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【ドラニュース】


川井、復活1勝

2010年5月25日 紙面から

中日−楽天 3回表2死二、三塁、鉄平の一ゴロでベースカバーに走る川井=ナゴヤドームで(榎戸直紀撮影)

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 ミラクル左腕が帰ってきた。昨年、11連勝を記録した中日・川井雄太投手(29)が24日、楽天戦(ナゴヤドーム)で今季初登板初先発、ピンチをつくりながらも6イニング無失点に抑え、復活白星を挙げた。オープン戦中のけがで出遅れたが、得意の交流戦はまだ半ば。昨年勝てなかった後半戦で、今季は白星を重ねよう!

 「長かった」。川井はお立ち台で解き放たれたように笑顔を浮かべた。「今季初」というよりも、「298日ぶり」の白星と呼ぶ方が適切だろう。「今、自分にできることをやってきた結果です。ピンチでも粘り強く投げられました」。09年7月30日の巨人戦以来となる勝利の味を、じっくりかみしめていた。

 開幕11連勝を挙げて華々しくブレークした昨シーズンだったが、終盤には一転して迷路に入り込んだ。8月以降は5連敗。最後の2試合は3イニングも持たずにKOされ、クライマックスシリーズ(CS)でも登板機会は与えられなかった。

 オフには年俸が大幅にアップしたが、喜びに浸る心境にはなれなかった。「何が足りないのか」と自分と向き合う日々。年末年始はガランとしたナゴヤ球場で黙々とネットに向かってピッチングを繰り返した。そうすることで、“出口”が見えてきた。

 「自分にはメンタルが足りないと感じた。自信を持って投げること。これが一番だと思い直した」

 開幕から2カ月。ようやくめぐってきた先発マウンドで、「自信」の2文字を心中で繰り返した。最大のヤマ場となった3回1死一、三塁では、「とにかく腕を振って思い切って投げた」と内村を内角に食い込む得意の「真ッスラ」で投ゴロ。3番鉄平も低めの141キロで一ゴロ。攻めを貫いてピンチを脱した。

 アクシデントも「糧」に変えていた。3月2日の広島とのオープン戦で打球を当てて左足を痛め、開幕に間に合わなかった。「今は常に自分のところに飛んでくると思って投げている」。6個ものピッチャー返しを無難にさばき、結局、18のアウトのうち13個が内野ゴロ。「勢いがあった」という直球を主体に“川井らしさ”が凝縮したピッチングで、6イニングをゼロに抑えた。

 落合監督は「昨季の経験? 生きてるっていうより、生かさなきゃいけない。そういう年。(昨季は)いい思いも、何で勝てないのかっていうのも経験しただろう。初めて投げる投手とはちょっと違う」。昨年の連勝街道を再現してくれることを期待した。

 帽子のひさしには「超える」と大書した。「昨年の自分を超えていきたい」と川井。昨季の交流戦で負けなしの4勝を誇った“交流戦男”が、たくましさを増して帰ってきた。 (木村尚公)

 

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