妊娠していた交際相手の女性に子宮収縮剤を投与し流産させたとして、不同意堕胎容疑で逮捕された慈恵会医科大学付属病院の腫瘍(しゅよう)・血液内科医、小林達之助容疑者(36)が「女性を流産させてしまい申し訳ない」と容疑の一部を認める供述を始めたことが分かった。捜査幹部が明らかにした。女性に投与した点滴パックは同院で扱っていない種類のものだったことも判明。警視庁捜査1課は小林容疑者が他の医療機関から薬剤を入手した可能性もあるとみて捜査している。
小林容疑者は薬剤の投与や入手先についてはあいまいな供述を繰り返しており、捜査1課は25日、薬剤の入手ルートを解明するため同院と横浜市の実家の医院を家宅捜索した。
捜査幹部によると、小林容疑者は08年12月30日、女性から「妊娠したようだ」とメールで知らされ、翌31日と09年1月1日の2回、同院の薬剤部を訪れ自分が担当する女性患者の名前を挙げ、子宮収縮剤の錠剤を依頼した。小林容疑者の担当外だったため、不審に思った職員が質問すると「患者がほしいと言っている」と偽り、無理に処方させたという。
小林容疑者は9年1月上旬、子宮収縮剤3日分6錠を手渡し、女性は数日間にわけて数錠を飲んだ。女性はその後容体が急変し救急車で搬送されたが、流産とは診断されなかったという。小林容疑者はさらに1月中旬により効果の強い子宮収縮剤の点滴を勧め、女性はその日のうちに流産した。【神澤龍二】
毎日新聞 2010年5月25日 11時32分(最終更新 5月25日 12時06分)