ホタルのシーズンを前に、清流に恵まれ観賞スポットで知られる東峰村の旅館やキャンプ場など全5カ所の宿泊施設が連携し、空き室情報の共有を始めた。29日-6月12日の宿泊分を対象にした期間限定の対応。村で有数の“かき入れ時”に、空き室状況を互いに把握、客を紹介し合うことで、観光客の期待にも応えようと初めて実現した。
同村のアイデアで、連携するのは旅館「伊東屋」「釈迦岳」、キャンプ場「ポーン太の森」「岩屋キャンプ場」と交流施設「ほうしゅ楽舎」。5施設で1日計33室(定員2-10人)を提供しており、施設側は宿泊予約が入るたびに、村出資の第三セクター「宝珠山ふるさと村」に連絡。同社はその都度、予約状況をまとめた一覧表を各施設にファクスする仕組み。
施設側は満室日に予約の申し込みがあった場合、一覧表を参考に空き室がある他施設を紹介するほか、宿泊日の振り替えを提案。「村で夜を明かしたいすべての宿泊客の受け入れを目指す」(村企画振興課)考えだ。
村を流れる宝珠山川と小石原川では毎年、数万匹のホタルが乱舞する。春、秋開催の「小石原焼・民陶むら祭」と並び、村の最大の呼び物だが、従来は宿泊予約に対して満室時には断るだけで、他施設の案内はしてこなかったという。
村によると、6月5日には宝珠山川沿いを歩く恒例の「ほたる祭」が催されるため、各施設の空き室は残りわずか。その前後は宿泊可能という。「平日の夜はゆっくりとホタルとの『散歩』が楽しめますよ」と村の担当者。今回の実施状況を踏まえ、村は他の行楽シーズンでも空き室情報の共有化が可能かどうか検討する方針だ。
=2010/05/25付 西日本新聞朝刊=