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「善意を踏みにじった」 杉良太郎氏が援協に苦言
 コロニアの冷たさに愛想尽かす

 【東京支社】滞日中の尾西貞夫氏(兵庫県人会会長、援協副会長)が15日、ボランティアとして国際交流に貢献、ブラジル日系社会にも貢献した杉良太郎氏(俳優&歌手)を訪問、懇談した。杉氏は、日本移民80年祭の際、多額の経費を負担して訪伯。その際、援協をはじめ各日系の福祉団体に合計で6万ドルを自分の懐から寄付、友好病院建設の一助としている。尾西氏は、こうした貢献度の高い杉氏にその後の日系社会の報告と制作中の兵庫県人会誌に寄稿してくれたことへのお礼もあり訪問した。

 懇談は東京・六本木にある杉氏の事務所で行われたが、懇談冒頭に杉氏は「ブラジルの日系人は、人の善意を踏みにじって平気なんですね」と切り出し、尾西氏を慌てさせた。最初、杉氏は尾西氏との面会を断ったようだが、それはブラジル日系人に幻滅、ブラジル日系人とは付き合いたくないという考えが根底にあったようだ。

 杉氏が日系ブラジル人に対し「善意を踏みにじる」と語ったのには、それなりの理由がある。杉氏が友好病院建設に寄付をしたのは竹中正元援協会長に依頼されたからである。ところが、援協からは同氏が亡くなっても何一つ連絡もなければ、挨拶もない。竹中氏に限らず、日系社会の重鎮が亡くなれば、連絡の一つぐらいあっても良いではないかというのだ。

 杉氏はこれまで、国際的なボラティアとしてアジアはもとより各国に学校建設費を援助したり、福祉施設の建設に尽力したりしている。こうした功績からハワイからはハワイ名誉市長の称号をもらい、ベトナムからは特別大使に任命されている。

 同氏が国際福祉活動を始めて40年以上になるが、頼み事をされ、それに応えてやって、その後なしのつぶてというのはブラジルの日系社会だけだという。

 「重要人物が亡くなったとか、その後の業績がどのようになっているかの連絡が、一通ぐらいは来ても良いと思いますよ。見返りを求めてボランティアした訳じゃありませんが、ちょっと情けないですね」と杉氏は嘆く。

 80年祭の訪伯時、杉氏はスタッフの滞在費、旅行費など全額を自己負担。その上に6万ドルも寄付し、合計で6千万円近くの出費になっている。

 これだけの犠牲を払って尽くしても、日系ブラジル人は無視同然の態度、とその不人情ぶりが心に重くのしかかっているようだ。

 ボランティアをしたその他の国々と比べ、そのあまりの冷たさに、ブラジル日系人には愛想が尽きたということだろう。

 尾西氏は、こうした杉氏の言葉に「日系社会も変わってしまって、日本人の持つ義理、人情が薄れてしまいました」としきりに弁解していたが、杉氏は「同じアジアでも中国人や韓国人は結束力が強いのに、日本人はだめなんですかね」と溜め息を漏らしていた。

 杉氏のように本音でブラジル移住者に苦言を呈するのは珍しく、大抵は当たり障りのない話でお茶を濁す。この杉氏の言葉は、これから日系人が日本と付き合っていく際の重大な警告のようにも思える。

写真:杉氏(左)を訪問した尾西氏

2010年5月20日付
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