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【郵便不正】調書採否決定要旨 「取り調べに問題、調書に信用性があるとは」

2010.5.26 22:26

 ■主文

 厚労省前任係長(上村勉被告の前任)、元部長、元課長補佐、元室長補佐、河野克史被告(凛の会発起人)の供述調書の一部を証拠採用し、その他を却下する。

 ■前提事実

 各証人の調書は、いずれも大阪地検特捜部が黙秘権を告知して被疑者として取られた。取り調べ時のメモは廃棄されていたが、これが検察側の不適正な取り調べを推認させるものとはかぎらない。

 ■厚労省前任係長

 前任係長は最初に在宅で取り調べを受けた後、厚労省内部の事情聴取に応じた。その記録には取り調べへの感想は書いてあったが調書に対する不満はみられず、検察側が誘導できる状況でもなかった。

 ■厚労省元部長

 検察側が誘導したとは認められない。想像か記憶かはともかく「石井一参院議員から電話があり『公的証明書を発行してほしい。凛の会元会長の倉沢邦夫被告に行かせる』といわれた」と供述したとみられる。検事が「石井議員との交信記録がある」と虚偽を伝えて取り調べたとはみられず、大きな問題があったとはいえない。公判供述の信用性には一定の疑問がある。

 ■厚労省元課長補佐

 公判では、取り調べ時に「1泊でも2泊でもしていくか」「特捜をなめるな」といわれたと「思う」とあいまいな証言をしており、脅迫があったとは認められない。供述自体の信用性は別個の観点からなされるべきだが、証拠能力レベルでは調書に信用性がある。

 ■元室長補佐(略)

 ■凛の会元メンバー

 当時、検察庁に対する弁護人からの申入書には「調書は検事の作文。机をたたかれ、やむなく調書に押印した」とあったが、特捜部長の対応書類には「素直に供述しており、机をたたく必要はなく、そうした事実はない」とあった。検事は公判で2〜3回机をたたいたと証言しており、上司に事実と異なる報告をしていた点は慎重な考慮が必要だ。調書には一定の疑問を抱かざるをえない。

 ■厚労省元係長、上村勉被告

 検事は関係者の供述内容からストーリーを描いて取り調べに臨んでいた。被告の被疑者ノートには「自分1人でやったといったのに検事から『人間の記憶には限界がある。私にまかせて』といわれた」という記載があり、被告の公判供述と合致する。

 検察側は被疑者ノートについて(1)なかったことを書いた(2)後から書き加えた不自然な部分があった−と指摘するが、被告は身柄拘束の当時から懲戒免職を覚悟しており、保釈後に書き加えたとも認められない。

 従って、取り調べはあいまいまたは一面的な証拠評価で誘導された可能性があり、調書は被告の意思に反する内容が記載されたことになる。取り調べに問題があり、調書に特別な信用性があるとは認められない。

 ■河野克史被告

 保釈保証金100万円というのは非常に安く、検察側が被告に対して利益誘導していた可能性が認められる。被告の捜査、公判いずれの供述にも問題があるが、被告は捜査段階の供述の方が、真実により近いと証言していることから供述調書に特別な信用性があると認めるのが相当。

 ■倉沢邦夫被告

 当初は公判証言と同様、厚労省前任係長、村木厚子被告の順に会ったと供述していたが、途中で面談の順番が変更されたのは、検察側に誘導されたことに起因するとみられる。

 また「村木被告に対し、郵政公社に電話するよう要請した」という調書については「事実と違う調書に指印した」と証言しており、調書が必ずしも供述通りでなくても指印していた可能性がある。

 公判で被告は、証明書を村木被告から手渡されたと証言しているが、裏付けがないにもかかわらず、自分にとって不利なことも認めているといえる。

 以上から、検察に大きな問題があったとまではいえないが、誘導があり、供述調書は本人の言葉をそのまま録取したのでなく、他者の供述に合わせて倉沢被告に供述させたうえで作成したことがうかがえる。

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