在留邦人向け安全の手引き


在外公館がまとめた安全の手引きです。海外の在留邦人が、事件や事故に巻き込まれないために留意すべき事項の他、(必要に応じて)戦争、暴動等の緊急事態への備えと緊急時の対処方法が記載されています。

日常生活面の安全対策マニュアル


2008年版
在コロンビア日本国大使館

 

 海外生活の安全対策の心構えとしては、平素から皆様ご自身が安全対策に関心を持ち、適度な警戒心を維持することにあります。出張や観光目的で外国を訪れる場合と比較して、十分な安全・警備対策が必要です。特に、コロンビアのように危険度の高い国においては身の回りにおけるより一層の対策(ハード面での整備、ソフト面での行動)が大切です。
 日本的発想である「水と安全は無料」という意識は完全に捨て、危機管理意識を持つことが大切であり、まずは『自分と家族の安全は自分達全員で守る』という意識が必要です。犯罪の予防対策が最大の危機管理であり、何事も最悪の事態を考え「周到に準備」しつつ「大らかに生活する」ことが肝要です。
 また、海外での安全対策の基本は、
  • 『常に用心を怠らない』
  • 『目立たない』
  • 『被害対象としての魅力をなくす』
ことを遵守する事にあります。
 犯罪に遭う時期としては、「現地の生活に慣れてきた頃」、「帰国間際の頃」が多いようですが、それらは心のどこかに油断が生じたことが行動となって現れることが原因となっています。従いまして日頃から同僚、家族全員で安全対策の基本について確認するなど、平素から身に覚えさせることが必要です。
 このマニュアルは、コロンビアで生活する上において思わぬ犯罪などに巻き込まれないように、事前に気を付けるべき事柄をとりまとめたものです。
 このマニュアルが、コロンビアでの皆様の安全な生活に役立てば幸いです。

在コロンビア日本国大使館
 TEL 57-1-317-5001(閉館時は、緊急連絡先を音声で案内しています。)
 FAX 57-1-317-4989

 

  1. 自宅等防犯対策チェックリスト
  2. 誘拐被害防止対策
  3. 事例別留意事項
  4. 緊急事態対策

 

1.自宅等防犯対策チェックリスト

(1) 危険地帯の認識
  • 一般的にスラム(貧民)街と言われる地域への立ち入りは避ける。
  • また、夜間においても市中心街と言え、極力歩くことは避ける。
  • 夜間、やむを得ず外出する際には、車を使用する。

(2) 自宅の防犯対策
 自宅選択時から安全な家を選ぶことが重要。(駐在員によっては、異動時にはアパートも併せて引継となる場合もありますが、下記事項については一般的な防犯対策として認識しておいてください。)
(イ) 一般的自宅選択時に考慮すべき事項
  • 自宅付近の治安環境はよいか。
  • メインロードから離れすぎていないか。
  • 敷地の一辺のみが道路に面している住居を選択する。
  • 通りから見通しの利くところに出入口が設置されているか。(待ち伏せによる犯行が主になることから、出入りの際に不審者を発見しやすくするため、見通しが利くところに出入口がある住居がよい。)
  • 職場までの通勤経路は複数選択可能か。
  • 職場等から自宅までの経路上に照明は設置されているか。
  • 隣家の状況(犬・警備員の有無等)をチェックする。
(ロ) ゲート(門扉)
  • 高く(2.5m)、強度のあるゲート及び門灯を設置するよう家主と交渉する。
  • 外部から透視できないボード等の設置を検討する。
  • 警備員小屋内にもパニックボタン(非常通報ボタン)を設置する。
(ハ) 外壁
  • 高く(2.5m)、強度を増す。
  • 照明は、可能な限り庭全体に行き届くように設置する。
  • 不必要な樹木等で死角を作らないようにする。
  • 場所・状況によっては犬を飼うことも検討する。
(ニ) アパート等
  • 基本的に4階以上の階を選択する。(最近では、アパートを狙う犯罪者も増えつつある。)
  • 強度のあるセキュリティグリル(飛散防止フィルム)を全周に設置する。(グリルは窓ガラスの内側が望ましい。)
  • 主寝室内部には、パニックボタン(非常通報ボタン)、電話、無線機等連絡・通信手段を確保する。
  • 使用人部屋の室内にもパニックボタン(非常通報ボタン)を設置する。
  • 可能であれば、室内各所にセンサー式アラームを設置する。
(ホ) 施錠及び鍵の保管等
  • 平素から夫婦で鍵の管理を確実に行い、外出時、使用人を自宅に残す場合でも鍵は携行する。また、鍵は使用人の目の届く場所に放置しない。(外部から侵入しづらい部屋で鍵のかかる場所(金庫等)に集中保管し、使用人にはその部屋に一切立ち入らせないのも一案)
  • 外部から室内に入る扉はすべて2重以上の鍵を付け、そのうち最低限一つは内部からロックすれば外部から開けられないもの(かんぬき錠等)にする。(しかし、開かない鍵はないことを承知しておく必要がある。)
  • 予備鍵の管理を確実に行う。使用人にはその存在を知らせない。
  • 先進国製の鍵を使用する。(日本製の鍵は信用度が高い。)
    円筒錠:monolock  掘込箱錠:caselock  本締錠deadlock
     円筒錠(MONOLOCK)、棒鍵錠(LEVER TUMBLER LOCK)は容易に開けられうる。掘込箱錠(CASE LOCK)、本締錠(DEAD LOCK)が比較的信頼性の高い錠前である。
  • 玄関等においては、ドアスコープ等を利用して、必ず訪問者を確認してから扉を開ける。(知人が訪問したと考えられる場合でも、必ず確認する習慣を付ける。)
  • 就寝時は、室内の扉を含めてすべての扉を施錠した上で、鍵はすべて寝室に携行する。また、外部から、いつ就寝したか分からないような工夫も必要。
  • 夜間は外出・外泊時でもリビング等の電灯は、数カ所点灯したままにしておくことも一案。
(ヘ) 身辺警備員(エスコルタ)及び警備員(ポルテロ)
  • エスコルタ等の氏名・セドラ(身分証)番号はその都度確実に記録しておく(交代要員として配置されるエスコルタには要注意)。
  • 言葉の通じないエスコルタは、緊急時に意志疎通に支障をきたすので、日頃から指導しておく。
  • 出入車(者)の管理を確実に行うよう指導する(むやみに人・車を入れないよう指導する)。
  • 平素からエスコルタがよく働いているか否かをチェックし、まじめなエスコルタと契約する。
  • 運転手に対しては、鍵の授受を確実に行う(鍵を持ったまま食事等に行かせない、帰宅させない)。
  • 運行記録を記入させる等して勝手に運転させない。
  • 盗難予防、最近発生した事案等を教育し注意喚起する。
  • 車を点検・修理に出す際には、工具等は自宅に保管する。
  • 市街地で駐車する際には、人通りの多い場所、照明が設置されている場所を選んで駐車する。
  • 食事中、運転手を待たせる場合には駐車場まで一緒に赴き、鍵は自分が携行し、運転手には車の近くで監視させる(鍵を付けたまま車両待機させない)。
  • 車の中には貴重品等を放置しない。
  • 運転手には運転中、常に後続車の状況も注意させ、不審車両が追尾してきているようであれば、警察署若しくは最寄りのガソリンスタンド等に一時避難する(自宅に入る際は特に要注意。不審者が追尾してくるようであれば、自分に報告させ、自宅を通過する等臨機応変の措置をとる。また、異常がない場合でも、門扉前で待たされないよう工夫するのも一案)。
  • 不自然な場所(交差点内部)・形(道路を封鎖するように)で停車している車には注意する。車が故障しているようでも原則として止まらない。
  • 夜間等、不必要な外出は極力避ける。外出する場合でも街路灯のある道を選んで走行する。
  • 警備員であっても、家族が脅迫されていると住居人、主人であっても裏切ることがあるので、「最近、笑わなくなった」、「目を合わさなくなった」等態度の変化を見抜く力も必要である。
(ト) 電話
  • 電話受理時には、
    1.先に名前を名乗らない
    2.相手が「誰ですか」と聞いた場合には、「どちらにおかけですか」と聞き返す
    3.間違い電話に対しては自分の番号を教えない
  • 知らないものからの電話で、家族がけがをした等、家族がすぐに家から出るよう勧めるような内容については疑いを持つ。
  • 自宅の電話番号については、できる限り秘匿する。
  • 共用回線を使用しない。
  • 自宅から最も近い公衆電話を把握しておく。
  • 警察、病院、救急サービス等の緊急用電話番号については、電話のすぐ近くに置いておくこと。半年毎に確認することを忘れずに。
  • 家族全員が公衆電話を使えるよう練習しておくこと。
(チ) 郵便物
  • できる限り自宅に郵便物が届かないように措置すること(事務所がベター)。
  • 家族及び使用人は、不審な郵便小包その他の予期しない配達物を受け取らない(ドアを開けて受け取らないこと)。
    ○知っている人か(知らない場所か)
    ○シミはないか
    ○郵便切手は多すぎないか
    ○金属用のもの、紐等が小包から出ていないか
    ○文字の綴りは正しいか
    ○住所と消印地名とに相違はないか
(リ) その他
  • 使用人、運転手等に余分な話をしない。
  • 使用人を雇う際には、犯罪証明をとるのも一案。


2.誘拐被害防止対策

(1) 一般的防止方策
  • 客観的に危険度を見極めること。
  • 目立たず、派手にしない、事業の成功は公表しないこと。
  • 予定を他人に公言しない、ルーティン化しない、通勤経路、方法、手段、時刻を変えること(しかし、狙われたらお終いであることを承知し、ターゲットにならない用心をすることが一番)。
  • いつも注意し、周囲をよく調べること。不審者情報は何でも捜査当局(GAULA)へすぐに通報すること。
  • いつも通信手段(携帯電話、無線等)を持って行動すること。
  • 身辺警備員(エスコルタ)、近所の人や住居地を管轄する警察との確実な連絡手段を保持し、緊急事態における対策を講じておくこと。
  • 職場と同じように、家庭内においても使用人を注意して選ぶこと。とにかく使用人と良い関係を維持することは重要であることを認識しておくこと(偶然出会ったような使用人や秘密を持っている関係にある人を雇用することは、誘拐の危険度が高くなる)。
  • 知られていない人々からの電話には要注意のこと(仕事や遊びの予定が漏れる可能性がある)。
  • 預金等を一つの銀行に集中せず、分散させること(経営状態を明らかにさせない)。
  • タクシーに乗る時には、無線タクシーを利用し、事前に向かえるタクシーのプレート番号を確認して乗車する(乗車中は、ドア及び窓をいつも閉じておくよう運転手に要求すること)。
  • 不審車両が追尾しているような場合には、予定を変更して、すぐに捜査当局へ通報すること。

(2) 小さな子供と一緒の時には
  • 子供を守る責任は、大人にある。絶対に一人にさせてはならない。
  • 子供たちの友人を知っておくこと。
  • 子供たちには、家庭内においても慎重な行動をするように教えること。

(3) 旅行前には
  • 旅行の前には、幹線道路の状況及び状態を交通警察に確認した上で、旅程を計画しなさい(警察の提供する情報により旅行日程及び行程を計画することも必要である)。
  • 一人で旅行するときには、信頼のできる人に告げなさい。
  • 旅行について電話で話すときは相手を確認すること。旅行のルート等については、信頼できる人以外の人には他言を避けること。
  • いつも緊急対策を準備すること。
  • 派手な自動車では旅行しないこと。
  • 宝石や必要以上の現金を持参しないこと。
  • 仕事に関する重要書類は持参しないこと。
  • いつも連絡ができるように携帯電話もしくは連絡手段を確保しておくこと。

(4) 旅行中には
  • 交通量の多い時間帯つまり昼間に移動するように努力すること。
  • 交通・道路標識の異常等変わった標識には注意深く警戒すること。
  • 停車中、近寄ってくる人々との対話を避けること。
  • 自動車内に小さい子供たちを残さないようにすること。
  • 車両を停車する場合には、周りの状況を注意深く観察し、単独で駐車しないこと。異常な事態に遭遇した時には、すぐに軍や警察に対してこれらの事実を通報すること。
  • 近道はしない方がよい。知らない道を通るのは危険が伴う。
  • 治安当局が発表するニュースに耳を傾けること。
  • 治安機関の制服を見てもすぐには信用しないこと。
  • 事故や不審者(車)、または道端で奇妙な行動をしている車には近寄らないこと。

(5) 家族で
  • 人が多数集まるような有名な場所において休憩すること。
  • あなたの雇用人の自宅までの経路を知っていること。
  • 近隣に直接助けを求めることができる場所と信頼関係を持っておくこと。(警察署、旅団、病院、GAULA、その他)
  • 小さい子供をひとりで留守番させてはならない(信頼できる人に預けるべきである)。

TELEFONOS DE EMERGENCIA   緊急連絡先(電話番号)
国家警察 国家警察本部誘拐・恐喝対策局 123、165

 

3.事例別留意事項

(1) 危機遭遇パターン
  • 外から帰宅して無人の自宅に入った時、すでに中にいた犯人と鉢合わせ
  • 騙されて、あるいは早合点でドアを開けてしまった
  • 異常を感じ、寝室を出て見に行って犯人と鉢合わせ
  • 寝室のドアに鍵を掛けていなかったため、気がついたときには枕元に犯人
  • 自宅付近での待ち伏せ

(2) 強盗
 武装強盗が窓ガラスを破って侵入を試みている場合やリビング等で物音がしている場合は、アラームボタンを押す等して救護を求めることが必要(時間的余裕を確保するため、強固な扉、飛散防止フィルム等は必要)ですが、不幸にも主寝室付近まで侵された場合には、抵抗することなく生命第一の原則を守ってください。

(3) 自動車強盗
 最近の傾向として走行中の車を狙った犯罪が増加しており、この種の犯罪にはある程度の不可抗力の面もありますが、
  • 運転手の平素の行動をチェックする。
  • 危険地帯には近づかない。
  • 極力夜間は外出しない。
  • 車列を組んで走行する。
  • 道端に停車している不審車両に注意する。
  • 追尾してくる車の有無をチェックする。
  • 車間距離を保って運転する。
等が重要です。
 特に防犯対策上重要なことは、被害対象(ターゲット)としての魅力をなくすことです。万一、車両強盗に遭遇した場合には、決して抵抗せず、また、急激な動作をとらないことが身を守る最善策です。

(4) 犯罪被害留意事項

【屋外編】
(イ) 深夜の一人歩きは避ける
 夜間、繁華街を一人で歩くこと自体が危険であり、飲酒状態で歩くことは絶対に避けてください。
(ロ) 一等車でも安心しない
 公共の交通機関は、一般的に犯罪に巻き込まれる可能性は高いのです。特に、ボゴタ市内では、公共のバス内においても、殺人・強盗事件等も発生していますので、バスでの移動は避けてください。
(ハ) 車に乗っている時も油断大敵
 走行中は、ドアロックをして窓を閉めておいてください。また、
  • 走行中は停車をしない
  • 交差点で赤信号にあわない
ように留意することも必要です。
 渋滞の方がかえって安全な場合があります。
 万一、犯罪にあってしまったら、落ち着いて犯罪者の指示に従うことが、身体に危害を加えられないために重要なことです。
(ニ) 近づく人に無防備にならない
 善良そうに近づいてくる人であっても、凶器を所持した犯罪者である可能性がありますので、十分な注意が必要です。
(ホ) すぐそこまででも気を抜かない
 すぐそくまででも、夜間、一人歩きは危険が伴います。慎重に考えることが必要です。
(ヘ) 犯罪者には抵抗しない
 犯罪者に遭遇した時には、率直に犯罪者の指示に従うことが賢明です。背後から突きつけられた物が何かとか、犯罪者の顔を確認しようとすることは、犯人を刺激することが多く、危害を加えられる可能性が高くなります。

【屋内編】
(イ) ドアを開けるときは、まず確認
 ホテルでも住居でもドアチャイムが鳴った際に、安易にドアを開けることは絶対に避けることが必要です。必ず、ドアミラーなどで相手を確認して、基本的にドアチェーンをかけたまま対応してください。
(ロ) 部屋に入るときも背後に注意
 アパートの玄関や部屋に入る時は、背後から襲われやすい瞬間です。ドアの前でバッグから鍵を出そうと立ち止まっている時も狙われます。自分の場所に戻ったという安心感から隙が出やすくなりますので、部屋に入るまで気を抜かないでください。
 また、ドアノブの直近に傷があるかどうか確認してから入室してください。すでに犯人が侵入している可能性もあります。特にアパートは、侵入されると犯人側も逃げ場を失いますので、どんな行動に出るか分かりません。
(ハ) 職場、自宅付近で犯罪者が待ち伏せている可能性があることを認識し、事前に不審者(車)の有無には要注意する。
(ニ) ターゲットとしての価値(魅力)を下げる対策が必要である。

(5) 犯罪に遭ってしまったら
(イ) 自分自身の安全を第一に考え、犯罪者に抵抗しないことが大切です。犯罪者の要求が言葉などの問題で理解できずうろたえてしまうことや、犯罪者の顔をじっと見ることが犯罪者からは抵抗していると判断されてしまいます。犯罪者から手をかけられた手荷物と生命を引き替えにする必要のないよう、持ち歩く物にも留意が必要です。(持ち歩く場合には、盗まれてもかまわないものだけにする。)
(ロ) 被害を必要最小限度に留めるため、犯罪者が満足する最低限の額の現金をあらかじめ取り出しやすいところに用意しておくことも一案です。
(最近では、有り金を全て強奪する犯罪傾向にあるので、財布は2個以上持っておき、1個を素直に渡すことも一案)
 ただし、出そうとして慌ててバッグやポケットに手を入れると、逆に武器を取り出そうとしていると誤解されるので、ゆっくりと行動することが大切です。
(消極的抵抗をしないために、自己シミュレーションが重要になる。)
(ハ) 万一、犯罪被害で負傷することがあれば、近くの病院あるいは医師の診察・治療を受けることになりますが、さらに、現地の警察に届け出ることが必要です。警察では、保険請求の際に必要となる被害届の受理書を発行してもらい、大使館へも通報してください。盗まれた物が発見された時、大使館に報告が来る場合があります。

【偽造クレジッカード不正使用被害の防止】
(イ) 偽造クレジットカード不正使用事件の現状
( i ) この犯罪は、盗んだカード情報をコピーするための銀行カードや有効期限が過ぎ失効されたカードなどを調達する者、ウェイターや店員として客が使用するカードの個人情報を盗む者、その盗まれたカード情報をお金で買って偽造カードを作成し自分たちの組織で使用したり、客に売りさばく者などの役割分担があるなど、組織的な犯罪です。
( ii ) 偽造グループ組織の数については、警察当局の方も、手口があまりにも簡単でちょっと金と知識があれば誰でもやれるということで不明です。
 また、カードの限度額が高い日本人だけをターゲットにしているのではなく、外国人だったら当国人よりも金を持っているだろうということで、主に外国人の持っているカードが狙われており、ゴールドカードだろうが一般カードだろうが差はありません。
(ロ) 偽造手口
( i ) 偽造装置は、ペスカドールと呼ばれるデータ情報入手装置、パソコン、データ転写装置からなり、全部で約5,000ドルで購入が可能です。
( ii ) ペスカドールは、ホチキス大で、米国では1個43ドル程度で売られており、隣国ヴェネズェラ国内では1個100万ボリパル(約1,440ドル)で取り引きされています。
 センサー部分に1回カードを通すだけでデータ情報を盗み取り記憶するようになっています。ですから、例えば店員がペスカドールをポケットに忍ばせ、レジまで行くまでの間にポケットの中でカードを通せば誰にも気付かれずにデータ情報を盗むことができ極めて発見が困難です。
 また、ペスカドールは、1個で90件の個人データ情報を記憶することができます。この盗まれたデータ情報は1件約36ドルで買われており、フルに90件を集めれば3,240ドルを稼ぐことになり、へたなアルバイトよりもずっと効率が良く高収入を得ることができるため、組織から依頼を受けアルバイト感覚でデータ情報を盗む者が後を絶たない状況です。
( iii ) 個人データ情報を盗む定員についてもデータ情報をできるだけ短期間に多量に盗みとることができるよう外国人が良く利用する高級レストランや高級衣料品店で働こうとします。また、そのような場所で働いている店員に対して組織も共犯を依頼しているような状況ですので外国人が多く被害にあっているようです。
(ハ) 防犯対策
( i ) 現時点では犯行が容易であるため、偽造の噂がたっている店ではカードの使用を自粛し、小切手か現金で支払う以外にありません。どうしてもカードを使用しなければならない場合は、テーブル上での支払いはせず、直接レジにおいて支払いをするか、店員の動向に十分注意する必要があります。
( ii ) 万一被害に会った場合、最近では銀行の方でおかしなカード使用があった場合、例えば1度に約500ドル以上の買い物とか現金引き出しがあるような場合や1日に数回使用した場合には確認通知、または使用不能になりますので、その時点で明細を確認し、明らかに自分が使ったものでない分については文書で申し入れをしておくことが必要です。
( iii ) また、明細上不正使用されはじめた直前に利用した店、例えば
9月13日   パティオ   5万ペソ
9月14日   レストランA   8万ペソ
9月15日   クラブB   23万ペソ
9月16日   キャバレーC   26万ペソ
9月17日   スーパーD   3万ペソ
 などの明細が来て、9月15日のクラブB、9月16日のキャバレーCについては、自分が使っていないものとしたら、最初に不正使用され始めたクラブBの直前の店、つまり9月14日レストランAにおいて偽造された可能性が高いということになります。すぐに警察に被害届を出して、そのレストランAについては、今後カードによる利用は控え、当面は情報を共有し自主防衛を図る必要があります。

 

4.緊急事態対策

 コロンビアでは、現在のところ内乱、クーデター、暴動等(以下「内乱等」という)の緊急事態発生の可能性はありませんが、万が一緊急事態発生の際には、大使館としても全力でその対応に当たりますが、そのような状況下では、各自が責任を持って自己の安全対策に万全を期する努力をすることが必要です。
 そこで大使館では、そのような緊急事態発生時において、在留邦人の方に迅速、的確に対応できるよう以下のとおり平素の心構えと必要な準備、緊急事態の行動について必要な事項をまとめました。
 在留邦人の皆様にあっては、本マニュアルを参考にしながら、緊急時に落ち着いた対応ができるよう心掛けてください。(□にチェック)


(1) 平素の心構え・準備

(イ) 連絡体制の準備
在留邦人の方は在留届の提出を励行してください。
当地では別添の通り緊急連絡網を作成しております。道連絡網に誤りがある場合(引越し、転勤、電話番号等による変更)には、速やかに大使館に直接または木曜会等を通じて御一報ください。また、同連絡網に基づく緊急の連絡は、誰から受理し誰に伝達するか等について平素から確認しておいてください。
緊急事態はいつ起こるとも限りません。そのような場合、家族間・企業内での緊急連絡方法について、あらかじめ決めておいてください。また、お互いに所在を明確にするようにしてください。
緊急事態発生の際には、大使館から連絡網を通じて情報を提供するとともに必要な指示を行いますが、電話回線等が使用できなくなった場合には、大使館FM放送機(89.4MHz)或いはNHK海外放送により必要な連絡を行うことがありますので、短波、FM受信可能なラジオ(電池の準備もお忘れなく)を購入しておいてください。
緊急事態発生時の安否確認及び緊急退避のため、大使館ではあらかじめグルーピングを行い、各グループの連絡担当責任者を連絡網記載のとおり指名していますので、日頃から連絡を密にし、まさかの時に備えておいてください。(緊急連絡網の根幹企業等)
(ロ) 一時退避場所及び緊急時避難先
一時退避場所の検討
 内乱等発生時には、戦闘、騒乱に巻き込まれる可能性がありますので、常に周囲の状況に注意を払い、情報を収集しながら危険な場所に近づかないことを心掛けてください。巻き込まれそうになった場合の避難場所について、日頃から頭に入れておくことが重要であり、自分がどこにいるのか(勤務先、通勤途上、自宅等)、自分がどのような事態に巻き込まれそうか等幾つかのケースをあらかじめ想定して各自の一時退避場所を検討しておいてください(外部との連絡可能な場所が望ましい)。
緊急時避難先
 大使館から緊急事態発生の状況に応じて、場合によっては緊急時避難先への集合を指示することがあります。大使館が指定する緊急時避難先は以下のとおりですので、同避難先を確認し、そこに至るルートについて幾つかのケースを想定しておいてください。
・大使館 :Carrera 7 No.71-21 TorreB Piso11   TEL:317-5001
・大使公邸 :Carrera 7A No.88-15   TEL:236-3746
・日本人学校 :Carrera 8H No.170-35   TEL:670-5130
・JICA事務所 :Carrera 7 No.73-55 Piso13   TEL:312-1117
(ハ) 緊急事態における携行品等、非常用物資の準備
旅券、現金(US 500ドル)、貴金属等最低限必要なものは、直ちに持ち出せるように、あらかじめまとめて保管しておいてください。
緊急時には一定期間自宅での待機を指示することがありますので、非常用食料、医薬品、燃料等を最低限10日分準備しておいてください。
準備しておくべきチェックリストは別添のとおりです。

(2) 緊急時の行動
(イ) 心構え
 緊急事態が発生し、又発生する恐れのある場合には、大使館は邦人保護の万全を期するため、情報収集、情勢判断及び対策の策定を行い、随時、緊急連絡網を通じて通報します。平静を保ち、流言飛語に惑わされたり、群集心理に惑わされることのないよう注意してください。
(ロ) 情勢の把握
( i ) 大使館からの連絡は、電話利用の可能な場合と不可能な場合に分けて、随時、別添の緊急連絡網により通報しますので、短波、FM放送を常に受信できるようにしてください。
( ii ) 緊急事態発生の際には、現地、海外報道、衛星放送テレビ等の視聴により、各自情報収集を心掛けてください。
(ハ) 大使館への通報等
( i ) 現場の状況のうち、通報する必要があると認めたものは、随時大使館に直接、又は木曜会等を通じて通報してください。その他の在留邦人の方の貴重な情報となります。
( ii ) 自分や自分の家族、又は他の邦人の生命・身体・財産に危害が及び、又は及ぶ恐れのあるときは、迅速かつ具体的にその状況を大使館に報告してください。
( iii ) 緊急事態発生の際には、お互いに助け合って対応にあたることが必要になります。大使館から在留邦人の方々にも種々の助言をお願いすることもございますので、よろしくご協力ください。
(ニ) 国外への退避
( i ) 事態が悪化し、各自又は派遣先の会社等の判断により、或いは大使館の指示により、自発的に帰国、第三国へ退避する場合、その旨を大使館に通報してください(連絡が困難である場合には、日本の外務省邦人保護課等へ通報くださるよう努力してください)。
( ii ) 大使館が「退避勧告」発出した場合、一般商用便が運行している間には、それを使って可能な限り早急に国外へ退避してください。一般商用便の運行がなくなった場合、或いは満席で取れなかった場合等には、臨時便の利用、或いはチャーター便の手配により(これら利用に当たっては、通常は片道エコノミー正規料金の支払いが必要になります。但し、後払いも可能です。)、国外へ退避することが必要となってくることもあり得ますので、大使館の指示に従うようにしてください。
( iii ) 事態が切迫し、大使館から退避又は避難のための集合を指示された場合は、上記(1)(ロ)で指定した緊急時避難先に集合してください。その際、しばらくの間、同避難先で待機する必要がある場合も想定されますので、可能であれば上記(1)(ハ)の非常用物資を持参くださるようお願いします。また、緊急時には自分及び家族の生命、身体の安全を第一に考え、その他の携行荷物は必要最小限にしていただくようお願いします。なお、緊急事態発生時には、場合により大使館において同避難先への交通手段をアレンジすることもあります。
( iv ) 大使館で検討した集合場所からの避難ルートは以下のとおりですので、あらかじめ周知しておいてください。
・空路
  エルドラド国際空港等主要空港⇒隣国・米国
・陸路
  不可能

 

[別添]緊急事態に備えてのチェックリスト

  1. 旅券
     旅券については、常時6ヶ月以上の残存有効期間があることを確認しておいてください(6ヶ月以下の場合には、大使館に切り替え発給の申請をしてください)。旅券の最終項の「所持人記載欄」は漏れなく記載しておいてください。下段に血液型(blood type)を記入しておいてください。なお、当国における身分証明書は、いつでも持ち出せる状態にしておいてください。


  2. 現金、貴金属、預金通帳等の有価証券、クレジットカード
     これらのものは、旅券同様に直ぐ持ち出せるように保管しておいてください。現金は家族全員が最低限10日間程度生活できるぐらいの外貨及び必要な現地通貨をあらかじめ用意しておくことをお勧めします。なお、出国する場合の出国税(18ドル)及び空港使用料(24ドル)の用意も必要です。


  3. 自動車の整備等
    (1) 自動車をお持ちの人は、常時整備しておくよう心掛けてください。

    (2) 燃料は常時入れておくようにしてください。

    (3) 車内には常時懐中電灯、地図、ティッシュ紙等は備えておいてください。

    (4) 自動車を持っていない人は、近くに住む自動車を持っている人と平素から連絡を取り合い、必要な場合に同乗できるように相談しておいてください。


  4. 携行品の準備
     避難場所への移動を必要とする事態に備えて、上記1.〜3.に加え、次の携行品を準備し、直ちに持ち出せるようにしておいてください。
    (1) 衣類・着替え(長袖、長ズボンが賢明。行動に便利で、ことさら人目を引くような華美でないもの、麻、綿等吸湿性、耐暑性に富む素材が望ましい)

    (2) 履物(行動に便利で靴底の厚い頑丈なもの)

    (3) 洗面道具(タオル、歯磨きセット、石鹸等)

    (4) 非常用食料等
     しばらく自宅待機することも想定して、米、調味料、缶詰類、インスタント食品、粉ミルク等の保存食及びミネラルウォーター等、家族全員で10日程度生活できる量を準備しておいてください。自宅から他の場所へ避難する際には、この中からインスタント食品、缶詰類、粉ミルク及びミネラルウォーターを入れた水筒(大型が望ましい)を携行するようにしてください。

    (5) 医薬品等
     家族用常備薬の他、外傷薬、消毒用石鹸、衛生綿、包帯、絆創膏。

    (6) ラジオ
     NHK海外放送(ラジオジャパン)の短波放送が受信できる電池使用のもの(電池の予備も忘れないようにしてください)。

    (7) その他
     懐中電灯、予備の強力バッテリー、ライター、ローソク、マッチ、ナイフ、缶切り、栓抜き、紙製の食器、割り箸、固形燃料、簡単な炊事道具、可能ならヘルメット、防災頭巾(応急には椅子用クッション等)。

 

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