2010.5.25 18:34
東芝は25日、原子力発電燃料のウラン濃縮で世界2位の米ユーゼックに対し、発行済株式の15%に当たる1億ドル(約90億円)を出資し、濃縮ウランの供給を受ける権利を取得すると発表した。
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ウラン燃料の生産から供給までを手がける一貫体制を確立し、原発建設に当たり、燃料供給も求める新興国での受注につなげたい考えだ。
ユーゼックはロシアのロスアトムに次ぐウラン濃縮大手で、世界のウラン濃縮設備シェアの19%を占める。東芝は、米国の原発機器メーカー、バブコック&ウィルコックスとともに優先株を引き受け1億ドルずつ出資する。取得する優先株は発行株式の15%ずつにあたる。
ユーゼックはウラン濃縮工程の効率化に向けた技術開発を進めており、両社の出資で資金調達を図る。
米原発大手ウエスチングハウス(WH)社を子会社にもつ東芝は、原発事業を中核事業に位置づけ、2007年にはカザフスタンのウラン鉱山権益を取得した。今年4月からはWHとともに英国に設立した合弁会社でウラン燃料の販売や輸送業務などにも乗り出した。
WHでも、ウラン濃縮の前工程と後工程の事業を英国企業から取得。成型加工工程は東芝、WHともにもともと保有しており、ユーゼックへの出資でウラン燃料の生産・供給を一貫して行えるようになる。
東芝・WHグループでは、東芝が米国で原発2基を受注しているほか、WHが米国で6基、中国で4基を受注し、すでに一部では建設が始まっている。
東芝は現在5000億円強の原子力事業を2015年に1兆円に引き上げる目標を掲げており、一貫体制を武器に海外での大量受注を目指す。