ドキュメント 「異常官邸」鳩山逃げる
オキナワはポイ捨て大特集 「ウソ八百政権」の全内幕 

2010年05月24日(月) 週刊現代
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 ただし、この観測は、首相が沖縄の住民たちの前に、お気に入りのかりゆしルックで登場した瞬間、単なる噂だったことが証明された。かりゆしに辞表を忍ばせるような懐はない。 

決断をしないという決断って 

 フツーの感覚で見れば、とっくに"詰んでいる"鳩山首相は、感情のコントロールもままならないような状態で、なぜ首相の座にこだわるのか。やはり、キーの一つは小沢氏の存在だ。 

「5月3日の会談で、小沢氏は鳩山氏と『俺も辞めないし、総理を辞めるなんて気を起こすな』と、小鳩体制で参院選まで中央突破を図ることを確認しあったようです。普天間問題についても、とにかく沖縄の負担軽減についての道筋をつければいいとアドバイスしたといいます。鳩山首相にとって、小沢氏と一蓮托生であるというのが支えになっているのは間違いない」(全国紙社会部記者) 

 検察審査会の「起訴相当」判断で、検察から三度めの事情聴取要請が来ている小沢氏。鳩山氏が退陣すれば、小沢氏も無傷ではいられない。幹事長辞任は勿論、鳩山氏とともに議員辞職を求める声も高まるだろう。小沢氏にとっても、鳩山首相が続投することは保身につながるのである。 

 同時に、鳩山家独自の「お家事情」もある。先週号でも紹介したが、鳩山首相は親しい関係者には、こんなことを漏らしている。 

「辞めるつもりはない。1年も経たずに辞めたら、麻生さんや安倍さんらと同じになってしまう」 

 さらに、幸(みゆき)夫人も、「麻生さんたちより短期政権になるのは恥ずかしい」 と尻を叩いているという。 

 吉田茂を祖父に持つ麻生太郎前首相、岸信介を祖父に持つ安倍晋三元首相に対し、鳩山一郎を祖父に持つ鳩山首相。 

 古い話で恐縮だが、鳩山一郎と吉田茂は戦後すぐの自由党政権で、鳩山が総裁に就くも公職追放に遭い、後を吉田に譲った。このときに鳩山が公職追放から復帰すれば、総裁の座を吉田から鳩山に戻すという密約があり、それを吉田が反故にしたというのが定説で、二人は激しい権力闘争を繰り広げたライバル。

 岸は、鳩山が吉田の支配が続く自由党を飛び出して新たに作った日本民主党において、鳩山総裁の下で幹事長を務めた格下。平成の世から見れば、歴史の一幕に過ぎないが、それがいまも尾を引き、夫婦揃って退陣はありえないとゴネている。これこそ、「家業」として政治を生業にしてきた鳩山家の、世間と隔絶したプライドなのだろう。 

 先の沖縄訪問の際、テレビカメラには映らなかった鳩山首相の姿を、現地の住民が証言する。 

「鳩山首相は、地元のラグナガーデンホテルで市町村長との懇親会を行いました。終了後、SPに囲まれて会場から出てきた鳩山首相は、自らロビーにいた見物人に近づいて、笑顔で握手して回ったのです。県民の怒りを本当に分かっていたら無警戒すぎるし、無神経です。本気で沖縄のことを考えているのか、私には疑問です」 

 普天間問題も、鳩山首相にとっては家業を続けるための障害の一つに過ぎないのか。ある民主党関係者は、「結局、鳩山首相は5月末までに『決断しないという決断』をすることになるでしょう」と漏らしていた。

 さんざん期待させて、一部訓練海域の返還や、訓練飛行を自衛隊施設などに分散させるくらいでは、オキナワは見捨てられたという思いを強くするだけだ。 

 普天間問題は一朝一夕に解決する問題ではない。ならば、その場しのぎで頭を下げるのではなく、まず「5月末は無理です」と言ったうえで、信を問うべきだろう。そこからしか、本当の解決に向けた話し合いは始まらない。

 終戦から65年も基地がなくなる日を待っていたオキナワは、5月末の期限が守られないから怒っているわけではない。根本的な解決を図ろうとしない姿勢に怒っている。

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