「キリンチャレンジカップ、日本0-2韓国」(24日、埼玉)
W杯に臨むサッカー日本代表は、国内壮行試合として宿敵・韓国と対戦し、0‐2で完敗した。前半6分にMF朴智星に先制点を許し、後半ロスタイムにはPKを与え、ダメ押しされた。岡田武史監督(53)は試合後、日本サッカー協会・犬飼基昭会長(67)に進退伺を申し出て、同会長はその場で続投を指示。本大会直前、前代未聞の“放り投げ”にも等しい言動で、チーム内外に大きなショックが走った。
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耳を疑った。試合後の会見。岡田監督が自ら衝撃的な言葉を発した。「1年に2回も韓国に負けて本当に申し訳ない。当然、責任問題になると思う。犬飼会長に尋ねたら『やれ』と言われたんで、前に進むしかないと思います」。真昼のようなフラッシュに青白い顔が浮かぶ。10年ぶりとなる韓国戦連敗以上に大きなショックとなる、暴挙とも言える告白だった。
放り投げだ。岡田監督独特の潔さとも言えるが、自身が選んだW杯メンバーの置き去りに等しい。犬飼会長は試合後、進退伺の事実を隠した。チームへの影響を考えれば当然。だが指揮官自身が公の場で発言したことで、チーム全員が無責任とも言える行動を知ることになる。MF遠藤は「監督の職をかける気持ちは伝わっている。信じてやるしかない」と必死で前を向いたが、動揺は計り知れない。
指揮官の精神状態が懸念される。岡田監督は去就問題が出るたびに「協会はクビにする権利がある。だが選手がついてくる以上、自分から投げ出すことはない」と、乗り越えてきた。だが今回ははその信念とは真っ向から異なる。
「自信をなくしたということではなく『会長に続けてもいいんですか、会長も(批判を)色々と言われますよ』と言ったんです」と岡田監督は付け加えたが、協会側は精神状態を危ぐ。原技術委員長は「監督と話して、(状態を)確認してみます」と、25日にも直接会談する意向だ。
MF松井、DF闘莉王、内田ら主力が欠場していたとはいえW杯仕様の戦い方で完敗。修正を余儀なくされる。W杯出場国レベルの相手に先制されて引かれると、ゴールは困難になることを露呈。前半は守備的な選手を入れて耐え、後半に攻撃に出る戦法も視野に入れた。
W杯前の国内壮行試合は過去4度、開催されているが初の敗戦。それでもサポーターは激励のコールと拍手で送り出した。だれもが前を向く中、投げ出し発言の影響が気がかりだ。かつてない絶望的ムードに包まれた青い軍団は26日未明に日本をたつ。