女子プロレス25歳定年制度について(後編)
2010年05月26日
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女子プロレス25歳定年制度は2つの大前提があって成立していたものでした。まず一つ目は入門者のほとんどがミドルティーンであること。そしてもう一つは現在とは比べ物にならないほど、多くの試合経験を積むことができたことです。
80年代あたりまでの女子プロレス界では、入門者のほとんどは中学を卒業してすぐか、せいぜい高校を1~2年で中退した女の子たちでした。高校を卒業して入門してくる選手は稀で、20歳を超えてデビューした神取忍などは例外中の例外。多くは15歳から17歳くらいでプロレス人生をスタートさせていたのです。これならば25歳までに10年近くリングに上がることができます。
しかも当時の全日本女子プロレスは年間250~300試合という、無茶苦茶なスケジュールの巡業を行ってしました。現在の若い選手で年間100試合以上出場している選手は稀で、平均すれば50試合前後といったところだと思います。つまり25歳定年があった頃の若手は、現在の若い選手に比べると5倍くらいの試合経験をつんでいたのです。
ジャッキー佐藤、マキ上田、ジャガー横田、デビル雅美、長与千種、ライオネス飛鳥といった歴代のスターが、いずれも20歳前後、デビュー3~4年でスターダムに駆け上がることができたのは、現在の選手の10年分以上の経験値を積んで、精神的にも肉体的にも鍛え上げられ、メインエベンターとして認められるだけの、強さと魅力を兼ね備えていたからなのです。
地方経済が疲弊しきっている我が国の現状を考えれば、往年の全日本女子プロレスのように、年間250試合の巡業を行える団体が出てくるとは思えません。また、以前のようにミドルティーンばかりが女子プロレスの門を叩くようになる状況も、そう簡単には復活することはないでしょう。
それでも「女子プロレスを復興させる唯一の方法!」と、25歳定年制度を強制的に復活させたらどうなるでしょうか?
例えば松本浩代という選手がいます。今年でデビュー4年目を迎えた彼女は、現在の若手グループの中ではトップを走る存在で、近い将来の女子プロレス界を担いうる逸材と言われています。しかし彼女は20歳を過ぎてのデビューだったので今年で25歳になります。同じく若手のホープでキャリア5年の栗原あゆみは、すでに25歳になっています。
25歳定年の復活とは彼女たちのような有望な若手選手さえも、強制的に引退させるということなのです。というか、現在メインを張っているような主力選手は、ほぼ全員が25歳以上なので誰もいなくなってしまいます。たぶん女子プロレスラーの数自体が、現在の4分の1くらいになる上に、選手全員が引退してしまう団体もいくつか出てきます。試合レベルも現在よりはるかに低くなってしまうでしょう。
さらに25歳定年が復活すれば、入門が許されるのはせいぜい18歳までになります。実際、25歳定年があった頃の女子プロレス界では、団体を問わず新人募集の年齢制限は18歳以下でした。しかし現在では中学を卒業してすぐに女子プロレス界に入ってくる選手はむしろ稀です。短大や大学を卒業して入門してくる選手も珍しくありません。
ですが25歳定年制度を復活させれば、よほどアマチュアで実績を積んだ選手でもなければ、前述した松本のように20歳を超えての入門は許されなくなるでしょう。つまり、ただでも少なくなっている入門志願者を、女子プロレス側から門前払いしてしまうことになるのです。
以上のような理由から、私は本稿の前編で25歳定年制度を強制的に復活させれば、むしろ3年後には女子プロレスというジャンル自体が、3年後には消滅してしまう可能性があると書いたのです。
もちろん選手の高齢化は女子プロレスというジャンルにとって、大きな問題点であることは間違いありません。新人の発掘や育成が業界に課せられた、緊急の課題であることも間違いありません。かといって25歳定年制の復活というのは、あまりにも現実を無視した暴論なのです。
※こちらとは別に「須山浩継伯爵の身勝手日記」というブログの方もご愛読頂ければ幸いです。またhirotsugukunというアカウントでツイッターもやっております
80年代あたりまでの女子プロレス界では、入門者のほとんどは中学を卒業してすぐか、せいぜい高校を1~2年で中退した女の子たちでした。高校を卒業して入門してくる選手は稀で、20歳を超えてデビューした神取忍などは例外中の例外。多くは15歳から17歳くらいでプロレス人生をスタートさせていたのです。これならば25歳までに10年近くリングに上がることができます。
しかも当時の全日本女子プロレスは年間250~300試合という、無茶苦茶なスケジュールの巡業を行ってしました。現在の若い選手で年間100試合以上出場している選手は稀で、平均すれば50試合前後といったところだと思います。つまり25歳定年があった頃の若手は、現在の若い選手に比べると5倍くらいの試合経験をつんでいたのです。
ジャッキー佐藤、マキ上田、ジャガー横田、デビル雅美、長与千種、ライオネス飛鳥といった歴代のスターが、いずれも20歳前後、デビュー3~4年でスターダムに駆け上がることができたのは、現在の選手の10年分以上の経験値を積んで、精神的にも肉体的にも鍛え上げられ、メインエベンターとして認められるだけの、強さと魅力を兼ね備えていたからなのです。
地方経済が疲弊しきっている我が国の現状を考えれば、往年の全日本女子プロレスのように、年間250試合の巡業を行える団体が出てくるとは思えません。また、以前のようにミドルティーンばかりが女子プロレスの門を叩くようになる状況も、そう簡単には復活することはないでしょう。
それでも「女子プロレスを復興させる唯一の方法!」と、25歳定年制度を強制的に復活させたらどうなるでしょうか?
例えば松本浩代という選手がいます。今年でデビュー4年目を迎えた彼女は、現在の若手グループの中ではトップを走る存在で、近い将来の女子プロレス界を担いうる逸材と言われています。しかし彼女は20歳を過ぎてのデビューだったので今年で25歳になります。同じく若手のホープでキャリア5年の栗原あゆみは、すでに25歳になっています。
25歳定年の復活とは彼女たちのような有望な若手選手さえも、強制的に引退させるということなのです。というか、現在メインを張っているような主力選手は、ほぼ全員が25歳以上なので誰もいなくなってしまいます。たぶん女子プロレスラーの数自体が、現在の4分の1くらいになる上に、選手全員が引退してしまう団体もいくつか出てきます。試合レベルも現在よりはるかに低くなってしまうでしょう。
さらに25歳定年が復活すれば、入門が許されるのはせいぜい18歳までになります。実際、25歳定年があった頃の女子プロレス界では、団体を問わず新人募集の年齢制限は18歳以下でした。しかし現在では中学を卒業してすぐに女子プロレス界に入ってくる選手はむしろ稀です。短大や大学を卒業して入門してくる選手も珍しくありません。
ですが25歳定年制度を復活させれば、よほどアマチュアで実績を積んだ選手でもなければ、前述した松本のように20歳を超えての入門は許されなくなるでしょう。つまり、ただでも少なくなっている入門志願者を、女子プロレス側から門前払いしてしまうことになるのです。
以上のような理由から、私は本稿の前編で25歳定年制度を強制的に復活させれば、むしろ3年後には女子プロレスというジャンル自体が、3年後には消滅してしまう可能性があると書いたのです。
もちろん選手の高齢化は女子プロレスというジャンルにとって、大きな問題点であることは間違いありません。新人の発掘や育成が業界に課せられた、緊急の課題であることも間違いありません。かといって25歳定年制の復活というのは、あまりにも現実を無視した暴論なのです。
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