第四戦車大隊本部管理中隊の武器庫や事務室がある陸上自衛隊玖珠駐屯地の本部隊舎=2日午後
窃盗容疑 など元隊員を再逮捕
二〇〇六年九月に玖珠町の陸上自衛隊玖珠駐屯地から小銃や拳銃などが持ち去られた事件で、大分、宮崎両県警の合同捜査本部と陸上自衛隊警務隊は二日午後、窃盗と建造物侵入、銃刀法違反(所持)の疑いで、宮崎県高鍋町持田、元自衛官で無職、高山敏信容疑者(44)=建造物侵入未遂罪などで起訴=を再逮捕した。大筋で容疑を認めている。宮崎県警などによると、動機については「元上司を困らせたかった」と供述しているという。捜査本部は、駐屯地に侵入し武器を盗み出した手口などを追及する。
調べでは、〇六年九月上旬、かつて勤務していた同駐屯地に侵入し、第四戦車大隊本部管理中隊の武器庫から64式小銃、九ミリ拳銃各一丁と空の弾倉三個、双眼鏡を盗み出した。さらに同九月中旬ごろ、自宅近くの小丸川河川敷で小銃一丁を所持、今年八月六日には自宅で拳銃一丁を所持した疑い。
高山容疑者は「自分一人で小銃や拳銃などを持ち出した。小銃は分解して川に捨てた」と供述。小丸川では今年六月、この小銃の部品とみられる「引き金室」が見つかっている。
高山容疑者は昨年十二月、盗み目的で高鍋町内のパチンコ店に侵入しようとした建造物侵入未遂と器物損壊の疑いで八月に逮捕、起訴された。この現場には、駐屯地からなくなった双眼鏡が残されていた。自宅の家宅捜索では、拳銃や空の弾倉二個を押収した。
高山容疑者は〇六年三月まで同駐屯地に勤務し、二等陸曹で退職。犯行直後の同年九月、武器の持ち去りが発覚した。
外部侵入、ずさん警備
高山容疑者は退職後の〇六年九月上旬の夜間に駐屯地から小銃、拳銃を持ち出したとみられる。外部から駐屯地に侵入することが可能だったことになり、ずさんな警備と管理体制が、あらためて浮き彫りとなった。
武器庫を管理していた第四戦車大隊本部管理中隊に当時所属していた元自衛官は「武器庫などの鍵の管理が甘く、中隊の人間なら武器を持ち出すのは簡単だった」と証言する。
鍵は夕方の点検後、夜間当直(午後五時から午前八時)の隊員に引き継ぎ、武器を取り出すために必要な二つの鍵は別々の隊員が常時携帯する決まりになっていた。
しかし、実際は同中隊事務室の机の引き出しにまとめて入れたままにする隊員が多数存在。事務室に入るための鍵も当直の隊員が管理する規則になっているが、少なくとも三十年前から入り口の上部に隠すのが習慣になっていたという。
外部から駐屯地への侵入に対しては、警衛隊などが定期的にパトロールしている。しかし別の元自衛官は「隊員や元隊員なら、警報装置の場所やパトロールの時間帯を知っており、侵入は難しくない」と話した。
事件後、同駐屯地は再発防止のため(1)鍵管理の適正化(2)火器の抜き打ち検査(3)武器庫に監視カメラ設置―などの改善策に取り組んだが、想定外だった外部からの侵入防止対策はこれからだという。
同駐屯地広報担当は「侵入して盗んだのであれば、管理体制がずさんだったと言わざるを得ない」とした。
再発防止に万全期す
防衛省陸上幕僚監部の話 武器を紛失したことにより地元や国民の皆さまに不安を抱かせたことを、あらためて申し訳なく思っている。武器の管理や点検は厳格に実施しているが、今後とも再発防止に万全を期していきたい。
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