女三人 加計呂麻島への旅(5)海での出来事
テーマ:ブログ女三人 加計呂麻島への旅 プロローグ、
加計呂麻島での2回目の朝。
起きると、お父さんが釣竿の手入れをしていた。
そして、私たちにこう言った。
ここに来た時から、
お父さんは「かつお釣りに連れて行ってあげる」と
言ってくれていたのだけど、昨日は風が強く断念。
今日は絶好の釣り日和というわけだ。
急いで支度をして、
宿でジャンパーを借りることに・・・。
カラフルな赤、紫、黄色の三色が用意されていた。
それに着替えたのんが、
私に向かってこんなことを言い出した。
何言ってるのよ~
そうよ・・・子供じゃないんだから~
そう言いながら・・・
そんな風に思っていた私・・・子供じゃん?
釣りに出る私には心配なことが1つあった。
実は私・・・
トイレに行かれないとなると、
無性にトイレに行きたくなる体質(性格?)なのだ。
昔、スキーが流行った時代があってね・・・
週末、若者は深夜バスに乗ってスキー場に向かったわ。
もちろん、私も例外じゃなく・・・。
でも、当時、バスにトイレがついていればラッキー!
ほとんどのバスにトイレなんかついていなかったのよ。
トイレのないバス、
私は毎回、スキーバスに乗ると決まって・・・
バスに乗った瞬間から、
恐らく1時間後に立ち寄るドライブイン到着を待ちわび、
トイレに行きたい願望と戦わなければならなかった。
客室乗務員をしていた時も、こんなことがあったわ。
仕事を終え、リムジンバスで帰る時だったわ。
澄まし顔でバスに乗って・・・最後尾を見れば!!
トイレがない!!
まぁ、新宿までだもの!
2時間くらい大丈夫よね? と自分に言い聞かせるものの・・・
なんとその日は連休中の夕方。
バスは渋滞にはまり、全然動かないじゃないの!
徐々に膨れ上がる焦りと膀胱。
どんどんトイレに行きたくなってくる。
でも、バスは全然進まない!
窓の外を見れば、ビルが・・・。私は思う。
そして、ここからが最悪だった。
焦りからか、今度はお腹が痛くなってきたのだ。
お腹の中ではマグマが、それこそ何十年に一度の大噴火!
というくらいの暴れようだ。
懸命に腹痛の波を逃そうと頑張るも痛みは増すばかりだった。
鼻息が荒くなり、冷汗が流れ出す・・・。
このまま消えてなくなりたいとさえ思った。
と、その時、隣の女性が私のただならぬ気配に
気がついてくれ、運転手さんに言ってくれた。
その声を聞いた運転手さんは、
渋滞をぬって、料金所手前で車を停めてくれた。
「この料金所の下に事務所があるから、
そこのトイレを使ったらいい!」
私は乗客の皆さんに頭を下げながら、
急いでバスを駆け下りた。
料金所の下にトイレがあるということを、その時初めて知った。
螺旋階段を駆け下り、トイレを借り、事なきを得た私だが・・・
今度はバスに戻るのがすごく恥ずかしくなった。
でも、これ以上のタイムロスは皆に迷惑が掛かる!
私は急いで、螺旋階段を駆け上がり、バスに戻ると
運転手さんと乗客の皆さんに深々とお詫びをした。
迷惑をかけた私に運転手さんも乗客の皆さんも
暖かい声をこう言ってくれた。
「大丈夫ですか?
スチュワーデスさん!!」
皆さんの暖かさに感動しながらも、
恥ずかしく本当にここから消えていなくなりたいと思った出来事。
と、つい長く書いてしまったが・・・そうなのだ。
船にトイレが付いていないとなると、
また私の膀胱が暴れだすのではないかという恐怖。
その時、ゆき姐が言った。
「トイレがしたくなったら、おじさんに船を動かしてもらいなさい!
ポンチョを着て、走りながら用を済ませれば、問題ないから!」
えっ? ポンチョを着て、海の上で用を済ませる?
加齢により、大抵のことには動じない私だけど・・・
こればかりは・・・
私は宿を出るまで、5分に1度の割合でトイレに行った。
もう出すものは何にもない! というくらいに絞り出すために!
そうして臨んだ釣りだったのだけど・・・
港が遠ざかるに連れ・・・やっぱりだ・・・いつもの現象が・・・。
頭の中は釣りどころじゃない!
トイレ、トイレ、トイレ・・・。
お父さんが私たちにムロアジを釣る方法を教えてくれ、
釣竿を海に放り込むも、私の頭の中はトイレ一色。
今更、港に戻ってくれとも、とても言えない。
かと言って、ポンチョには大いに抵抗がある。
そうだわ。こんな時は現実逃避するしかないわ!
トレイに行きたい=現実から抜け出すの。
すぐに船の上で私の妄想列車は走り出しわ。
ガタンゴトン~ガタンゴトン~
「気になっているんだろ?」って・・・
そう・・・私はすごく気になっていたわ。
でも・・・私は来てしまったの。
そう・・・この人と一緒に・・・。
*釣りと言えば大野君という単純な発想?
この衣装を着せたのは、似顔絵じゃ誰かわかってもらえないからです
後悔している? そう、私は少し後悔していた。
ことの発端は、ケンカ。
私は潤君と些細なことでケンカをしてしまったのだ。
潤君は怒って、背中を向けて去って行ったわ・・・。
残された私は・・・
と、その時・・・
私の肩を叩く手・・・
潤君がきっと謝りに戻ってきてくれたのね!
喜んで振り返った私の目に飛び込んできたのは・・・
潤君ではなかった。そこには、大ちゃんが立っていたの・・・。
大ちゃんは目を合わせないような感じでポソリと言った。
釣り? 気分転換に? でも・・・
そう躊躇う私にさっき潤君が言った言葉がよみがえっていたわ。
「いいよ! 好きにしろよ!」
わかったわ! 潤君! あなたがそう言うなら!
女心もわからない潤君なんかもう知らないわ!
(知らなくないけど・・・)
大ちゃん、連れてって、私を釣りに連れて行って!!
そうして私は今、こうして海の上にいるのだった・・・。
大ちゃんは言った。
「潤のこと気にしているんだろう?」
「嘘つくなよ! さっきから俺のことを避けているじゃないか!」
「避けてないって!」
「ひいてないって! ひいてなんかいないわよ! 私!」
「ひいてるよ! ひいてる!」
「ううん、信じて! ひいてないってば!」
「ひいているよ!」
あら? あなたは大ちゃん・・・? お父さん・・・?
ムロアジによってあっさり現実に戻されました!
その後、船の上でお父さんが捕ったばかりのアジをさばいて、
刺身にしてくれたんだけど・・・
現実に戻るとまた頭の中はトイレ一色。
やがて、私の元気のない様子にエミィさんものんも気がついて・・・
私が状況を説明すると、
「そこまで限界にきているなら、
カータン! ポンチョがあるやん!」
「お父さんに言って、船を走らせてもらいましょう」
と言うんだけど・・・だめ! どうしてもだめ!
だって、私! 昨日、なっちゃったのよ!
今、ここで用をたしたら・・・
大変なことになるかもしれない!
結局、その後、お父さんが見事かつおを釣り上げてくれたので、
それでよし!と釣りを切り上げ、急いで宿に帰ってきた私たち。
その日の午後は、ゆき姐が
「カータン、顔色悪すぎる! あなたは休んでいなさい!」
と言う事で、私だけ宿で留守番することになった。
船酔いならぬ、船の上での我慢大会に体力を消耗しすぎたようだ。
宿の布団でゴロゴロしていたら、いつの間にか寝てしまった。
短い夢をみた。
加計呂麻の海岸で娘たちと一緒に貝殻拾いをしていた。
まるで貝殻は金貨のようにキラキラ光って、
私たちはキャーキャー言いながら、それを拾い集めていた。
リビングからの賑やかな声で目が覚めた。
出掛けていたエミィさんとのんが帰ってきたようだ。
加計呂麻島での最後の夜が、またゆっくりと始まろうとしていた。
つづく
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前回の記事にもコメントをどうもありがとうございます。あまりの妄想に釣りに行ったことしか書けませんでした。すいません。要するに、私は釣りには不向きのようなんです。トイレがないとなると無性にいたくなるこの体質、どうにかならないのでしょうか? 紙おむつしていくしか避けられようがないのか?
では、今日も長い記事にお付き合い下さり、どうもありがとうございました。それでは、皆さん、よい週末を~!!