木瀬親方と暴力団「つながっていた」元師匠ウワサ明かす

親方不在の木瀬部屋前でテレビ、新聞の代表記者（中）が木瀬親方に直接電話取材した

　昨年の名古屋場所で清見潟親方（元幕内・大竜川）と木瀬親方（元幕内・肥後ノ海）が暴力団幹部へ入場券を手配していた疑惑について２６日、協会幹部が爆弾発言を行った。清見潟親方が在籍する三保ケ関部屋の師匠で協会の副理事を務める三保ケ関親方（元大関・増位山）が木瀬親方と暴力団幹部との交際に関し「つながっているという話をチラホラ聞いている」と明かしたのだ。勇み足とも言える発言は協会幹部が木瀬親方への疑惑を強めている証明で、２７日の理事会で厳罰は確実だ。

　現役親方２人による維持員席と呼ばれるたまり席チケットの暴力団幹部への手配問題。協会内部から疑惑を深める重大発言が飛び出した。

　放ったのは三保ケ関親方だ。この日、審判部副部長として両国国技館での番付編成会議に出席後、清見潟親方の疑惑について「木瀬親方からチケットの手配を頼まれたのは事実だが、その券がどこに渡ったのか知らないと聞いた」と説明した。問題は木瀬親方についての発言だ。現役時代は三保ケ関部屋に在籍していたかつての弟子だが「暴力団とつながっているという話がチラホラ入っていた」と黒い交際疑惑を深めるかのような言葉を残したのだ。

　三保ケ関親方は副理事を務める協会の幹部。「実際に現場を見たわけではない」とうわさの範囲を強調したが要職に就く親方の発言は重大。勇み足とも取れる発言の背景には師弟関係のズレにあるとみられる。何度も「木瀬は部屋を開く時も師匠のオレに案内状も送ってこなかった。バカにされたようなものだ」と憤慨。過去の行き違いが爆弾発言につながったようだ。

　かつての師匠から思わぬ疑惑をかけられた木瀬親方はこの日、電話で報道陣に一連の疑惑を釈明した。ます席は「４、５年前に経営コンサルト会社の知り合いから頼まれて手配した。まさかそういうところに回っているとは思わなかった」と暴力団幹部へ手配していた疑いを含め黒い交際の事実を否定した。その上で２７日の理事会で検討される処分については「いかなる処分も受けます」と覚悟した。予想外の内紛も発生した今回の疑惑。生活指導部の陸奥部長（元大関・霧島）は「理事会で２人を呼んで弁明させて話し合います」と慎重かつ厳正に対応する方針を示していた。

　◆木村　瀬平（きむら・せへい、通称・木瀬）本名・坂本直人。１９６９年９月２３日、熊本県熊本市生まれ。４０歳。日大から三保ケ関部屋に入門し９２年初場所に幕下付け出しで初土俵。９３年春に新入幕。０２年九州を最後に現役引退。最高位は前頭筆頭。幕内在位は５３場所。幕内成績は３３５勝４１７敗。０３年１２月に三保ケ関部屋から独立し木瀬部屋を創設。現役時代の身長は１８３センチ、体重は１５０キロ。

　◆清見潟　一男（きよみがた・かずお）本名・和田一男。１９４６年１月２１日、兵庫県加古川市生まれ。６４歳。三保ケ関部屋に入門し６１年初場所に初土俵。６８年秋に新入幕。７９年秋を最後に引退し三保ケ関部屋の部屋付き親方として現在に至る。最高位は前頭筆頭。幕内在位は２６場所。幕内成績は１６２勝２２８敗。敢闘賞２回。現役時代の身長は１７８センチ、体重１１５キロ。