赤信号 みんなで渡れば みな死亡。騙されるな！

　ＣＤＴＶでサビだけ聴いたが、はっきり言ってマイケルフォーチュナティ「GIVE ME UP」のパクリ・盗

用だろう。「ゴーリーヤック」と歌うサビのメロディは、「ギーミーアップ」と歌うサビメロディとほと

んど変わらない。全曲聴いてないので、もしかして全曲「ギヴミーアップ」のメロディなら、カヴァーと

言う事が出来るけど。

　ただ、マイケルフォーチュナティファンの僕からすれば、カヴァーでなくても悪意のないパクリ（リス

ペクト故の引用？）とかなら、ギヴミーアップを広めてくれるという事でアリかも？しかし、ファンクな

どが主体の米米がユーロビートを好きだったとは思えず、あの曲自体２０年も前の曲だし、若い人は分か

らないだろうから黙って使っちゃえという意図が見え隠れする。最近の米米の曲はいい感じだっただけ

に、もしそうだとしたらちょっと残念だ。

　昔から盗用かどうかという議論は、流行歌が生活に浸透してきたあたりからされてきた。特にアメリカ

などは、訴訟社会なのでパクられたとかの裁判が多発してて、マイケルジャクソンみたいに多額を支払う

はめになるケースも少なくないようだ。しかし、流行歌という物が世に出るようになった時から今まで、

インディーなども含めるとおそらく何千万という数の歌が生まれてきただろう。その中で、世の中のどん

な曲にも影響を受けずに作詞作曲編曲を行う事は、ほとんど不可能だろう。たいていのミュージシャン

は、若い時に聴いた歌やこれまで聴いた歌に、多かれ少なかれ影響を受けている。作曲のために頭からメ

ロディを絞り出そうとする時、出来たメロディの中に自然と昔聴いたメロディが入っているのは、自然な

事と言えるだろう。

　僕の好きなアリスの堀内孝雄は、ファンの間でも人気が高い名曲「遠くで汽笛を聞きながら」に関し

、彼はビートルズファンでこの曲はビートルズの「レットイットビー」から影響を受けて出来たと半ば公

言しており、実際似てる。しかしアーティストが、好きなアーティストへのリスペクトと、出来た曲への

その人からの影響を公言して名曲が誕生した事に、文句を言う人もさほどいないだろう。そのビートルズ

でさえ、一番初期の頃はカヴァー曲が半数くらいあったし、初期のオリジナル曲でもその頃ヒットしたロ

ックンロールなどに似通った感じだった。

　ヒップホップなどは、はっきり言って盗用（引用？、サンプリング）が基本だ。元々は１９８０年くら

いに、アフリカバンパータと言う黒人グループがクラフトワーク「ヨーロッパ特急（名盤！）」にノセて

ラップをきざんだのが元祖と言われている。元祖からして、曲の大きな核になったのは、自分以外の人が

作った曲だったのだ。今なら例えば、ＳＥＡＭＯは「ルパンザファイアー」でもろルパンの曲を使ってヒ

ットしたし、ヒップポップ人気を決定づけたＲＵＮ−Ｄ.Ｍ.Ｃ.は、ラップ部分以外はほとんどエアロス

ミス「WALK THIS WAY」を使って大ヒットした。ヒップホップアーティストがここ数年、featuringといっ

て他のアーティストを利用？するのも、サンプリングの延長線上にあると言えるのでは。

　以上のように、他のアーティストの影響を受けずに曲は作れないと思うし、真似した人にリスペクトが

ありその人や世間に真似を公言してしまえば、特に問題はないと思う（著作権の問題とかはありそうだ

が）。あの嘉門達夫は、替え歌メドレーを作るために色々なアーティストに頭を下げて許可を得たようだ

し、関根勤などは基本的に好きな人のモノマネが多いようだ。オレンジレンジなどは、曲が色々な他人の

曲に似てると２ちゃんなどで散々叩かれ、テレビでの態度の悪さもあいまって、売上が落ちてきてる気が

する。ただ、彼らも基本はヒップホップのグループなので、悪意はなかったのかもしれない。あの音楽性

の幅の広さにも敬意を表して、僕はネットで彼らをちょっと擁護したけど。

　ちょっと話はそれるが、マンガがドラマやアニメになる時も、どれだけ原作どおりかがファンの評価の

大きな基準になってると思われる。「ＧＴＯ」や「ミスター味っ子」「マジンガーＺ」のように、原作と

雰囲気を変えて評価を得るドラマやアニメもあるが、「のだめカンタービレ」のドラマや「デスノート」

の映画にしても、原作の雰囲気を忠実に再現したことが大ヒットにつながった気がする。アーティストが

自分の曲をセルフカヴァーした時も、原曲以上に評価を上げるカヴァー曲は、あまり出ない。それだけフ

ァンは元々の作品に愛着を持っており、それ以上の作品にならない限り、手を加える事には基本的に拒絶

反応を示すだろう。

　その漫画界にしても、間接的にでも手塚治虫の影響を受けた漫画家なんて、物凄い人数でいるし、漫画

界にはわりと流行の画風があって、それが流行るとみんながやり出すが、よっぽどの漫画マニアでもない

限りその画風にケチをつける人はいないだろう。どんなクリエイティブの（物を創造する）業種でも、先

達の影響なしに作品を作るのはほぼ不可能と思われる、前衛の人を除いては。その前衛の世界でも、例え

ばピカソなどが出てきてその世界が有名になれば、フォローワーはどんどん出てくるわけだ。

　結論を言えば、音楽業界で表面的に盗用（パクリ）と引用（真似、サンプリング、カヴァーなど）は差

別化されてる感じだが、本質的にはどちらも大して変わらない気がする。と言いつつ似た曲を見つけ出し

た時は、妙な達成感があるんですよね〜。