【ソウル=牧野愛博】北朝鮮は21日、韓国哨戒艦の沈没原因について、「北朝鮮製魚雷による攻撃」と結論づけた国際軍民合同調査団による20日の調査報告を強く非難し、「事態を戦争局面と見なす」と宣言する祖国平和統一委員会の報道官声明を出した。
朝鮮中央通信が伝えた。声明は同委員会が政府を代弁する形式を取り、調査団が公開した北朝鮮製魚雷の破片などについて「どこから持ってきたのかわからない」「標識もない国籍不明の『証拠物』」などと主張。韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領を名指しで非難し、調査結果は「外部勢力と一緒に、北侵戦争の口実を作り出すために綿密に計算された挑発」だと決めつけた。
そのうえで、韓国が報復で制裁などの措置に出た場合、南北関係の全面的な断絶、南北不可侵合意の破棄などの措置を取ると警告した。
一方、韓国国防省によれば北朝鮮当局は20日、調査結果に対する検閲団を今週末、韓国に派遣する考えを伝えてきたという。韓国側は、受け入れについては国連軍司令部の軍事停戦委員会の裁定を待つとして当面静観する構えだ。
また、韓国政府は21日朝、李大統領が主催する国家安全保障会議を大統領府で開いた。李政権が安保会議を開くのは、昨年5月の北朝鮮による核実験に対応して以来で、4回目。国連安全保障理事会での制裁協議の要請など、今後の対応策について協議したとみられる。
大統領府によれば、李大統領は会議冒頭で「北の武力奇襲を受けた。国連憲章と停戦協定、南北基本合意書違反だ」と語った。
これに関連し、柳明桓(ユ・ミョンファン)外交通商相は20日、クシュネル仏外相と電話で会談。国連安保理の常任理事国のフランスに協力を求め、支持を得た。