西日本新聞

女性がん患者支援 かつら無料レンタル ウィッグリング・ジャパン 提供を呼び掛け

2010年5月27日 11:36 カテゴリー:九州 > 福岡 社会
善意で届けられたカツラの手入れをする「ウィッグリング・ジャパン」の上田あい子代表=福岡市・天神の同団体事務所

 女性がん患者の闘病支援に取り組む任意団体「ウィッグリング・ジャパン」(福岡市)は7月から、九州・山口で抗がん剤治療の副作用で毛髪の脱毛に悩む女性患者のために、かつらを無料で貸し出す事業を始める。九州では初めての取り組みという。事業開始までに100個集める計画だが、まだ約40個にとどまっており、使わなくなったかつらの提供を呼び掛けている。

 女性にとって、抗がん剤の副作用で毛髪が抜け落ちることは、精神的に大きな苦痛になる。上田あい子代表(35)がこの事業を思い立ったのは今春。闘病中の幼なじみの女性が悩む姿と、そこから自信を取り戻す回復の過程に触れたのがきっかけになった。

 副作用に苦しみ、将来への不安を感じ、一時期ふさぎ込んでいた幼なじみの女性が、友人からかつらを渡されたのをきっかけに、外出して買い物をするようになった。元気を取り戻していく姿に、上田さんは「同じように悩む女性がいるはず。彼女たちを少しでも笑顔にしたい」と、行動を起こした。

 新品だけにはこだわらない。「必要なくなったかつらは、病気を乗り越えた証し」。上田さんはそう考え、がん治療を克服した人から使わなくなったかつらを集める。闘病中の女性患者に貸すことで、病に立ち向かう勇気と合わせて、女性としての自信と喜びを届けられたらと願う。

 医療用かつらは最も安いものでも10万円近くかかる。抗がん剤治療費の3回分程度に相当するという。高い治療費を負担しているため、かつらが欲しくても簡単に買えない現状を考慮し、貸し出しを無料にした。

 無料レンタルは登録制で、すでに希望者は30人を超えている。博多座の床山から10個の提供を受けるなど、多方面からの善意で徐々に集まりつつあるが、目標の100個には届いていない。上田さんは「待っている患者さんのためにも、7月前に100個集まったら、その時点で始めたい」と話している。

 かつらの提供の申し出や、貸し出し利用に関する問い合わせは、同団体事務局=092(725)6623。

=2010/05/27 西日本新聞=

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