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5月26日17時37分配信 読売新聞
家畜伝染病「口蹄疫(こうていえき)」問題で、宮崎県は農家や周辺住民の心のケアに力を入れている。
県内各地の保健所などに電話相談の窓口を開いており、感染の恐怖や被害拡大の罪悪感にさいなまれる農家などから相談が寄せられている。
高齢者や独り暮らしの農家に対しては、自治体が直接電話をかけ、こころの健康を確認する取り組みを始めることも検討している。
県障害福祉課によると、相談窓口は4月26日から県下10か所の保健所などに開設し、保健師が対応している。
今月24日現在、7件の相談があり、「隣接農家が被災したが、自分のせいで感染が広がったかもしれない」「知人が外出できず、疲労していて心配」「処分された牛や豚のにおい、鳴き声がつらい」など、切実な声が寄せられているという。
一方で、子どもたちへの影響も懸念される。
県教委は、県内すべての公立小中高に対して、
〈1〉農業高生や畜産農家の生徒に対する差別やいじめがないよう正しい情報提供の徹底
〈2〉心のケアが必要な場合はスクールカウンセラーを活用すること――などを求める文書を各市町村教委を通じて配布した。
今のところ、被害報告はないという。
また、県は各市町村とも連携して、精神疾患を患う危険性が高いとされる高齢や独居の農家などへ電話をかけ、こころの健康状態を確認するケアの実施を検討している。
発生地などを対象とする予定で、自治体の担当課の職員や保健師らが体調を聞き取る。
県障害福祉課は「口蹄疫で緊張状態が続き、重いストレスにさらされているケースも多い。
うつ病などに発展してしまう恐れもあり、こころのケアが大切だ」としている。
家畜伝染病「口蹄疫」問題で、拡大防止策として殺処分が宮崎県内で続いている。
電気ショックや2酸化炭素ガス、薬で次々命を絶っていく動物たちを目の当たりにする過酷な現場で、担当者たちは苦しみながら仕事に当たっている。
白衣を着た2人が、それぞれコードがついた大型のはさみ様のもので豚の胴をはさんでいる写真がある。
電気ショックによる殺処分現場だという。
2010年5月中旬、衛生放送「チャンネル桜」が放送したもので、宮崎県の畜産家から「どんな悲劇が起きているかを伝えて欲しい」と託されたものだという。
■腱鞘炎や筋肉痛で手足が動かなくなる人も
殺処分対象の牛と豚(ごく一部ヤギなど)は、宮崎県によると5月24日現在14万5300頭を越えた。
うち、殺処分が終わったのは、7万6800頭強だ。
今後、ワクチン接種後の全頭処分が加わる見通しで、処分対象は急増する。
「総動員かつ急ピッチで進めても、1日4000頭前後の殺処分が精一杯」。
宮崎県の東国原英夫知事は、5月21日のブログで殺処分の大変な現状について触れた。
作業に当たる人たちの中には、連日連夜の作業で腱鞘炎や筋肉痛のため手足が動かなくなる人も出ていることを報告している。
以前のツイッターでも「現場は壮絶である。
殺処分される家畜の悲痛な鳴き声、すえた臭い、生産者や防疫作業員の疲労と落胆・絶望・焦燥(略)」などと報告していた。
宮崎県農政水産部によると、殺処分の方法は3種類ある。
(1)電気ショック、(2)薬を注射、(3)ガスだ。
牛は薬殺、豚は電気ショックが多い。
大型の豚は薬か2酸化炭素ガスを使う。
県職員らが動物を押さえ、獣医師が殺処分をする。
5月25日は、県外からの応援組を含め、獣医師約120人など計420人超が殺処分などの「防疫現場」で実務に当たった。
県では、薬殺に使う薬剤は公表していない。
「安楽死」となるよう、苦痛がないようにかつ短時間で死亡するようにしているが、薬剤を明かす行為自体が動物愛護団体から「残酷だ」との指摘を受けかねないからだ。
「どういう方法で牛や豚を殺しているのか。残酷な方法ではないのか」。
そんな問い合わせが全国の動物愛護団体から多数寄せられているという。
■牛は処分を察してか悲しい顔をする
また、殺処分の映像は、動画も写真も「公式には記録を残していないし、獣医師の人たちが個別に撮影しているとも考えられない」としている。
県がマスコミに提供するのは、消毒や清掃の場面だ。
それでも畜産家が撮影した写真がテレビで報道されることがある。
そうすると宮崎県庁に苦情が殺到する。
「残酷なシーンを流すな」と。
中には、写真のクレジットに「宮崎県提供」と誤った表示をした社もあり、「正しい表記を電話でお願いした」こともある。
県内のある農協職員は、殺処分の担当者らの苦悩を代弁した。
特に牛には表情があり、処分を察してか悲しい顔をするのだという。
「涙を流した牛もいた、そう涙ながらに報告した職員もいた」。
交代で3日おきに現場へ行くが、「いつまでこの過酷な状況が続くのか」と精神的にも肉体的にも多くの職員が追い込まれている。
死に行く動物を見るのもつらいが、作業を見守る畜産家の人たちの苦渋の表情を見るのはさらに辛いとも話しているという。
県や農協の担当者は、作業にあたる人たちへの「心のケア」の重要性を指摘する。
さらに、「殺処分が半分しか進んでいない」といった「無責任な批判」に対し、処分の大変さやその現実を訴えたい気持ちもある。
が、そうすると「残酷だ」との批判が寄せられることになる、とのジレンマに頭を悩ませている。
宮崎県は5月25日、「宮崎県口蹄疫被害義援金」の受付概要を県サイトに載せた。
市町村を通し、被害を受けた畜産農家に配分するという。
問い合わせ先は、宮崎県福祉保健部福祉保健課(0985・26・7074)。
「生き地獄」口蹄疫殺処分で畜産農家の悲痛な叫び - 産経新聞(5月20日)
感染が拡大する宮崎県の口蹄(こうてい)疫。政府は19日、発生地から半径10キロ圏内のすべての牛や豚にワクチンを接種し、殺処分することを決めた。畜産農家は「何も考えられない」と落胆する一方、「私たちが防波堤にならねば」と悲痛な叫びを上げる。
最初に感染が確認されて20日で1カ月。
「激甚災害」の様相を呈する現場で関係者は「もっと早く対策があれば」と唇をかんだ。
〔時系列に見る〕後手後手に回った鳩山政権の動き
被害が発生した高鍋、新富両町に隣接する西都(さいと)市内で牛57頭を飼育している橋口敏暢さん(66)は「涙が出てくる。今は何も考えられない」と肩を落とした。
市職員から、畜舎が対策実施の圏内に入るとの通告を受けたのは19日午後。
「口蹄疫が沈静化しても新たに牛を育てる気になれない」と無力感に襲われている。
「日本の畜産を守るための防波堤になるしかないか」。
被害が多発する川(かわ)南(みなみ)町で豚約7千頭を飼うJA尾鈴の遠藤威宣養豚部会長(56)は、こうつぶやいた。
ただ1カ月間、消毒作業を毎日続けて被害を免れてきただけに、全頭処分を完全に納得しているわけではない。
「10キロという範囲に根拠はあるのか。
国はどこまでウイルスが来ているのかを確認してほしい」と声を荒らげた。
「この1カ月は本当に長かった。
生き地獄のようだった」。
都農(つの)町で子牛など約80頭を飼育する河野辰徳さん(58)は、時折声を詰まらせながら振り返った。
消毒作業に追われる毎日。
肉体的な負担以上に「もし家畜が感染したら」とおびえる精神的なストレスがきつかった。
「これが夢だったら…」と思わずにはいられない。
全頭処分の決定に、「牛は家族の一員。覚悟はしていたが…」。
近所では泣いている人もいたという。
感染拡大で、22万頭の子牛を生み出し、銅像まで建った伝説の種牛「安平(やすひら)」も殺処分の対象になった。
安平を約1年間飼育していた宮崎市佐土原町の畜産農家、永野正純さん(61)は「あんな牛に巡り合えたのは幸せだった」と声を詰まらせる。
殺処分について「自分の子供と同じだから…。
それ以上、言わなくても分かるでしょう」と言葉少なだった。
被害が出ている地域では、白い防護服姿の担当者が消毒する姿が見られ、災害派遣の自衛隊車両が行き交うなど「激甚災害」の様相を呈している。
川南町では幹線道路にも検問所が設けられ、通行する車は消毒液の散布を受けなければならない。
「不要不急の外出は避けるように」との非常事態宣言が出ていることもあり、人影はまばら。ゴーストタウンのような静けさだ。
殺処分の担当者もやり切れない。
作業を終えて川南町役場に戻った県職員は「きょうは300頭ぐらい処分した」と語った。
職員によると、殺処分は牛や豚の首にロープをかけて押さえ込み、獣医が首筋に静脈注射を打つ。
口蹄疫(こうていえき)の猛威は、高校生が大切に飼育していた牛や豚にまで及んだ。
移動制限区域内の高鍋農業高校(高鍋町)で、実習用に飼育している乳用牛1頭から感染疑いが確認(24日)され、牛53頭と豚281頭は25日、殺処分された。
生徒らには動揺が広がった。【蒔田備憲、小原擁、川上珠実】
4月20日以降、同校では敷地内にある畜舎への生徒の立ち入りを禁止し、今月24日からは全面休校にした。
しかし、寮生活を送る生徒も多く、24日午後に岩下英樹校長が寮生約100人に口蹄疫の感染を報告した。
生徒たちのショックは大きく、「どうして」というざわめきと、すすり泣く声が漏れたという。
殺処分される25日朝、学校は作業に携わる県の関係者に千羽鶴を託した。
「処分される牛たちに届けてほしい」と生徒たちが一晩で織り上げた。
「家畜にとって大変な時に、生徒たちに『触らせられない』という思いをさせてしまった。
本当に触らせてやりたかった……」と岩下校長は取材に涙を流した。
しかし、彼らが県の畜産を担う希望の灯であることを岩下校長は信じて疑わない。
「防疫は地域を守ることなんだということを学んでほしい。
地域は若い後継者を待っている。だから君たちが必要なんだ」と。
25日。殺処分の鳴き声を聞かせないよう、生徒たちを体育館に集め、県から派遣されたカウンセラー2人が心のケアにあった。
全校生徒の7割近い240人が寮生活を送っている。
口蹄疫発生以来、多くの生徒は土日や大型連休中も実家に帰らず、寮にとどまった。
実家が畜産農家という生徒も多い。
これ以上の被害は出したくないとの思いからだった。
畜産科3年の小野田有心(ゆみ)さん(17)は「放課後は毎日のように牛舎に遊びに行って牛の面倒を見ていた。
大切な家族のような存在」と話す。
同校で飼われ、07年県畜産共進会(県畜産振興協議会主催)の肉用種種牛の部でグランドチャンピオン(農林水産大臣賞)に輝いた「みねこひめ3」も殺処分された。
同校は明治36(1903)年の開校で、県内の農業を支える人材を輩出してきた。
県教育委員会は「授業実習用の家畜なので授業もできなくなる。
まずは生徒の精神ケアに努めたい」と話している。