鳩山首相にとって、運命の5月末がいよいよ近づいてきた。今月4日の沖縄訪問以降も、首相は繰り返し「普天間問題の5月末決着」という原則論を唱え続けている。
本当にそんなことが可能だと思っているのか、それともそう言い続けるしかないのか、宇宙人首相の本心はなかなか見えない。
5月8日に首相公邸で約40分間、鳩山首相と話をしたジャーナリストの田原総一朗氏はこう語る。
「今回、お会いしたのは『普天間問題について意見が聞きたい』と、鳩山さんサイドから連絡があったからです。
普天間問題は非常に難しい問題なのに、民主党の大臣や議員は、その難しい問題を前にして逃げている。自民党時代は梶山静六さんのような人が、悪役になってもこの問題に取り組んだ。
そういう悪役をやる人が民主党にはいません。そんな状況だから、僕はちょっと鳩山さんが可哀想に思って会ったんです。5月4日の沖縄訪問も、ほとんど惨敗と言っていい結果でしたしね」
後で詳述するが、確かに田原氏が言うように、鳩山官邸を支えるはずの閣僚や民主党議員たちは、ただボヤくだけだったり、オフレコで鳩山首相を批判したり、あえて我関せずの姿勢を貫いて『鳩山後』に備えたりと、もはや政府としての体を成していない異常事態である。
田原氏は、鳩山首相に直言した。
「鳩山さん、あなたがもし、普天間問題が5月末までに解決しなかったら辞めればいいやと思っているんだとしたら、それはずるい。あなたが辞めても、誰かが解決しなければならない。あなたがこの問題に手を付けたのだから、責任をもって抱き合い心中をすべきです。普天間問題には奇策とか妙案はありません」
神妙な表情で田原氏の話を聞いていた首相は、「わかりました。わかりました」と繰り返していたという。
田原氏の前では殊勝な態度だった鳩山氏だが、最近の言動を見ていると、この人は本当に大丈夫だろうかと心配になる。
たとえば、5月6日に報道各社の政治部長経験者らと会食しているが、鳩山首相は出席者たちが驚くほど明るく、
「このまま私はやるんだ。自分ほど沖縄の基地問題で努力している政治家はいない。過去を見てもそうだ」
とブチ上げたという。
さらに、翌日の官邸で行われた徳之島の3町長との会談。住民ら2万5800人分の移設反対署名を、例によって頭を下げて恭しく受け取った首相は、会談でこんなことを語り出した。
「私、徳之島には憧れておりました。私が幼い頃、大好きだった相撲取りが朝潮太郎という相撲取りで、マンガあるいは雑誌で奄美大島、徳之島出身と(紹介されていたと)いうことをきっかけに、行きたいなあと憧れておりました」
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