政治主導の名の下でゴリ押し 原口大臣と孫社長の「光の道」
(ダイヤモンドオンライン 2010年5月21日配信掲載) 2010年5月25日(火)配信
じつは、「光の道構想」の原型となったアイディアは、民主党が政権を取る前からソフトバンクが民主党に持ち込んでいた「光の国ジパング構想」である。4年間に4兆円の国費を投じて、光回線を全国に引けば経済対策にもなるとの案を、5本柱からなるマニフェストの6本目候補として売り込まれたのだが、実現しなかった。
しかし、それを仕立て直したものが、現在の「光の道構想」に発展した。原口大臣の肝煎り政策の出元は、ソフトバンクなのだ。本当に計画どおりに進めば、NTTを弱体化させると同時に、ソフトバンクは新たなインフラ投資から免れるという巧妙な仕掛けが組み込まれている。
もとより、原口大臣と孫社長の“近さ”に眉をひそめる作業部会のメンバーも少なくない。
たとえば、原口大臣は、NTTの三浦惺社長やKDDIの小野寺正社長との面会は断りながら、孫社長とだけ私的な勉強会を続けている。また、両者は “ツイッター仲間”として知られるが、日本ではソフトバンク本社26階の迎賓館にしかないとされる「明治維新三志士の直筆の書」を見た原口大臣が、その持ち主を“親友”と呼ぶツイートが、関係者のあいだでは話題になっている。
2人は高い志に燃え、新しい日本の建設に立ち上がった心境なのかもしれないが、まがりなりにも、監督官庁と事業者の立場だ。両者があまりにも近い状態が続くと、結果的に国の通信政策の舵取りを誤るのではないかという懸念が拭い切れない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)
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