NEC、カシオ計算機、日立製作所の携帯電話部門を統合した新会社「NECカシオモバイルコミュニケーションズ」が6月1日に発足するのに先立って25日、戦略や商品が発表された。社長に就任する山崎耕司氏(NEC出身)は、3年以内に国内シェア1位、8年以内に世界で現在の10倍に当たる5000万台を販売する方針を示した。
09年度の3社連合の国内出荷台数は500万台を超え、2位のパナソニックなどと競る規模。ただ、国内市場は飽和状態のうえ販売方式の変更で端末価格が上がった影響で低迷。電子情報技術産業協会によると09年度の携帯、PHSの国内出荷台数は前年度比12.3%減の3142万台でピーク時の6割にまで落ち込んだ。
成長には海外進出が不可欠だ。3社のうちでは、カシオが06年から米国で防水対応携帯「G’zOne」を販売、米国で1.5%程度のシェアがあると見られる。山崎氏は「今ある資産を最大限に生かして欧州やインドなどにも拡大したい」と意気込む。
しかし、世界攻略は容易ではない。世界市場はノキア(フィンランド)やサムスン(韓国)など大手5社でシェア7割を超えており、日本メーカーには、知名度と販路拡大が課題。調査会社MM総研の篠崎忠征アナリストは「通信会社の新規開拓や3社の垣根を越えた柔軟な商品で市場にアピールする必要がある」と指摘する。【弘田恭子】
毎日新聞 2010年5月25日 20時43分