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日本のインフレ目標論

2010年5月27日0時1分

 小幅デフレが続く中で、またもインフレ目標を設定すべきだとの議論が出てきた。インフレ目標を日銀に設定させ、日銀が量的金融緩和政策をとれば、いずれ物価は上昇し始めるといった考え方だ。

 確かに日銀が国債のみならず、企業の保有している資産までも購入する禁じ手を採用し、お金を市中にばらまけば、いつの日かインフレになるだろう。しかし、これでは経済活動は活発にならないまま物価が上昇する「スタグフレーション」を招くだけで、問題は解決しない。経済政策の目標は、あくまでも経済活動の活発化であり、その結果としてデフレが解消することに意味がある。

 金融政策上、経済活動の活発化には、企業の実物投資の期待利益率よりも貸出金利を下げることが必要である。しかしながら、政策金利が0.1%という限りなくゼロ金利に近い状況でも、企業の実物投資を喚起することは難しいのが実情。ここは異様に低い水準となっている日本企業の期待利益率を引き上げるマクロ政策の実行が必要だ。環境、エネルギー、介護・医療、福祉、農業といった分野での大胆な規制緩和を含む産業政策、投資減税などの税優遇策が企業の期待利益率を引き上げ、経済活動を活発にする。

 実体経済と金融システムをきちんと分析した上で、的確な手を打つことが求められている。量的金融緩和政策を実行すれば問題が解消するといった簡単な構図ではない。

 多くの国でインフレ目標が採用されていると言われるが、今までインフレ目標を採用した国はいずれもインフレを抑えるためで、デフレ解消策として採用した国はないという事実にも思いを致す必要があろう。(率性子)

    ◇

 「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。

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