがばらまかれた地域を探っていく予定だった。

・何故か魔力量は未来の時と同等。これにはレイジングハートも驚いていた。



これらから読み取れる可能性は、


「逆行ってヤツなのかな......いやでも......」

『だとしたら魔力量のことがおかしいです』

「うん、もしかするとリンカーコアもって、意外だね」

『何がですか?』


紅い球体をチカチカさせながら、レイジングハートはユーノに尋ねる。
ユーノは歩きながらも胸元のデバイスに言った。


「いやだって、さっきまで『病院行きますか?』なんてことを言ってたのに......」

『......あんな魔法プログラムを突然インストールされたら誰だって信じます』


レイジングハートは体があったらため息でも吐いてそうな呆れた声で返す。

ユーノが先程レイジングハートに入れた魔法プログラムは正直に言って信じられなかった。
それこそ天才魔導士が開発に二十年はかかるであろう魔法達。
特にチェーンバインドとラウンドシールドの改良具合は凄まじかった。

まるでユーノのために作られたかの用な魔法になっていたからだ。


「まぁ、五年かけて作り上げた魔法だしね」

『五年、ですか......』


二十年じゃなくて五年ですか、と内心でツッコミを入れるデバイス。
ユーノの天才っぷりがうかがえた。


「......十年前、か......」

『ユーノ?』


ユーノは返事を返さず、黙って空を見上げた。



ーーーどんな事をしても、過去は取り戻せないんだよ!いい加減目を覚ませ、フェレットもどき!!



悪友にぶん殴られた時のセリフが、頭に思い浮かぶ。
そう、あの時彼は思い知った筈だった。

失った物は、どう足掻いても取り戻せない物だと。

だが、今はどうだ?自分は彼女を取り戻しているといっても過言では無い。
ならばどうする?折角のチャンスを捨て去るのか?


「......絶対に、死なせない」

『......誰をですか?』


突然のユーノの宣言に、恐らく未来のことが関わっているのだろうと考えながらも、レイジングハートは尋ねてみる。

ユーノは空を、かつて彼女が自由に舞っていた蒼い蒼い空を眺めながら、答えた。





「大事な、とても大事な、僕の恩人さ......」














「ジュエルシード、封印!」

『Sealing』


あれから五時間後、ようやく一個目のジュエルシードを見つけ、ユーノは封印する。
発動前に見つかったのはラッキーだった。
前は戦ったのだから。
今回は海鳴に来るのが早かったためだ。


「さて、暴走体になる前に見つけれてよかったよ」

『前は戦ったのですか?』

「まぁね.....半ば不意打ち気味で。取り合えずもう一個は見つけれるはずだよ」


自分の記憶(うろ覚えだが)と照らし合わせつつ、ユーノはレイジングハートをスタンバイモードに戻す。


「次のヤツも暴走体にならなきゃいいなぁ......」










「グォォォォォォォォォッ!!」

「......暴走しちゃってるね......」

『えぇ、ものの見事に』


夜の森の中を蠢く黒い生物を見て、ユーノはため息を吐く。二個目を見つけたと思ったら間に合わなかった。
その結果が目の前の君の悪い生物。

そんなユーノを視界に捉えたのか、金色の双眼を光らせ、その生物は臨戦態勢を取る。


「でもまぁ」


ユーノはパチン、と指をならして結界を展開。
そして手にレイジングハートを。






「肩ならしには、ちょうどいいかもね」






そう、経験から来る余裕の笑みで言った。


『Set UP』


レイジングハートの自動詠唱により、バリアジャケットが形成される。
そしてユーノの手に収まったのは、長さが違えど、彼女の杖とほぼ同じ杖。


「いくよ、ジュエルシード」

「ガァァァァァァァッ!!」


知能のレベルが低い獣は、ユーノに向かって突っ込む。
その巨体に似合わぬ凄まじいスピードで迫って来る敵に対して、彼は立ったまま動かない。
そして杖を持った右腕をダラン、と下げたまま、彼は左手だけを向ける。
そして一言。


「ラウンドシールド」


デバイスの補助を全く受けずに発動された防御魔法が展開される。
魔力によって編まれた深緑の魔法陣が壁のようにユーノの前に現れた。

当然敵はソレをかわすだけの思考能力は無い。
正面から壁に激突した。


「グォッ!」

「スバル達に比べたらとてつもなく遅いよ」


壁と拮抗することすら出来ずに吹き飛ぶ黒い塊を見て、ユーノは言ってやる。
そしてユーノの周りで小さな、一つ直径五センチくらいの魔法陣がいくつも展開された。
その数約二十。

高速回転するその魔法陣を横目で見て確認してから、ユーノは右手に持つレイジングハートを振った。


「チェーンバインド」

『Shot』


魔法陣から一斉に、緑色の鎖が放たれる。
但し超高速で。さながら弾丸のように。

その放たれた鎖達の威力は凄まじく、木々を薙ぎ倒し、地面にクレーターを作りながらも突き刺さる。
そして勿論敵にも。


「グォォォォォォォォォッ!」


次々と体を貫かれ、絶境を上げる。
だがそれだけでは終わらない。
ユーノは左手の手のひらを上にし、グッ!と握り締めた。

瞬間、見当違いの方向に行った鎖も、地面に突き刺さった鎖も、一斉に締め上げられる。
悶えていた敵を中心にして。


「グッ、グォォォォォォォッ!」


解こうと敵はもがくが、幾重にも頑丈に編まれた鎖はビクともしない。

ユーノのは射撃や砲撃といった攻撃魔法が全くと言っていいほど使えない。
せいぜいが魔力刃の形成が限界だった。
これは武装隊としては致命的な欠陥。
後衛ならともかく、彼が目指したのはバリバリの前衛だ。

ならば彼はどうしたのか?
苦手な攻撃魔法を習得しようと躍起になった訳では無い。

彼は、自分の得意な魔法で戦えないか考えた。
そして答えがこの攻撃。
チェーンバインドの構成を自分でほとんど行い、レイジングハートには補助の術式、加速と回転の術式を頼んでいる。
これにより彼は射撃を手に入れた。
しかも捕縛機能付きの、ある程度誘導もきく。

更に、もう一つ。


「悪いけど、バインドは自信があるんだ」


ユーノはそう苦笑しながら、ポツリと、とどめの一言を言った。







「弾けろ」

『Burst』


レイジングハートの合成音とともに、バインドを構成していた魔力が弾け、大爆発を引き起こした。






『......すごいですね』

「全然凄く無いよ。皆思いつくことだろうし」


それを現実にしているのが凄いんです、とレイジングハートはまた心の中でツッコミ。
先程まで敵が居たところはクレーターが出来て真っ黒になっており、一つの蒼い宝石が浮かんでいた。

バインドを構成している術式にあらかじめ細工をしておいて、後にトリガーたる小さな魔力を使うことで、大爆発を引き起こす魔法。
バインド一つにソレだけの術式を込めれる人間が、次元世界中に何人いることやら......


『本当に、貴方は規格外です』

「レイジングハート、なんか言った?」

『いえ何も。それよりも早く封印しましょう』

「あっ、そうだね。もう封印はしてるけど」


どうやら先程のバインドに封印の術式も加えていたようだ。
それを全くすごいと思っていない少年は、杖を宝石にかざす。

そして宝石、ジュエルシードはレイジングハートの中に収納された。


「さて、と。次は.......ッ!」

『ユーノ!?』


突然、ユーノは声を途中で切り、チェーンバインドを放つ。
チェーンバインドが虚空を貫き、「パキン」と何かを砕いた。
レイジングハートは驚愕した。何せ自分も気がつかなかったのだから。


「今のはやっぱり、隠密性のサーチャー!」

『二時の方向!来ます!』


ユーノはレイジングハートの言葉通りに其方を向く。
すると今まで魔力なんかまったく感じなかったそちらから......









赤い色の砲撃が襲って来た。



轟音を立て、空気を切り裂き、その砲撃は彼に直後する。

大地が、振動し、えぐれた。
















物語は変わる。
この世界を物語としてしか見れない存在のせいで。














後書き
眠いけど書き上げた。
コメント返しは明日で......
複数連載だと、いい感じに煮詰まらなくなる。
では、お休みなさい。



[19113] 第二話 新たなる敵と味方!?なの
Name: 剣聖◆a5c84342 ID:10285d3b
Date: 2010/05/27 20:41







第二話 新たなる敵と味方!?なの












「やったか......」


もうもうとはるか前方で立ち込める砂煙を見ながら、木の上にいた男は呟く。


「ユーノごときが何故あれ程の実力を得ていたのか......憑依か?だがこれで原作通りに......」


彼は転生者と呼ばれる者。
その彼が持つ知識ではユーノは弱いキャラだった。
出番も少なく、戦闘には確実に不向きなキャラ。
キャラ。そう、彼にとってユーノは「人じゃない」のだ。


「しかし......」


己が作った破壊痕を改めて眺める。
彼が放ったのはAAクラスの砲撃魔法。まともに喰らったら非殺傷設定とはいえ、只では済まないだろう。


「まぁいい。ユーノがダメになっても俺が代わりになるだけだ......クックックッ......」


男は気味の悪い、欲望の笑みを浮かべる。
これが目的。
物語を正しくするなどと大義名分を言いつつ、自分が主人公になりたいだけの、ただの欲望。
所詮、男にとってはこの世界は自分が楽しむための物なのだ。








「オイ」



だが、こうゆうヤツは大概ぶっ飛ばされる。
何故なら戦う時に背負う物が違いすぎるから。


「なっ!?」


男は空中にいるのに、イキナリ話しかけられたのに驚く。
バッと後ろを向くと、話しかけてきた十五歳くらいの、黒髪黒目の少年が、宙に浮いていた。


「貴様、何者だ!?」

「だれでもいいだろ?取り敢えず......」


チャキ、と胸元から少年が取り出したのは、剣の形をしたペンダント。
それを見て男は理解した。


「お前も、転生者か!」

「テメーラと一緒にされるのは少しばかりムカつくがな」


はぁ、とため息を吐く少年の周りに光りが展開し、いつの間にか黒い服を身に纏っていた。
そして両手には、二本の太刀。


「さてと、ーーーー、いざ参る」


少年は刀を構えて名乗った。


「クソ!原作キャラの家族かよ!」


男は怒りと嫉妬の炎を燃え上がらせながら、自分の持っているデバイスを向ける。
その黒い銃型デバイスの銃口に光が収束してゆき、


スパッと、銃身が断ち切られた。魔力の収束も掻き消える。


「はっ?」

「いやはっ?じゃねぇよ。こんな至近距離で砲撃とか何考えてんだ?」

「っ!?」


冷や汗を垂らしながら、切られたデバイスをもった状態で、男は後ろを向く。
そこには太刀を持ったまま此方を見て来る少年。
その体からは黒い魔力光が出ていた。


「バ、バカな......こ、こんな力の差が......」

「背負っている物が違いすぎるんだよ」


太刀を再度軽くひと振り。
そして二本の内の右手の方を前に向けて、


「さて、覚悟は出来てんだよな?」

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


男は逃げ出した。
こんな化け物に叶う筈がないと。
魔力ランクAAAの自分が全く手出し出来ない敵などと、戦いたくはない。
森へと入り、簡単な幻術魔法を発動。
とにかく逃げる、逃げる。
死ぬ気で逃げる。


だが、


「グエッ!?」


突然虚空に発生した鎖に止められた。

緑色の鎖に。

幾重にも締め上げられ、咄嗟に男はバインドブレイクを発動するが、


「な、なんではずれねぇんだ!?」


いくら魔力を注ぎ込んでも、そのバインドは壊れない。
焦る、ただ焦る。
そんな男の頭上に、


「スクロールシールド」


緑色の魔法陣が出現した。

男もソレに気がつき、上の魔法陣を見る。
魔法陣は徐々に男に迫って行き、


「バリアバースト」



ドゴォォォォォォォォン!!



盛大に緑の光を撒き散らしながら爆発した。
それを喰らってようやく、男は薄れ行く意識の中で悟った。


自分は主人公などでは無いと。











「イキナリ砲撃放ってきたからビックリしたけど、やっぱり対したことないね」

(AAクラスの砲撃バリアジャケットだけで防ぐとかどんだけー)


ユーノの台詞に口調がぶっ壊れながも突っ込むレイジングハート。但し心の中で。
レイジングハートの言うとおり、ユーノはなんとあの砲撃をバリアジャケットだけで防ぎ、爆炎に紛れて森の中に隠れていたのだ。
バリアジャケットが少し焦げているが、本人は全くダメージ無し。

ユーノ曰く、「ただの力任せな砲撃で、フェイトやはやてと比べるのすらおこがましいよ。というかあんな砲撃でダメージ喰らったら一生の恥」らしい。
確かに魔力任せで集束も照準も半端だったが、バリアジャケットだけで防ぐのは多分ユーノだけだ(バリアジャケット強化の魔法は多少使っている)。

夜の木々が風に揺れる中、ユーノは地面に倒れているアフロ頭になって気絶している男を見ながら、自分の後方の闇に立っている人に話しかけた。


「で?貴方は誰ですか?この男の仲間ですか?」

「仲間だったらデバイス切ったりしねーよ」


苦笑しながら月明かりの当たる大地に踏み出して来たのは、先程の黒髪黒目の少年。
「?」と、ユーノはその姿を見て首を傾げた。
バリアジャケットを展開していない。デバイスも待機状態だ。


「和平の使者は槍を持たない、ってな。取り敢えず話を聞いて貰えないか?」

「......貴方の名前はなんですか?」


ユーノは問いかける。
その言葉にニッコリ笑って、彼は答えた。


「高町隆矢(りゅうや)だ。そっちはユーノ・スクライア、だろ?」


その名は、ユーノが聞いたことのない名前だった。
高町の性を除いて。
















「さて、まずはどこから話せばいいのか......」


公園にあるベンチにて、近くの自動販売機で買った赤いコーラの缶を傾けながら、隆矢は考える。
ユーノはそれを黙って待った。
ちなみに手には青いサイダーの缶。

サラサラと、風の力で木々の葉が自然の音色を響かせた。

決まったのか、隆矢はしゃべり始める。


「よし、俺の普通の人とは違う点から言うか。実はな、俺は......転生者なんだ」

『病院行けよ』

「グハッ!?」

「ちょ!?隆矢さん!?」


隆矢、いきなりのレイジングハートの容赦ないツッコミを受け吐血。
ユーノ、慌てて背中をさする。違うユーノ。これは肉体的じゃなくて精神的なダメージなんだよ。それもかなり痛い。


『転生者?バカですか?信じられる訳ないでしょう?中二病は自分の部屋でやってください』

「あれ......?何でだろう?なんかキレイなお花畑が見える......」

「隆矢さぁぁぁぁぁぁんっ!?そっちに行っちゃダメェェェェェェッ!レイジングハートもキャラ壊れてるよ!?」


隆矢、あの世の一歩手前。
ユーノ、必至に隆矢に声をかける。
レイジングハート、余りの不思議の連続にAIにバグが生じたようです。








「危ねぇ......後少しであの世に逝くとこだったぜ......」

『逝けばよかっ「そぉい!」むぐ!?』


生還した男に毒舌を吐こうとしたレイジングハートは、ユーノの手に握り締められる。
このままだとエンドレスになりかねないからだ。


「えーと、転生者って......?」


ユーノは疑問を尋ねる。
ソレだけでは、自分の名前を知っていた理由にはならない。


「そのまんまの意味だ。前世の記憶持ちってこと。ちなみに前世は十六歳でトラックに跳ねられて死亡した」


サラッとデンジャラスなことを言うが、誰も突っ込まない。
隆矢は言葉を続ける。


「その世界でな、あるアニメが在ったんだ」

「アニメ?あの、テレビに映っている」

「そうだ」


話が見えない。何故アニメが関係してくるのか。


「アニメのタイトルは『リリカルなのは』」

「ーーッ!?」

『?』


レイジングハートは訳が分からず、チカチカと点滅するがユーノは分かった。
次に、彼が何を言うか。



「この世界は、そのアニメの世界にソックリなんだよ」



ユーノは絶句。
あまりのことに、言葉が出なかった。
なにせ、自分達の全てが物語、作り物だというのだ。













あの「事件」も。





「だけど、ソックリってだけで完璧な訳じゃない。主人公のなのはには『隆矢』なんて兄貴は存在しないしな」


それは「この世界」での話だ。
ユーノはどこか遠い思考で考える。
あの戦いも、全てが作り物。見る人間を楽しませるためのストーリーでしかなかった。


つまりは、彼女が死んだのもーーー


「で、そっちはどうなんだ?」

「......そっち?」


誰にぶつけていいのか分からない怒りを胸に秘めつつ、返事を返すユーノ。
その手は血がにじみそうなくらい、強く握られていた。


「俺の記憶がただしけりゃぁ、お前、ユーノ・スクライアは大して強くなかった。だがお前は強い。俺みたいなにわかの強さじゃなくて、本物の強さを感じる」


急に真剣な顔になり、彼はユーノを見た。
その目は、見定めるような印象を与えてくる。


「......僕は、未来から来ました」

「......?未来から?ロストロギアでも使ったのか?」

「いえ、ソレがさっぱり。ゆりかごの中でヴィヴィオを助けた時に死んだはずなんですが......」

「......はっ?」


隆矢は、人生で久しぶりに間抜けな顔を晒した。
ユーノはその表情を見て疑問に思う。
記憶が確かなら、彼はさっきアニメという名のこの世界を見たと言ったはずなのだ。
もしかすると、ゆりかごの戦いはアニメの後の話だったのだろうか?

隆矢は漸く正気に戻り、恐る恐るユーノに尋ねた。













「なのはは、どうしたんだよ?」






「ーーーえっ?」


今度はユーノの思考が停止する番だった。
隆矢は更に続ける。


「俺の知識では、ヴィヴィオを助けるのはなのはだぞ?なのはは何やってたんだよ?」


その一言に、先程まで胸に抱えていた怒りは跡形もなく消え去る。
暫くして俯いたまま、ユーノはポツリ、と。震える声で言った。




















「なのは、は。亡くなっていました」



ーーー十一歳の、あの日に。






そう告げた彼の顔は、ただ、悲しみの色に染まっていた。













「そう、か。そんな世界も、あるってことか......」

「......」

『ユーノ......』


あれから時間が立ち、月も幾分か動いている。

一人の少年と一つのデバイスが聞いたのは、とある少年の過去。
それは冗談にしては余りにも悲しくて、作り話にしては笑えなかった。


「......あー、次はこっちの話、いいか?」


シンミリした空気の中、頭をがしがしと掻きながら気まずそうに口を開く隆矢。

ユーノはソレを聞いてパンッ、と両手で頬を叩く。
気合が入ったのか、先程までの表情をカケラも感じさせずに頷いた。

それを見て、隆矢も話し始める。


「よし......実は俺以外にも転生者はいる」

「貴方以外にも?」

「あぁ。俺が仲間だけでも二人いる」

『先程の男も転生者の一人ですか』

「ほぼ百パーセントな」


アフロ頭(になった)男をユーノは思い出す。
あの後森に放置してきたが大丈夫だろう、きっと。


「さて、転生者には三つのパターンがある」


前に手を出し、指を三つ立ててからまず一つ目、薬指を下ろす。


「まず原作知識......つまりアニメを見ていない人間だな」

「あ、確かに全員が見てるって訳じゃないですよね」


ユーノも納得する。
新聞だって、世の中の一人一人、全員が見ている訳じゃないのだ。


「次に二つ目、原作知識を持っている者」


中指を下ろす。
残るは一本。


「最後に、俺みたいに原作キャラの血縁者など、だな。これは俺以外知らないが」


指が全部下ろされグーの状態に。
ユーノは今聞いた話を脳内で反復。自分の知識に仕舞い込んだ。


「そして、それらから更に三つに行動が分かれる」



「原作に関わってストーリーを変えるか」

「原作を維持してなるべく干渉しないようにするか」

「原作に関わらない、もしくは流れに任せるか」



『三つ、ですか』

「あぁ。まっ、過激派穏便派個人団体などなど様々に分かれてるんだが」



さっきのアフロは個人の過激派だと思う、と彼は付け足す。
というか、アフロと呼ばれる男A哀れ。


「つい半年ぐらい前までかなり転生者同士の争いは激しかったんだ。だけど俺等で止めた。長くなるから止めておくけど、今は二つの団体が纏まってるから大丈夫だ。但し、さっきみたいなバカもいるが」

「確かに......いきなり砲撃魔法は無いですよね」


苦笑しながらユーノは隆矢の意見に同意。
非殺傷設定とはいえ、いきなり攻撃するヤツなどバカ以外になんと言えと。


「この時点で原作とは随分ズレてる。お前の過去とも大分違うだろ?」

「確かに」


そう、この時点で『原作』とやらとはかなり違っている。
まずユーノの逆行、実力。
次に転生者達の存在。
そして、何よりもーーーー



「所でさ、ユーノ。これからのこともあるし、来ないか?」

「......?」

『どこへですか?』


首を傾げるユーノの変わりに、レイジングハートが尋ねる。
それに笑顔で、高町隆矢は言った。







「ウチに、高町家にだよ」


それを聞いた瞬間、ユーノの顔が強張る。

それは、ユーノにとって最高の提案でもあり、最悪の提案でもあった。



そして、何よりも、嬉しいことはーーーー


ーーーー高町なのはが、魔法のことを現段階で全く知らないこと。


















翡翠の少年は仲間を得る。
愛しい彼女の代わりに。









後書き
連続投稿なんだよ!
赤松板の方は土日に一気に書き上げる。
高町隆矢というオリキャラ登場。
説明も追加します。いつか。

感想ありがとうございます。
では。

なのはを、やっと出せる......!


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