政治主導の名の下でゴリ押し 原口大臣と孫社長の「光の道」
(ダイヤモンドオンライン 2010年5月21日配信掲載) 2010年5月25日(火)配信
通信業界における30年来の議論である「NTTの組織問題」。
それが今、官僚を遠ざける政治主導の名の下に次々と予定が前倒しされ、肝心の中身を詰める作業がないがしろにされている。そのため、通信業界関係者のあいだでは、憤りの声が上がっている。
政治主導という名のゴリ押しがいかんなく発揮されたケースが、「光の道構想」である。2015年までにすべての世帯で高速大容量のブロードバンド通信サービスを利用できるようにするというこの構想は、かねて総務省が掲げてきたもの。そして、原口一博・総務大臣が組織した「(有識者による)グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」は、5月中旬をメドに基本方針を出すことになっていた。
構想の実現のためには、NTTグループから光回線を分離するかたちでの再編が必須とされてきたが、タスクフォースの作業部会は、結論ありきはよくないという意味で「再編の見送りやむなし」との現状認識を持っていた。
だが、これがある新聞の見出しで「総務省、結論先送りへ」と書かれたことに激怒した原口大臣は、5月14日に開かれた公聴会の資料に「(来年の夏まで)1年後をメドに判断」と期限を明記した文言を入れるように注文をつけた。
そして、翌週の17日にはNTTの宿敵であるソフトバンクの孫正義社長が「1年は長過ぎる。せめて半年で結論を出すべき」と発言。それを受けるかのように、18日に原口大臣に承認された中間報告書では、期限が「半年以内」(年内決着)に短縮されて次期通常国会に提出する法案になった。
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